今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

奇跡のデッド リコー300Sの巻

2016年03月09日 20時40分48秒 | ブログ

これは珍しい、デッドストック新品のリコー・300Sと言うカメラです。1960年発売ということですから奇跡的ですね。バイクでもCB72の新品がバイク屋さんに負債の形で手つかずである。とかの噂も聞きましたが、点検をすると、これは本当に未使用のようです。300Sはブライトフレーム距離計連動カメラで、レンズはリケンF2.8 4.5cm、富岡光学製。シャッターはセイコー300Jを搭載しています。かなりレンズにくもり汚れがありますね。

古典的なゴツさが残るボディーですが、巻き戻しダイヤルのデザインなどは洒落ています。巻き戻しの時は引き上げて使いますが、収納時の薄さを優先して、ローレット部が薄くて回しにくい感じ。

 

絞りとシャッタースピードは小窓に表示されるこちらも洒落た設計ですが、奥側の絞りリングは薄過ぎて回しにくいこと・・この時代は、デザインと操作性がバランスされていない点が気になりますね。

 

3群4枚のレンズを分離して行きます。あら~、年代を考えるとグリスの劣化は仕方がないですね。前玉回転が重いとのご指摘ですので、グリスをすべて入れ替えます。

 

レンズの汚れは絞りの後ろ側ですね。清掃をしておきます。

 

 

シャッターは特に不具合はありませんので、注油に留めておきます。

 

 

組立後、一度も分解されていない巻き上げレバー部。同時期のオリンパスと違って、ネジ径が大きいので、ねじ切る心配はないですね(笑)各部のネジには、分解キズをつけないように注意をします。だって、キズがあれば、犯人が分かってしまうので・・

 

ファインダーの画像を撮り忘れました。普通の構造です。曇りの清掃をしましたが、ハーフミラーは年代から拭き上げは危険なので、蒸着面はそのままとしました。ピント調整後、ファインダーの二重像を調整します。

 

こうして並べると、グレーは特にPENの色という訳でもないですね。ヤシカの4X4なんかも同じだし。

 

私も当時はカメラ製造をしていましたので、組立で傷をつけないのは訓練されましたが、今回は特に神経を使って組みましたよ。ネジのどこにも傷はつけていませんよ~。未分解でも通ります。最後に拭き上げをします。

 

1960年代というと、腕時計ではセイコー・マーベルの時代ですね。非防水で金メッキの頃です。並べると、何となく空気感が合っていますね。メーカーさんも資料用として欲しいぐらいのコンディションです。大切にして頂きたいですね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/