これは珍しい、デッドストック新品のリコー・300Sと言うカメラです。1960年発売ということですから奇跡的ですね。バイクでもCB72の新品がバイク屋さんに負債の形で手つかずである。とかの噂も聞きましたが、点検をすると、これは本当に未使用のようです。300Sはブライトフレーム距離計連動カメラで、レンズはリケンF2.8 4.5cm、富岡光学製。シャッターはセイコー300Jを搭載しています。かなりレンズにくもり汚れがありますね。
古典的なゴツさが残るボディーですが、巻き戻しダイヤルのデザインなどは洒落ています。巻き戻しの時は引き上げて使いますが、収納時の薄さを優先して、ローレット部が薄くて回しにくい感じ。
絞りとシャッタースピードは小窓に表示されるこちらも洒落た設計ですが、奥側の絞りリングは薄過ぎて回しにくいこと・・この時代は、デザインと操作性がバランスされていない点が気になりますね。
3群4枚のレンズを分離して行きます。あら~、年代を考えるとグリスの劣化は仕方がないですね。前玉回転が重いとのご指摘ですので、グリスをすべて入れ替えます。
レンズの汚れは絞りの後ろ側ですね。清掃をしておきます。
シャッターは特に不具合はありませんので、注油に留めておきます。
組立後、一度も分解されていない巻き上げレバー部。同時期のオリンパスと違って、ネジ径が大きいので、ねじ切る心配はないですね(笑)各部のネジには、分解キズをつけないように注意をします。だって、キズがあれば、犯人が分かってしまうので・・
ファインダーの画像を撮り忘れました。普通の構造です。曇りの清掃をしましたが、ハーフミラーは年代から拭き上げは危険なので、蒸着面はそのままとしました。ピント調整後、ファインダーの二重像を調整します。
こうして並べると、グレーは特にPENの色という訳でもないですね。ヤシカの4X4なんかも同じだし。
私も当時はカメラ製造をしていましたので、組立で傷をつけないのは訓練されましたが、今回は特に神経を使って組みましたよ。ネジのどこにも傷はつけていませんよ~。未分解でも通ります。最後に拭き上げをします。
1960年代というと、腕時計ではセイコー・マーベルの時代ですね。非防水で金メッキの頃です。並べると、何となく空気感が合っていますね。メーカーさんも資料用として欲しいぐらいのコンディションです。大切にして頂きたいですね。
http://www.tomys800.sakura.ne.jp/
工具の精度は元より技術的にも高度な作業を要求されますよね。
いやはや、あっぱれ!
レターパックは届いたでしょうか?
>傷一つ付けないとなると、ネジ一本緩めるのも、ものすごいプレッシャーではないでしょうか?
そうですね。普段から、オーナーさんの大切なカメラですから、極力傷をつけないように神経を使って組立ていますけどね。未分解機となると余計ですね。
スリ割りに適切な工具を使えば、意外に傷はつかないものです。一般の方はそれに神経を使わないのでスリ割りを壊す。しかし、大量生産の時代となって、電動ドライバーを使う関係で+ネジが使われるようになりましたね。
それ以前は、ホンダが世界グランプリ参戦前のヨーロッパ視察の時に、+ネジを持ち帰ったりしたんですよ。もちろん、戦中の零戦もすべてスリ割りネジで組まれていますね。
ありがとうございます。
ご連絡が遅れてしまいました。
すみません。
無事に届いております。
出張の予定など入っていて気持ちが落ち着きません。
ゆっくり時間が取れたときに見ようと思っています。
アクセサリーシューはパテ埋めして修復し、ペンタ部の腐食のぼろ隠しに使っています。
スリ割りは横滑りしてどうも苦手です。
あっという間に傷を入れてしまいます。
力も入れにくいし。
+ネジはサイズが合っていればそうそうつぶすこともないですね。
>無事に届いております。
そうでしたか。安心しました。
出張大変ですね。私は今日は電車で都内へ行きましたが、社内で咳こんでいる人がいまして、「やだなぁ」と思っていたら、のどが痛くなって来ました。明日また都内に行かなければなりません。
>スリ割りは横滑りしてどうも苦手です。
そうですね。滑りやすいネジがありますね。なるべく力を垂直に掛けて、ドライバーの先端は、鏡面ではなく、多少荒らしてあった方が滑らないかも知れませんね。