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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO チャンピオン・J15004Eをレストアするの巻

2016年03月11日 20時14分20秒 | ブログ

え~と、最近PENのご依頼が少ないのでファンの方々よろしくお願いします。そこで、以前にINOBOOさんから頂戴した(また?)セイコー・チャンピオンの初期の変わり文字盤を治すことにしますよ。この個体は色々な問題を抱えているのです。

 

この頃の個体に多い不具合の一つ、機械留めネジの頭が折れているものが多くあります。手巻きなのでネジにストレスが掛かりやすいのでしょう。地板からネジを取り出すのが一苦労なんですね。

 

二つ目は。竜頭パイプが摩耗して破れてしまっていること。これは、まず2つの機械留めのネジの片方が折れて機能しなくなったために、ケースの中で機械が遊んででしまって、毎日手巻きを続けたため、巻き芯が竜頭パイプの片側に接触し続けて破れてしまったという推理です。

摩耗をした竜頭パイプを叩き出して、新しいパイプを圧入します。

 

 

こんな感じで修正が完了しました。

 

 

三つ目の問題は、裏押えが折れていること。チャンピオンの裏押えは二種類あって、このタイプも折れているものが目につきます。適合するものをクロノスからやっと調達。

 

四つ目は、まぁ、どの個体でも劣化している風防ガラスの交換です。汎用品しか手に入りませんでしたが、高さが若干高い気がします。まぁ、仕方ありません。

 

今日も2日続けて新宿に出掛けましたが、昨日、風邪を移されてしまい、やっとのことで帰宅します。あら、ちょうど、中央特快が来ました。早く帰ってチャンピオンを組み立てなければ・・しかし、冬に逆戻りのような寒さです。

 

では、分解洗浄が終わっています。過去に1度のオーバーホールを受けているようですが、丁寧な時計師さんの仕事です。まず、香箱真に摩耗が無いかを点検しておきます。大丈夫のようです。

 

次はテンプを載せて振り石が正しくセンターにあるかを点検します。

 

 

手巻きの機械ですから、部品点数は少なく、組立には特に問題は無いはずです。

 

 

香箱と輪列に注油をしながら組み立てて行きます。

 

 

文字盤はあまり良い状態ではありません。溶剤は厳禁で平らにした綿棒で軽く載っている汚れを乾拭きします。くすんだ針を磨いて取付け。ケースは軽く磨いてあります。

 

腕時計の撮影は難しいです。今回のチャンピオンは左。中央は後年のチャンピオン860.風防のサイズは同じです。右は諏訪製のクラウンで大きいと思ったチャンピオンより、一回り文字盤が大きいです。非防水のこの頃は、ケースのサイズが大きいのが時代の流行のようで、年々大型化していますね。非防水ですから、ケースも肉薄に設計出来ましたが、防水の時代になると、ケースの厚みが厚くなって、必然的に文字盤のサイズも小さくなって行きます。手巻きの非防水も薄くて軽く腕に馴染みますので、捨てがたい魅力がありますね。

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