カメラの方は一息ついた感じですので久しぶりにレストア待ちの時計(10個ぐらいあります)をやらせて頂きますね。セイコー・ファイブスポーツ6119-8140ですが、紺の文字盤は、私が高校生の頃に所有していたファイブDXと似ていて目につきました。1968年製と同時期の製品です。入手した個体の程度はあまり良くなく、風防ガラスとケースに傷が多いコンディションでした。画像は風防ガラスを研磨してみたところですが、傷が深くて取り切れませんね。
この個体は21石ですが23石仕様の個体も存在するようです。また、ハック機能がありませんので、秒針を止めることができません。現代に使用するには、ちょっと物足りなさを感じるところです。そこで、手持ちのファイブ・アクタスSS用の改良型6106C(25石)と換装することにします。
ユニットを取り出したところ。カレンダーがブラックからシルバーになりますね。また、曜車は漢字表記にも出来ます。最近、遠視が進んで、ブラック仕様の文字が読みにくく感じていましたので、都合が良いかもしれません。
自動巻きの回転錘のビス留め方式が変更されています。
すべて分解洗浄をしたところ。一度も分解を受けていない機械でしたが、摩耗は殆ど無く、コンディションは大変良いですね。
この部分が改良点。真鍮の規正レバーが追加されています。竜頭を引くとテンワと接触をして止めるからくりです。
組立は省略。文字盤と針をオリジナルから移植しました。カレンダーも良く判読できます。
最近食べるのを自粛していたチョコレートを貰いましたので記念に撮影をしてみましたよ。中々きれいな文字盤でしょ。今見てもこの文字盤の色は好きです。
ケースは残念ながら比較的ラフに使われた個体で傷が多いです。画像は側面の鏡面研磨と上面のヘアーラインを入れたところ。今回は電動工具を使用せず、手磨きのみで仕上げています。風防ガラスは残念ながら、純正部品は入手出来ず、社外品を調達しました。社外と言っても汎用品ではなく、専用設計ではありますけどね。
新しい風防ガラスをセットしたところ。一段と文字盤のネイビーブルーが冴えて来ましたね。まだベゼルで固定していません。オリジナルの風防は、やはり黄ばみもありました。
特徴的なデザインのベゼルは、一番、傷のダメージが多く、軽く研磨をしてありますが、12等分の掘り込みがありますので研磨はほどほどにしないとね。文字盤のインデックスと正確に位置合わせをしなくてはなりませんので機械をセットしてあります。
回転錘を取り付けたアクタスSS用6106Cです。この後、タイムグラファーにて歩度調整を行いました。
今回はブルーの文字盤を生かして革ベルト仕様としましたが、現在はラグ幅19mmは少数派で、あまり選択肢がありませんが、今回はリオス・ニューオリンズのネービーブルーを選択しました。イメージよりも少し明るい色でしたが、まぁ良しとします。作りも丁寧で、大型の時計用には良いベルトと思います。カレンダーも判読が楽です。特に私のように、英字の曜日を月曜から数える語学力の人間には、漢字表記はありがたいです。若い頃はかっちょ悪いと思っていましたけどね。
私は、カラー文字盤初期のセイコーブルーが好きです。1968年という時代を考慮すれば派手なデザインのはずですが、セイコーのセンスは何故か品があります。最初に手にした腕時計がセイコーだったからそう感じるのでしょうか? そう言えば、自動車はホンダ(N360)だし、カメラはCanonに思い入れがありますね。人間の嗜好って面白いですね。70年代になると、文字盤の加工技術も進歩したものか、放射状に光る派手な文字盤が増えていきます。時代の流行りなのでしょうね。