久しぶりにフジカミニが2台来ていますよ。中古屋さんでも根強い人気のあるカメラで、程度の良いものは相場も高いですね。左側の貴重な純正のストラップ付が#2429XXで右側がそれより製造の早い#1530XXです。小さくて簡単なカメラに見えますが、分解修理は意外にやりにくいカメラです。
上が#1530XXですが、FUJI PHOTO・・・に白く色入れがされていますが、#2429XXには施されていません。これは、上は彫刻文字で下はプレス刻印のため、色入れが出来ないのです。元々工数低減が理由でしょう。
変な構図ですみません。上の#1530XXは露出計不動です。
それに絞りレバーがプラプラで絞りが変化しません。機能的には#2429XXは正常に作動するようですので、UPは#1513XXを中心に行います。2台続けても長くなるだけで、あまり意味がありませんし、どっちの事か分かりずらいですからね。
あまり良く分かりませんが、角にアタリというよりは陥没? があります。
両方に言えますが、巻き戻しダイヤル部のカバーがへこみ気味ですね。構造的に日さしのような部分ですから弱いのですね。
絞りが作動しないので絞り羽根を作動させるピンが脱落したためです。たぶん、絞り羽根の固着を無理に回したのでしょう。
露出計が作動しない直接的な原因はセレン光電池のリート線断線。テストでは、起電力は弱くても作動はさせることができそうです。
酸化したパターンへの半田付けは非常に困難で、成功しないことの方が多いですね。あまりやりたくはありませんが何とかやりました。
絞りユニットのピンを再カシメします。レバー部も捻じれていましたので、強い力で破壊されたようです。
最後に洗浄脱脂をして完成。
構造的にはPEN-EEと同様です。腐食が進んで真鍮ブラシで擦ると粉になってしまいます。
絞りユニットと露出計ユニットが完成しました。これで何とか治せる目途が立ちましたね。
単側1/125のビハインドシャッター。シャッター羽根の状態も良くありませんでした。洗浄、研磨をしたところ。
露出計+セレンを組み込んだところ。
ケラレを修正されたらしいファインダーユニットを組み込んだところ。
裏蓋のモルトを交換して組立完成。ダミーフィルムを装填してテストをすると、スプールが空転して巻き取りが出来ません。このカメラに多い不具合い。スリップ率を調整をしておきます。
シャッター羽根の錆がひどく、羽根が閉じない不具合があって、露出計不動、絞り不良とまさしくジャンク状態でした。生産数はあまり多くないモデルですから、復活出来て良かったですね。もう一台作業を致しますが、UPは省略するかもしれません。
こちら#2429XXの方が製造は後なんですけどカバーのへこみが多いですね。出来るだけ修正をしておきました。また、ファインダーの材質もアルミの加工から樹脂製に変わっていますね。
全体のオーバーホールとモルト交換をしてありますが、デザイン優先のカメラなので、モルトの形状も簡単ではなく厄介です。製造時期の違いによってトップカバーの彫刻文字の太さも微妙に変化していますね。発売は1964年とのことで東京オリンピックの年なんですね。「MINI」という単語はミニスカートの女王ツイッギーが流行らせたと思ったら、ツイッギーの来日は1967年だとか。車のミニなどが流行の語源でしょうか? 万年筆にも軸の短いミニというのがあった気がしますけど・・確かに小型でデザイン性に優れた意欲的な製品だと思いますけど、現代の目から見ると、とにかく重い。返って小さくて重いことがバランスが悪く、カメラの保持には逆効果な感じがします。全金属製とした当時の生産の流儀では仕方のないことでしょうけどね。