久しぶりのコンパクト、PEN-D3 #4265XXです。巻上げはスムーズではなく、二重巻上げ防止が解除されにくいですね。ファインダーブロックが激しく腐食しています。放置時間の長い個体が、修理を受けているという印象ですね。
トップカバーを開けてみます。露出メーターの透明カバーの汚れが激しいですね。余談ですが、このカバーの材質は普通の塩ビ板などではなく、帯電防止効果のある材質です。カバーの面積が大きいので、静電気で帯電すると、メーター針が吸い寄せられたりして作動不良となるためです。巻上げダイヤルも一度分離されていますね。ダイヤルカバーは、ビス留め基部を残して脱落しています。とにかく汚い印象です。
シャッターユニットは本体からは分離されていないと思われますが、レンズ前面部と裏から後玉を分離した形跡があります。工具を掛けるスリ割りを損傷して、黒のタッチアップを派手に塗ってあります。こう言う個体は厄介なのです。観察すると、ピンセット先のコロが紛失していますね。たぶん、紛失したことも気がついていないのだと思います。では、全て分解して点検、洗浄をします。
シボ革の接着の状態から、シャッターは未分解と思ったのですが、分解されていますね。シャッター羽根のセットの仕方も違っているし・・効果の無い処置もしてありました。
途中はしょりますよ。シャッターのオーバーホールは終っています。特に磨耗もなく、問題はないユニットです。オーナーさんから、ピントレバーの動きが硬いとのご指摘でした。点検すると、オリジナルのグリスではなく、前回の修理の時に硬いグリスを使われたようです。D系のような口径の大きなヘリコイドの場合は、S系と同じグリスを使用すると硬く(重く)なってしまいます。軽めのグリスを使って入れ替えをしてあります。
とにかく汚いカメラです。全て洗浄して、部品単位で磨いています。駒数板下のギャは樹脂製に変わっています。巻上げダイヤルカバーが脱落していました。オーナーさんはEE用のグレー色でもとのことでしたが、それはみっともないですから、在庫の黒色モールドを使います。但し、黒色の調達は困難のため、いつでも交換できるわけではありません。
ダイカスト本体にシャッターユニットを組み込んで、前群を取り付けますが、ピンセットのコロが欠落していましたので、追加しておきます。通常は、このコロがないとチャージが完了しないのですが、この個体は作動していましたね。
ファインダーの清掃と、激しく腐食していたブロックをタッチアップしてあります。全て分離した上で、焼付塗装も可能ですが、ダイカストの侵食が激しいので、これはこれで良いでしょう。基本的には消耗の少ない個体でしたが、保管が最悪で、その後の修理もあやしい修理でしたね。レンズの前玉をなんで瞬間接着剤と留めているのよ・・・