このPEN-F #2010XXはオーバーホールで来ています。作動はそれほど悪くはありません。但し、右のストラップイヤーが陥没しているように見えました。そこで、トップカバーを開けてみると・・・あらら、留めビスが2本共折れていますね。ここは緩み防止のため、エポキシ接着剤と併用で組立ですので、中に残ったネジを抜くことは非常に困難です。
その他の部分を点検して行きますが、リターンミラーが変ですね。ホルダーから浮きぎみに接着されています。ファインダーのピントを点検してみると、大きく外れています。これは、再接着をしたため、調整がずれてしまったものです。ミラーを一度分離して再接着をすることになります。
では、全て分解してダイカスト本体のみにした後、ストラップイヤーから始めます。ネジ孔に残ったネジ部を取り除かなくてはなりませんが、接着併用ですのでスリ割りを付けたぐらいでは回りません。本体側のネジ山を壊さないように切削で取り除くしか手はありません。
真鍮のネジ部のみ削って取り除きました。ご覧のように、本体側のネジ山には損傷はありません。この部分は、何故か真鍮ネジですので、過大な荷重を掛けると折れる危険性があります。古い機械のレストアでは、このようなトラブルはまま起こります。それをリカバリーするテクニックが無ければなりません。
リターンミラーを分離しました。観察すると、古いエポキシ接着剤を残したまま、ゴム系接着剤で貼ってあります。どうにもなりませんね。多分、シャッターを切った瞬間にミラーが脱落したのでしょう。その時の衝撃でミラーの角が欠けています。しかし、ミラー自体の状態はそれほど悪くはありませんので、このまま再接着で使用します。
洗浄した、シャッターユニット。比較的良好なユニットだと思いますね。
完成した本体とリターンミラー関係。ブレーキは交換してあります。張替えたリターンミラーを組み込んでカビの発生したスクリーンとプリズムを清掃して組んであります。
右のストラップイヤーをM1.7X4の純正ビスで接着併用で取り付けています。この部分、左側のストラップイヤービスは鉄ビスなんですよ。よって、真鍮ビスを使用する右側が破断することが多いのです。全反射ミラーは再使用としています。
よくよくトップカバーを見ると、ストラップイヤー付近が陥没していますね。ははぁ、ストラップイヤービスの破断は、落下による衝撃だったのですね。幸い、他の部分への落下による損傷はありませんでしたが、みなさんも不注意でカメラを落とすことのないようにしましょう。PEN-Fとしては、巻上げやシャッタートルクも良好な個体だと思います。