今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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Zuiko 38mm f1.8 のトラブル

2012年04月03日 21時15分37秒 | インポート

Dscf101315 最近は標準レンズのメンテナンスも多く入って来ますが、只のレンズ清掃では済まない個体が増えていますので、ちょっと工数が合わなくなっていますね。この個体は#27777(ちょっと素敵な番号)と、設計変更前ですが、レンズは後玉外周曇り以外は比較的きれいです。問題は、ピントリングが回らなくなったということ。FT用のピントリングには通常の絞り値とTTLナンバーの両方を回転させて表示する設計ですが、ピントリングとボール受けリングの組み立て小ネジ2つのうち1つが脱落していたもの。ピントリングを手前に引いて回転させるためのバネが多数使用されているため、ストレスのため小ネジが揺るんだ状態で使い続けたことが原因ですね。幸い、バネやスチールボールの紛失はありませんでしたので、すべて分解洗浄をして再組立をしてあります。

Dscf101025 38mmは画像1枚で終ってしまいましたので時計をUPしておきます。56キングセイコーの機械のみ不動ジャンクが手に入りましたのでO/Hをして手持ちのケースに入れて完成させようという魂胆です。56キングセイコーというと、ワンピースケースが多いのですが、それに搭載されている機械は5625Aというタイプ。この個体は1973年製造の5625Bで、通常の裏蓋ねじ込み式のモデルです。よって、裏蓋のメダルは省略されています。56系は、それまでの機械の基本レイアウトとは異なり、セイコー最後の機械式ユニットとして、斬新な設計をされています。それによって、部品の耐久性に問題がある揺動レバーは不良となっていました。まず、分解洗浄をしましたが、自動巻きの歯車に磨耗と揺動レバーの他は、特に問題はないと思います。基礎キャリバーのロードマチックが6振動から8振動に改良されているため、テンプ、アンクル、ガンギ車、そして香箱などは別仕様で共用は出来ません。

Dscf101275 UPの予定は無かったため、画像は撮ってありませんで組立はほぼ終っています。作動は安定しており、特に問題はありません。なんでジャンクになったのかな? 一応キングセイコーでしょ。それが1.800円で売られてさ。で、手持ちの文字盤をつけていますが、入手をしたジャンクはデイトのみの表示仕様でしたので、文字盤に合わせてデイのリングと作動メカを移植してあります。針は付属のものを使うつもりでしたが、腐食と軸に圧入をしても緩くて使えないため、以前に入手しておいたリプロ針を使用します。本来は、この文字盤には剣型ではなくて普通の針が正規ですが、キングセイコーなら剣型でしょう。という私の思い込みです。リプロにしては仕上がりは非常に良いと思いますが、残念なのは、中心に入る黒線のプリントが艶消しが強すぎて黒に見えないこと。これ、タイ国から送られて来ます。

Dscf101487 で、ケースに収めて完成です。風防はガラス製ですが、ジャンクは殆どキズたらけのため、社外品の新品に交換してあります。バンドは腐ってもキングセイコーなのでイタリア製のモレラートを奢ってあります。やはりセイコー5よりは高級感がありますね。