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にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『おおさか・元気・文楽』

2009年01月31日 | STAGE
『義経千本桜』道行初音旅
源義経が頼朝と不仲になり西国目指して都を落ち吉野山にいると聞いた静御前は佐藤忠信を連れ吉野山へとやってくる。しかし吉野山で忠信とはぐれた静御前は、鼓を打つと必ず忠信が姿を現すことを思い出し鼓を打つ。するとどこからともなく忠信が現れる。実はこの忠信は静御前の持つ鼓の皮に用いられた狐の子源九郎狐だった。
(あらすじは歌舞伎版より)

昨年の歌舞伎の正月公演でこれを見ているんですが、その時の感想はコチラhttp://blog.goo.ne.jp/tome-pko/e/b8d7c6a25d17205369a4575ade9c1d0f
歌舞伎版では奈落から忠信が現れるので人間ではないというのは、わかるんですが、文楽版では最初はしっかり狐さんで登場なんですね。そして早変わり。見せてくれます。歌舞伎では舞踏なんですが、文楽でもそれっぽく、そして扇子キャッチなんて技もあります。忠信が兄継信が戦で矢を受けて命を落としてしまったことを語る場面では静御前から矢に見立てられた扇子が投げられそれをキャッチして矢に射られたことを表す場面には驚きました。かっこぇぇー(笑)。
歌舞伎版ではついつい狐の格好をしてしまって、いけないいけないとお茶目に花道を歩いていくシーンで終わりなのですが、文楽版はビシッと決めポーズで幕でした。この演目はどっちも面白いなぁ。4月公演でもこれあるので、もう一度見られる。楽しみです。

『傾城恋飛脚』新口村の段
こちらの演目は昨年の文楽の正月公演で同じものを見ています。ところが今回は丸々住大夫さんおひとりで語られたんですよ。・・・と言っても昨年どこでどう大夫さんが変わってたのか全然覚えてないんですけどね。(^^;
覚えているのは孫右衛門をお遣いになられた勘十郎さんが素敵だったということだけで・・・。まぁ、いい加減なものです。
今回は前回同様忠兵衛は清十郎さん。梅川が勘十郎さんだったんですが、私の中では勘十郎さんって立役のイメージしかないので女形の梅川を遣ってらっしゃるのが珍しい感じがして不思議でした。でも昨年の孫右衛門の方がよかったなぁー・・・なんて思ってしまって帰ってきてプログラムを見て納得。昨年観た梅川は蓑助さんだったんですよ。まだまだ初心者なんで何がどうっていうのはわかんないんですが、蓑助さんがお遣いになる女形はとにかくいいんですよ。色気があるって言うのかなぁ・・・。
そうそう途中、孫右衛門が、養い親を思うなら覚悟を決めて名乗って出て来いと言い、奥の間からかけ出る忠兵衛を押し戻し「今じゃない、今じゃない・・・」という決めの所でかすかに起こった笑い。おいおい・・・ここは笑うシーンじゃないぞ。ドタドタと出てきた忠兵衛がおかしかったのかもしれないけど、いくらなんでもここで笑うなよなぁー・・・。
文楽劇場じゃないところで見るとこういうことが起こるのね。(^^; でもちょっぴり悲しかったな。いくら初心者、初見でも普通この流れはわかるだろう・・・。ふぅー・・・。

-2009.1.30 NHK大阪ホール -





【観劇】『座頭市』

2009年01月26日 | STAGE
『座頭市』
脚本:堀越真。
演出:水谷幹夫。
出演:松平健。若村麻由美。山口馬木也。中村玉緒。他。

御影石の産地である門毛村では、一年ほど前から石材商大槌屋が笠間藩家老を後ろ盾に賭場を開き、村を荒廃させ百姓たちを窮地に追い込み石の採掘権を取り上げようと画策していたが、村の若者たちは山へ立てこもり何とか石切り場を守ろうとしていた。そんな中、座頭市は一膳飯屋のおきんを訪ねてこの村にやってくる。

こういう主演俳優ありきの商業演劇は初見だったんですが・・・。フフフ・・・そっかこういうものなのか・・・というのが大きな感想ですね。やはり主演のとにかくかっこいい見せ場をたくさんいれないといけないというせいなのか、どうも脚本がグダグダなんですよ。松平健の『座頭市』ということで結構期待してたんですけどねぇ。
まず賭場の用心棒平田御幸って何よ。用心棒が出てくるのはいいんだけど名前聞いた途端吹き出しそうになっちゃったじゃない。しかもそのあとゴホゴホッってせき込んだ時にはあーた、私完璧に吹き出しちゃったじゃないか。いくら何でも・・・ねぇ。こりゃ映画『座頭市物語』をなぞるのかな?と思ったんですが、その割にはこの浪人平田と市の関係って中途半端だし、物語全体を通して平田のポジション中途半端だし・・・いらなかったんじゃないの?女壺振り師おれい・・・実は・・・という、この女性とのほのかなロマンス・・・もこれまた中途半端で・・・。商業演劇ってやっぱこんなもんなんですかねぇ。しかも途中BGMの出だし思いっきり間違えるし、見せ場の大量の雪・・・紙吹雪もたまにボコッって塊落ちてくるし・・・。スタッフしっかりしろよ!(苦笑)。そうそう殺陣のシーンは効果音ないんですよね、これ新感線の舞台ずっと見てるもんだから、舞台でもあって当たり前みたいな感じになってたんですが、普通はないんだ。舞台を見ながら効果音をビシッって決めてくる新感線のスタッフってやっぱりすごいんだなぁと違う舞台見て改めて感心しましたよ。

しかし2部の『唄う絵草紙』はいろんな意味で楽しんじゃったよ(笑)。まず始まってすぐ1階席前方では、ペンライトっぽいライトのつく小道具を左右に振りだす。まるでジャニーズのライブみたいだ(笑)。で、健さんの早変わりでの歌謡ショー。オペラグラスで健さんを見ると、もう必ず前方のファンたちへ目線を落としている。いやぁ、すごいねぇ。やっぱファンのための舞台なんだ。ラストの『マツケンサンバ』。初の生マツケンサンバですが、これいいわ。楽しい。ちょっと癖になりそうだったよ(笑)。

はっきり言ってこういう商業演劇はファンが近くで生でほとんど出ずっぱりの贔屓の俳優さんを愛でるもの・・・なんでしょうね。

-2009.1.25 御園座 -

【観劇】『リチャード三世』

2008年12月23日 | STAGE
『リチャード三世』
作:ウィリアム・シェイクスピア。
翻訳:三神勲。
演出:いのうえひでのり。
出演:古田新太。安田成美。榎本孝明。大森博史。銀粉蝶。天宮良。

生まれながらに醜い顔、不自由な体であるグロスター公リチャード三世。彼はその醜くさを自分の糧に王冠を自らの頭上に戴くために悪辣の限りを尽くす。

古田新太さんのリチャード三世、シェイクスピア劇にはすごく高い期待度で、シェイクスピアのいのうえ演出に関しては、どうなんだろうなぁ?という期待度なしで観に行った。すみませんいのうえさん。「どうだろうなぁ?」なんて素人のくせに偉そうなこと思ってしまって。本当に申し訳ない。心よりお詫び申し上げます。というくらいいのうえさんならではの演出でしかもシェイクスピア劇のハードルを低くしてくれる親切設計(笑)。ガチでストレートなシェイクスピア劇なんだけど、しんどくならないようにちゃんと笑いの部分も含めている。そうそう笑いのネタ仕込めるような芝居じゃないので、さすがに大笑いはないですが、軽くジャブのようにセリフの語尾を遊ばせたり、芝居運びがおかしくならないように子供にダジャレ言わせたり、極めつけ衣装で笑いとりますか。すごいよ(笑)。初日に観にいったのがすごく悔しい。これある程度公演重ねて出来上がったものを見たいなぁ。絶対もっとすごいものになってるよ。東京公演を観られる人がうらやましい。高い期待度だった古田さんは、さすがにシェイクスピアはそうそう簡単には演らせてはもらえないようですねぇ。初日ということもあり苦労してます感がすごく表れていた。他の役者さんたちもきつそうだったなぁ。結構セリフ噛んでるし声の張りがないし・・・。ただその中で「初日?それがなに?」な勢いで見事なまでの完成度と個性力量をみせつけていた銀粉蝶さん。すごいです。DVDで見た蜷川演出の『リア王』に出てらしたので、シェイクスピア劇には慣れた女優さんだとばかり思ってたら、なんとシェイクスピア劇は今回が2度目だとか。すごいですよ本当に。やはり観にいった人みんなそう思ってたのか、カーテンコールではこの人の登場には一際拍手が大きくなってましたよ。これタイトルロールの古田さんが、回重ねて慣れてきたあたりには、きっと他の方も慣れてるだろうし、反対に古田さんに引っ張られる部分も出てくるだろうし、もっともっと見ごたえのあるものになるでしょうね。完成度高いの見たいよぉー!

-2008.12.22 シアターBRAVA!-

【観劇】『冬の絵空』

2008年12月10日 | STAGE
『冬の絵空』
作:小松純也。
演出:鈴木勝秀。
出演:藤木直人。橋本じゅん。中越典子。片桐仁。中村まこと。生瀬勝久。

時は元禄。主君浅野内匠頭が、吉良上野介と殿中で刃傷沙汰を起こしたことにより赤穂浅野家は断絶。主君の無念を晴らすべく仇討に打って出るかと思えば、大石以下赤穂浪士たちにその気配はなし。それどころか大石は浪士たちの今後の身の振り方を考えていた。そんな大石に業を煮やした天野屋利兵衛は、娘おかるを嫁にしたいと言う人気役者沢村宗十郎に、娘との縁談を承知する換わりにある芝居を演じさせる。

『忠臣蔵』好きなわたくし、これ楽しみにしていたんですよねぇ。でも、まさかこんなお話だったとは・・・(^^;。
いや、面白くないことはない。それなりに楽しんだ。
でも、大きく2点。
まず一つ。長ぇえよ!劇場について、まず上演時間みてびっくりしたよ。19時開演。途中15分休憩で、終演21:45。実質2時間半。普通2時間でしょう。で、見終わって、休憩なしで15分短縮して、21:15分終了に出来るとみたね。15分は絶対に短縮出来る!
そして次に・・・男前の俳優って藤木直人君しかいなかったんでしょうか?あのねぇ・・・えっと・・・その・・・以下略。あの規模でもろマイクってどうよ?

しかし何がびっくりしたって、まさか吉良がコメディリリーフだったとは!(笑)。私が観た日は吉良役が粟根まことさんだったんですが、いやぁ、この日に行ってよかった。橋本じゅんさんに迫る粟根さん。新感線ファンにはたまらない2ショットですよ。松尾版も見たい気はするんだけど、やっぱじゅんさんには粟根さんでしょう(笑)。
主演のダイコン・・・あ・・・言っちゃった。ま、いっか。を除けば他は見事なキャストですよ。生瀬さんの舞台は今回初めて見るんですが、さすがですね。なんなんですかね、この人のこの妙な余裕は。これまだ始まったばかりで、この後東京で1か月近くあるんですよね。案外終わりの方がまとまって、主演も慣れて、もっと面白くなってるかもしれませんね。

-2008.12.8 サンケイホールブリーゼ-

【観劇】新感線☆RX『五右衛門ロック』

2008年08月19日 | STAGE
新感線☆RX『五右衛門ロック』
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太。松雪泰子。森山未来。江口洋介。川平慈英。濱田マリ。北大路欣也。

なんとか釜茹でから逃げ出した五右衛門を待っていたのは胡散臭い南蛮人の商人二人。彼らの話に乗って目指すは神秘のお宝月生石の眠るタタラ島。ところがしつこく追いかけてくる五右衛門捕縛に命をかける役人左門次。すったもんだで到着した南の島で、月生石をめぐる騒動に五右衛門がつける決着は!?

もうこれは極上のエンターティメントですな。楽しかったぁ!!
そしてなにはなくとも北大路欣也さんかっこぇぇ!!!もうなんだかねぇ、それに尽きるね(笑)。そんなに大したことしてるわけじゃないんだよ(爆)。どう考えたって他のメンバーの方が動きは多いし、重労働だと思うよ(笑)。でもねぇ、もうとにかくいるだけでかっこいいんだ。立ってても座っててもかっこいいんだ。殺陣もねぇ、剣振るだけでかっこいんだ(笑)。やっぱ存在感かねぇ。
それと、川平慈英さんもすごいわ。いつもハイテンションな右近さんが慈英さんに付いてくの必死って気がしなくもなかった(笑)。テンション高すぎです慈英さん。あなたすごすぎます。歌に踊りにハイレベルでハイテンション。今日本であなたに敵う人はいないのではないでしょうか?

実はねぇ、これ2回行ってるんですよ。
まずは16日。チケット取るときに土曜日だからそんなにいい席こないだろうと、平日の方がいい席くるんじゃないか?と19日もとったんですよねぇ。
そしたらなんと16日がF列でしかも通路横!みんな通る通る!しかも至近距離で止まって歌うし!もう最高の席でしたね。で、19日はなんとB列。しかもほとんど端。見切れはなかったんで、全然悪くはなかったですが、16日の席が良すぎました。日にちが近すぎるので内容にほとんど変化なし。ただ江口さんのギター侍のシーンでマイクが故障するというアクシデントが!こういうアクシデントに遭遇するってのは案外おいしいかも(笑)。
毎日の日替わりネタらしい河野さんの19日のネタ「これは『黒部の太陽』ではありません」には私は思いっきりウケたんですが、一般ウケはしなかったようで・・・(笑)。

そうそう・・・本日開演前のロビーでいのうえさんが私の前を横切って行った。毎日来てる?ってことないですよねぇ。公演日あと5日で演出の変更があったらびっくりする(笑)。って言ってももう見ないからわかんないんですけどねあったとしても。(^^;

あぁ・・・早くDVD出ないかなぁ(爆)。

-2008.8.16&2008.8.19 大阪厚生年金会館大ホール-


【観劇】『夕』東京セレソンデラックス

2008年07月24日 | STAGE
東京セレソンDX『夕』
作・演出:サタケミキオ。
出演:宅間孝行。永井大。木下智恵。いとうあいこ。他

長崎にある海のそばの食堂兼民宿「あいかわ」を舞台に、「あいかわ」の三兄弟の二男元弥に小さな頃から思いを寄せていた隣家の夕の恋の物語。

お兄ちゃんのように慕いながらも、実はずっと恋心を抱いていた夕。もうすごくベタな話なんですよ。伝えられない思いに友人が絡んできて・・・って。遠い昔に読んでいた少女マンガな世界。だからなのか、なんだかすごく懐かしくってすごく自分の中にすっぽり納まってしまうような感じで・・・好きだなぁ。こういうの。
実はこの作品6月29日にYAHOOのライブトークで生中継されたときに観てるんですよね。だから生で観たいとは思いつつ、ネタ知ってるし・・・と諦めていたところ偶然にも観劇できることになって、出かけたのですが、ネタわかってても泣きそうになっちゃったよ。必死にこらえましたが、さすが劇場内のあちこちですすり泣きが・・・。パソコンで生中継観たときは、あの展開が読めずに「え?そうくるの?」ってとこからもう滂沱の涙。これ初見で純粋で乙女な方ならそら泣くよ。「くるぞ、くるぞ」と構えていても夕顔のシーンにはもうウルウル。純粋にいいお話だから見てよって言いたい舞台ならではのいい作品ですね。
パンフレットによると大阪での公演は今回が2度めだそうで、今回の大阪での入りはいいのか悪いのか?ちょっと微妙なラインのようですが、今後も大阪公演ぜひともお願いしたいですね。

-2008.7.23 そごう劇場-


【観劇】『東海道四谷怪談』

2008年05月30日 | STAGE
通し狂言『東海道四谷怪談』四幕十場

あらすじは・・・と言うまでもないくらい有名な作品なんですが、この歌舞伎版はとにかく民谷伊右衛門は悪い奴です。で、しっかり『忠臣蔵』設定も入ってます。伊右衛門は塩冶浪人。伊右衛門に一目ぼれしてしまうお梅の祖父は高家用人の伊藤喜兵衛。つまり伊右衛門は赤穂浪士で、お梅に気に入られたのをいいことに吉良家に寝返るという武士としてはとんでもない悪党です。とは言えお岩を疎ましく思いながらもさすがに捨てることは出来ずにいる伊右衛門に実はさっき届けた薬は毒薬なんです。なんて平気で言う伊藤家の人もどうかと思うのですが・・・(^^;。
いい役しかみたことのない吉衛門さん演じる悪党伊右衛門。なかなかいいですねぇ。砂村陰亡堀の場で、一人生き残った伊藤喜兵衛の娘お弓を堀の中へ蹴り落とす場面はゾクッときます。かっこいい・・・悪党なのに(笑)。そしてこの場面で伊右衛門の「首が飛んでも動いて見せるわ」のセリフが出る。え?これって伊右衛門のセリフだったのかぁ。と『阿修羅城の瞳』を思いだす私。あ・・・そっか鶴屋南北も『東海道四谷怪談』も出てきてたな。これで納得。いやぁ実は『阿修羅城の瞳』でなぜ突然あのセリフが出てくるのかわかんなかったんですよねぇ。問題が一つ解決してよかったよかった(笑)。
しかし、この『東海道四谷怪談』という話は、何度も映画化されたりドラマ化されたりしていますが、切り口によりいろんな形に変わる面白い話ですね。裏切られ殺されるお岩さんの「恨」をメインにすれば、とにかく怖い幽霊モノになるだろうし、悪の道をひた走る伊右衛門をメインに描けばピカレスクロマンに。中川監督版のようにラブストーリーになったりもするんですから深い物語です。今回鶴屋南北の基本的な歌舞伎版を通しで観ることが出来て、その深さがわかりました。
そうそう、ラスト、舞台に出ている出演者がお辞儀をして幕。あれ?こんなのはじめてだ?なんで?と思ってたんですが、なんでも座頭が主役で最後は殺されて終わりっていう芝居の場合は殺される手前で終わるそうなんです。ほぉ~、これでまた一つかしこくなった(笑)。歌舞伎ってホント面白いですね。

-2008.5.25 新橋演舞場-

【観劇】ファントマ『イエス斬り捨て』

2008年05月13日 | STAGE
『イエス斬り捨て』ファントマ
作・演出:伊藤えん魔。
出演:保村大和。久保田浩。猫ひろし。牧野エミ。他。

動乱の幕末。
大老井伊直助の暗殺から幕を開き、岡田以蔵を中心に幕末に生き、死んでいった者たちの物語。そして主人公である以蔵は親友竜馬は一冊の聖書と十字架を送られていた。竜馬の誘いと聖書の言葉に一度は刀を封印する以蔵だが・・・。

「中之島演劇祭2008」のチラシにこの作品をみつけ、「ファントマ」の名前はなんとなく聞いたことがあったし、幕末モノだし、ちょうど2月に劇団☆新感線の『IZO』を観たとこだし、なんか面白そうだ。と行ってきました。
いきなり桜田門外の変が、大老の首をボールにみたててのアメリカンフットボール風になってたのには驚いた。「え?そういう劇団だったのか!?」
おもしろ、おかしくって楽しかったですよ。いやぁ、実はこのチケット買ってから、どんなのかなと情報を入れたくって2ちゃんねるとか読んでたんですが、なんか主要メンバーがゴソッと抜けちゃたとか、客演やたら呼んでやってるけどまとまりよくないとか、悪いコメントばかり・・・(^^; 気持ちはかなりへこんでたんですよね。
でも、以前は知らないから質が落ちたのか、どうかわかんないし、それなりに面白かったですよ。歌はみんなすごくうまいしかっこいいし。ただ脚本ががさつだと言えば言えなくないかも・・・。メインの物語の筋が通りきっていないですけどね。聖書と十字架が生きてない(爆)。それと猫ひろしさんのシーンくどい!しつこい!猫ひろしだから猫ひろしじゃなきゃいけないのかもしれないけど・・・う~ん。ベタすぎですな。

冷静に演劇通な方々がこれを観てどうかってのはあるかもしれないです。私自身も2月に明治座の公演みたいだと言われたガッチガチの劇団☆新感線の『IZO』を観てるから、以蔵や武市の描き方のゆるさは気にならないではないです。でも・・・「おもしろきゃいいやん」です。
しかし、まさか新撰組の芹沢鴨が逃げ切って海を渡ってジョン万次郎として帰ってくるとは・・・義経が大陸に渡って成吉思汗ってのよりすごい(笑)。
四の五の言っちゃあキリがない!とにかく!楽しんだ!面白かった!それでいいやん!です。

-2008.5.12 新・ABCホール -

【観劇】『寿初春大歌舞伎』夜の部

2008年01月08日 | STAGE
『寿初春大歌舞伎』夜の部
御所桜堀川夜討 弁慶上使
源義経の正室卿の君が平時忠の娘だということから源頼朝は義経謀反の疑いありとし、その身の潔白を証明したいのなら卿の君の首を差し出すように命じる。その命を帯びてやってきた弁慶は卿の君に仕える侍従太郎夫妻と共に一計を案じ、卿の君と容姿の良く似た腰元しのぶを身替りに差し出すことにするが、しのぶの母おわさは、たった一度契っただけで名も知らぬしのぶの父としのぶを会わせるまで待って欲しいと嘆願する。その男が残した振袖の片袖だけが頼りと語るおわさ。しかしそれを奥で聞いていた弁慶はすかさずしのぶを手にかける。怒るおわさに弁慶は片袖を脱ぐ。するとそこにはおわさのものと同じ振袖があった。弁慶がその父であったのだ。わが娘と知って手にかけた弁慶は慟哭する。そして侍従太郎は偽首と悟られぬようにと自分の首を添えて差し出すようにと切腹するのだった。

これあらすじ読んだだけでウルウルきちゃう話なんですが、舞台で見るとこれまた素晴らしい。映画の場合はネタばれ・・・なんてことであらすじラストまで書かないようにしていたんですが、歌舞伎の場合は、その必要ないですね。こういう話をこういう風に演じているんだという見方が正しいのだと思います。弁慶役は中村橋之助さんで、南座の『勧進帳』で松本幸四郎さんの弁慶を観たばかりの私には、ちょっと重みにかけた印象がありましたが、でも役の巧さはさすがの役者さんですね。弁慶慟哭のシーンはすごかった。
ただしのぶ役の人が出てきた雰囲気からして、あまりうまそうじゃない(爆)。で、やはりあまりうまくない・・・で、プログラム・・・じゃない番附っていうんですか、それを読むと坂東新悟さんって方でなんとまだ高校生だそうで・・・こりゃ失礼しました。


義経千本桜 吉野山
源義経が頼朝と不仲になり西国目指して都を落ち吉野山にいると聞いた静御前は佐藤忠信を連れ吉野山へとやってくる。しかし吉野山で忠信とはぐれた静御前は、鼓を打つと必ず忠信が姿を現すことを思い出した静御前が鼓を打つとどこからともなく忠信が現れる。実はこの忠信は静御前の持つ鼓の皮に用いられた狐の子源九郎狐だった。

これは歌舞伎の舞踊の部類に入るものだそうなんですが、南座で観た『二人椀久』と違いまるまる舞踏じゃなかったんで、すごく楽しめました(笑)。しかも狐だし。そうそうサライという雑誌が歌舞伎特集だということを教えてもらい早速購入。雑誌についていた歌舞伎基本のキという冊子を読んでこの観劇に臨んだのですが、それに花道にあるスッポンというセリから出てくるのは妖術使い、幽霊、妖怪変化、など人間以外の役に使われるとあって、忠信の登場がここからだったのに感激(笑)。そうだぁ狐だもんなぁ。と一人納得。ちょっとでもわかってることがあると面白さは増えますね。花道を帰る忠信がついつい狐さんのポーズになっちゃって、いけないいけないとばかりに人間のポーズに変えるところが笑いを誘って、全般的にわかりやすい面白い演目でした。狐の三津五郎さんかわいかった(笑)。

恋飛脚大和往来 封印切 新井井筒屋の場
この作品は以前観た文楽『冥途の飛脚』の改作つまり先日観た文楽『傾城恋飛脚』を歌舞伎化したものだそうです。
あらすじの基本は以前観た文楽のこちらとほぼよく似たものなんですが、この『恋飛脚・・・』の方では八右衛門はすごく嫌な野郎として描かれてます(笑)。こちらでは忠兵衛が梅川を身請けする前に自分が身請けしようとするが断られ、その腹癒せに忠兵衛が奥にいるのも知らずに罵り、現れた忠兵衛を挑発し公金の封印を切らせてしまうという流れになってます。私としては友人思いの八右衛門の気持ちがなんでわからんねん忠兵衛!という『冥途の飛脚』の方が好きですね。
だけどこれ八右衛門を敵役に仕立てたせいか、妙にコミカルになっている。見やすいけど文楽の『冥途の飛脚』に感動した私としては微妙だな。(^^;
梅川が身請けされて喜ぶ店の女将が「千日言っても・・・」というセリフに「その千日が迷惑」と返すシーンにこの千日の意味が昔刑場だった千日前を指すってことを知ってたので思わずにやり。やはり少しでもわかってることが多い方が楽しいですね。

これで歌舞伎は2回目。文楽より歌舞伎の方がわかりやすく見やすいですね。やはりこれは生身の役者さんが演じるから、細かい所作やら表情やらがわかるからでしょうね。
それに今回は無茶苦茶いい席で観られたんで、全然眠くならなかった(笑)。なんたって役者さんの汗まで見えるって場所ですから。1階左列1番。所謂桟敷席と呼ばれるところに位置する席です。以前文楽の鑑賞でも使った「府民のための芸能・芸術半額鑑賞会」っていうのに当たっての座席だったんですが、まさかこんな席で鑑賞出来るとは・・・またこれで応募して当たったらここなのかな?大阪府民の方々、ホントこれ利用しない手はないですよ。府政だより要チェックです。

-2008.1.7 大阪松竹座 -

【観劇】文楽

2008年01月07日 | STAGE
第1部 本日の演目
七福神宝の入船
新年を迎え船の上で宴を催す七福神たち。そして一人づつ芸を披露することになる。

正月にはもってこいの作品ですね。ご陽気だし縁起いいし。最高に楽しかった。しかもいつもは三味線だけなのに琴まであって、琴と三味線の合奏がいい。しかも大黒天が取り出したのは胡弓。ほ~っと見ていると鼓弓の音が・・・「え?」と思い三味線の方に目をやると・・・なんと鼓弓を弾いてらっしゃるじゃないですか!すごいなぁ。弁財天が弾く琵琶は前回見た三味線の音を琵琶の音に変えるという方法でこちらは三味線だったんですけど、音的にもすごく堪能させられました。
そうそう・・・鯛を釣る恵比寿さんが取り出したのはビアジョッキ(笑)。なんともサービス精神旺盛な演目でした。

祇園祭礼信仰記
<金閣寺の段>
将軍足利義輝を策略で殺した松永大膳は、その母慶寿院を人質として金閣寺に幽閉していた。その慶寿院が天井に雲龍の絵を描くように大膳に要求したことで父の敵を探す雪舟の孫娘雪姫と恋人の直信もまた囚われの身となっていた。雪姫に絵を描くか自分のモノになるか迫る大膳に秘伝の書がなければ描けないと拒絶する雪姫。そこへ信長の元を去り浪人したという此下東吉がやってくる。才長ける東吉を気に行った大膳は彼を自らの知将にすることに決める。

<爪先鼠の段>
雪姫と二人になった大膳はまたしても絵を描くように迫る。そして雪舟の手本さえあればという雪姫に対し、持っていた剣を滝にかざすと滝水に龍の姿が現れる。この剣こそ父が殺された時に奪われた「倶利迦羅丸」で大膳こそ父の敵とわかる。父の敵と斬りかかる雪姫だったがあっさりと捕らえられ、五つの鐘を合図に直信を殺害すると大膳に宣言される。桜の木に括りつけられた雪姫は、祖父雪舟が幼き頃涙で描いた鼠が縄を食い切ったという話を思い出し足元の桜の花を集め爪先で鼠を描くと、その鼠が動きだし縄を食い切る。そして逃げようとしたところを見つかり危ういところを東吉に助けられる。彼は大膳を欺き慶寿院を助けに来ていたのだった。

やはり、こういう時代ものは苦手なようだ・・・眠かった(笑)。どうも淡々と物語が進むところってダメですねぇ。
それでもラストの金閣寺の最上階へ向かい慶寿院を助けるくだりは、面白かった。あれだけセット(っていうのか?)が動くのをはじめて見た。うまく出来てますねぇ。

傾城恋飛脚
<新口村の段>
昨年見たhttp://blog.goo.ne.jp/tome-pko/e/503bfe56ca9ccc7385baedab42266425
『冥土の飛脚』のその後の話で、故郷の新口村まで逃げ延びた二人が忠兵衛の父孫右衛門と出会うお話です。

同じ淡々と進む物語でもこういう世話物の方が眠くならないってどういうことなんでしょうかね?(笑)助けたいのに助けられない父。今生の別れとなることがわかっていても長くは共にいられない父子。ラストの少しでも遠くへ逃げてくれと見送る孫右衛門の哀切がいいです。
人形の使いがどうこうなんて未だに全然わからないのですが、何度が行くうちにひそかに桐竹勘十郎さんのファンになってしまった私(笑)。前の「祇園祭礼信仰記」で東吉を使ってらっしゃったのですが、パンフレットによるとこの「傾城恋飛脚」にはお名前なかったんですよね。ところが・・・この孫右衛門がなぜだか桐竹勘十郎さんでした。それだけでうれしかったりする(笑)。単純なんだ。

-2008.1.6 国立文楽劇場 -