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今日の筆洗

2021年08月21日 | Weblog

日体大体操部時代は、仲間で後の五輪金メダリスト、「山下跳び」の山下治広さんより、種目によっては上とも言われたらしい。けががなければ、そちらで名を残していたはずだ。妥協のないアクションシーンにその運動能力を生かし、若くして二枚目の俳優として成功する千葉真一さんである▼幾度か枠の向こうに跳んだ人でもあるだろう。『仁義なき戦い』が大ヒットした後、シリーズ二作目の主役に抜てきされながら、撮影直前に凶暴、凶悪な人物の役に代われと告げられる▼夜を徹して抵抗し、悩み、最後に全力で演じる道を選んだ。強烈な大友勝利の役は、シリーズを通じて、主人公をしのぐほどの強烈な印象を残す。大作『日本暗殺秘録』では、大物政治家を暗殺した実在の人物小沼正を演じた。中島貞夫監督の家に泊まり込み、がらにない役のために、教えを求めた▼恩赦で出てきた小沼には「本当にあの通りの気持ちでした」と言われたそうだ。怒り、内面の葛藤、情念。「アクション俳優」という枠に収まらない演技で印象深い場面を残し、活躍してきた千葉さんが亡くなった。新型コロナウイルスによる肺炎である。八十二歳▼芸名「JJサニー千葉」のJJは、ジャスティス(正義)とジャパンという。大きなものを背負い、世界からも認められた人だ▼映画と向き合ったまま死んでいきたい。著書にあった。