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今日の筆洗

2021年08月06日 | Weblog

ロンドン北部の小さな公園に「フィリップ・ノエルベーカー平和庭園」と呼ばれる一角があるそうだ。英ニュースサイトの「インサイド・ザ・ゲームズ」によると、一九八二年に他界したノエルベーカー卿の平和への貢献を顕彰している。園の扉には、ハトの装飾が施され、桜も植樹された。広島と長崎で被爆し亡くなった人への追悼の思いが込められているという▼存命中、日本で今の時期に五輪があれば、卿はより脚光を浴びただろう。二〇年五輪の陸上競技1500メートルで銀メダル。のちに軍縮に取り組みノーベル平和賞を贈られた人だ▼広島を何度も訪れ、「この核の時代に、人間にとって大きな希望は、オリンピック運動があるということだ」(『あの一言はすごかった!スポーツ編』)の言葉も残した▼きょう広島原爆忌。国内開催の五輪と初めて重なる。卿も言う五輪の精神を背に、広島から発せられる核のない世界への願いは響こう。五輪で黙とうしないのが残念だ▼前回東京五輪は復興を示す大会でもあった。<ヒロシマの川の/透きとおる水底に/ふとみつけた/小さな骨/ふさふさとした黒髪の少女か/つぶらな瞳の少年か>。同じ時代の深川宗俊さんの詩は、消えていない跡を語り、骨に<平和へのちかい>をしている▼骨は見えなくても、核兵器はいまだ消えておらず、広島からの平和への願いはまだ重い。