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今日の筆洗

2021年08月28日 | Weblog

なぜ、テロはなくならないのか。アフガニスタンで活動した医師の中村哲さんが、参考人として招かれた国会で発言している。「土壌、根っこの背景からなくしていかないと、ただ、たたけ、たたけというげんこつだけではテロはなくならない」。食えず、人々が追い詰められた状況でテロは起きてきた。なくすためには、「貧困の退治」であると▼一昨年、命を落とすまで、医療や衛生環境の整備などを通じて、長い間、地道にその「根っこ」に向きあった人の貴重な実感であろう。多数の死者を出す爆破テロが首都カブールで起きた。未解決な「土壌」の問題もあるのか、別の要因か。中村さんの言葉が聞きたくなる▼犠牲者には、市民も含まれている。国外を目指す多くの人々が集まった空港付近を狙う卑劣な犯行だった。犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」系勢力はタリバンの敵であるらしい。米軍撤退による権力の空白を突き、混乱する国にいっそうの恐怖をもたらした。許しがたい▼米国では撤退の是非や時期などをめぐり、政権に批判が出ている。長年たたいていながら大きなテロが起きた。その動揺もあるかもしれない▼バイデン大統領は報復の意向を示した。米中枢同時テロの報復攻撃が始まり二十年。その出口でまた報復の指示だ▼テロのない国へと向かっているのか。アフガニスタンの道のりである。