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今日の筆洗

2020年12月15日 | Weblog

 忙しい暮れに気はひけるが、「密」の字を使ったクイズをひとつ。「舎密」とは何か▼コロナ禍の今、その字を見れば、建物に人が密集する様子を想像してしまうのだが、これで「化学」の意味である。江戸後期の蘭学者、宇田川榕菴(ようあん)がオランダ語で化学を意味する、「シエミストリ」の音を当て「舎密」と書いた▼その「密」がやはり、「今年の漢字」に選ばれた。密集、密接、密閉の「3密」にならないように−。コロナ対策で回避すべき「密」の字が頭から離れなかった一年である▼なるほど、覚えやすく、よくできた文句だった。もっとも、この手のスローガンや流行語のようなものは時間の経過とともに急速に力を失うところもある。この「3密」も以前に比べ、少々効き目が薄れていないか▼感染拡大を食い止める「勝負の三週間」の最中だが、週末の各地の人出はと見れば、減っていない。むしろ、増えている場所もある。外出機会が増える師走とはいえ、「3密」の合言葉の陰りを感じてしまう▼緩みは国が観光支援の「Go To トラベル」を続けてきたのも一因か。「舎密」のおかげで、ワクチン開発が進み、海外では投与も既に始まっているとはいえ、決して、油断召されるな。「3密回避」、マスク着用、消毒などのコロナ対策の実践を別の「3密」によってお願いしたい。緻密に、精密に、厳密にである。