東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2020年12月04日 | Weblog
 鶏(にわとり)にも御利益があるようだ。山口健児著『鶏』という本に教わったが、東北地方をはじめ、鶏神社や鶏権現、鶏明神など鶏と名のつく小さなほこらや社(やしろ)が各地にある。鳴く姿からの連想で、子供らのせきに霊験があるとされ、まじないに、鶏の絵馬を家の出入り口に逆さまに張る地方もあったらしい。コロナ流行下の今なら、なかなか頼もしく思えてくる鶏さまである▼金銭的な御利益も思わせる生き物でもある。同書によると、金でできた鶏が地中に埋められているという「金鶏(きんけい)伝説」は各地にある。フランスのラ・フォンテーヌの寓話(ぐうわ)にも、金の卵を産むめんどりが登場した。「金づる」である▼こちらは輝くほうの鶏を思わせる話か。元農相の吉川貴盛衆院議員が、鶏卵生産大手の元代表から計五百万円を受け取っていた疑惑が、持ち上がっている。コロナ流行前であるが、農相在任中のことという▼鶏卵業界は家畜の飼育をめぐる国際基準の緩和などを要望していたそうだ。元代表は提供を認めているが、吉川氏の政治資金収支報告書に記載はないという▼金銭的な御利益があってはならない立場の方である。見飽きた感もある言葉だが、「説明」は必要であろう。加藤官房長官も一般論として「果たすことが求められている」と言ったそうだ▼わが国のことわざに「卵と誓いは砕けやすい」という。今度は固い誓いがほしい。