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今日の筆洗

2020年12月18日 | Weblog
 南北朝時代の武将で、後世に忠臣とたたえられることになる児島高徳(こじまたかのり)が高位の武将をいさめる一場面が『太平記』にある。いわく、戦に負けるのは、必ずしも恥ではない。だが、<引くまじきところをひかせ、懸(か)くまじきところをかけさするを、大将の不覚とは申すなり>▼守る時でないのに守らせ、攻め時でないのに攻めさせるのは、失敗である。武将たる者は、攻守のちぐはぐを避けなければならないと▼「勝負」と言われたコロナ流行下の三週間が過ぎた。感染者数は増え続けていて、医療機関への負荷も高まり、厳しくなっている地域も出始めた。勝負は残念ながら、敗色濃厚である▼政府は、対策分科会が見直しを求めたにもかかわらず、この間「Go To トラベル」を続けてきた。経済をまわす効果があったにせよ、守るべき時に国民にちぐはぐなメッセージを送ることにならなかったか、疑問は残ろう。停止が決まり、今は業界から悲鳴が上がる▼われらが大将ならぬ菅首相は、出すべき時に、国民への言葉が乏しいようだ。出てはいけない食事会にも出た。どうもちぐはぐである▼相撲の立行司、木村庄之助が代々受け継いできた軍配には「知進知退」の語句が書かれているそうだ。進むを知り、退くを知る。やはり勝負の世界で、重要なことらしい。まだ大一番は続く。反省を生かさなければならないだろう。