東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2020年12月30日 | Weblog
 詩人の八木重吉に「赤ん坊がわらふ」という短い詩がある。<赤んぼが わらふ/あかんぼが わらふ/わたしだつて わらふ/あかんぼが わらふ>。読めば、こちらの顔もついほころんでくる▼赤ちゃんが笑い、それを見た自分も笑顔になる。たぶん、赤ちゃんを見て笑顔になった親の顔を見れば、無関係なわれわれだって、ほほを緩めるだろう。赤ちゃんがつくった一つの笑顔がまわりに別の笑いや幸せを伝えていくようである▼残念ながら、笑顔の「リレー」はこれから、ますます少なくなっていくようである。試算によれば、今年の出生数は八十五万人を割り込み、過去最低を更新し、来年はついに八十万人を切るだろうという予測があるそうだ▼第一次ベビーブームの一九四九年の出生数が約二百七十万人。日本の<わらふ>がピーク時の三分の一以下になるのか▼無論、原因は新型コロナウイルスである。ただでさえ、晩婚化の傾向があったところに感染拡大による経済的不安や将来への心配によって産み控えが起きている。里帰りさえためらわれるなど出産環境も悪くなっている▼コロナは人の命を奪うだけでは飽き足らず、新しい生命をこの世に誕生させることまで邪魔立てするのか。コロナ禍を抑え込むしか手はあるまい。感染対策は今を生きる人のためだけではない。まだ見ぬ未来の<わらふ>のためでもある。