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今日の筆洗

2019年03月29日 | Weblog

「花わらう」という表現がある。わらうは「笑う」に加えて「咲(わら)う」とも書き、つぼみが開くことを表すという。音読みはいずれも「しょう」である▼花の「咲(え)み」と、見上げる人々の笑みとが出合う光景。都心でも見られるようになった。桜が列島各地で、大きくわらいはじめた季節である▼「桜の花の咲くまでよ」。プロ野球国鉄スワローズ時代のエース金田正一さんはオープン戦で新人に打たれるとそんな歌を口ずさんでいたそうだ(越智正典他『殺し文句の研究』)。開幕戦で、新人だった長嶋茂雄さんを4三振に仕留めている人は心の中で、ほほ笑んでいたのだろう。開幕すれば同じようにはいくものか、笑うのは今だけであると▼そのプロ野球は、開花の知らせが届く各地で、きょう開幕する。セ・リーグMVPの丸佳浩外野手、パ・リーグ打点王の浅村栄斗内野手ら、両リーグで大物の移籍があって、勢力の変化も感じる今季である。ドラフト一位の若者も複数、開幕一軍に残ったようだ。日本ハムには、台湾から新加入の四割打者がいる▼例年に増した楽しみがありそうだ。いよいよ、とグラウンドに出る新戦力がいて、好きなようにはさせないと、心中、自信をみなぎらせるベテランたちもいて…。笑みと笑みが、またぶつかる時である▼「花開けば風雨多し」という。咲いた後は、波乱に泣き、笑う季節だろう。

 
 

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