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今日の筆洗

2019年03月06日 | Weblog

【適当】という言葉を耳にした時は気をつけなければならない。原稿を見せた上司にそう言われた場合、新聞コラムにふさわしいと及第点が与えられたのか、大ざっばでいいかげんと叱られているのか、とっさに判別しにくい場合もある▼同じ字面で意味の異なる多義語。【結構】もそうで何かを頼み、相手がそう答えた時、それが承諾の意味なのか、拒否なのか、混乱した経験はどなたにもあるだろう。若い人の【やばい】にも危ないという意味で使う場合と、すごいというプラスの意味の場合があるのは、もはや常識だろう▼その情けないニュースに【無心】という多義語がつい浮かぶ。不正入試に揺れる東京医科大である。四日公表した報告書。前理事長が受験生の保護者に送ったメールの内容が出ていた▼「(寄付を)三百万程度しておいて、入学後にドカンと追加してください」。ドカンと寄付すると約束すれば入学試験は通りやすかったか▼【無心】には「遠慮なく物をねだること」という意味があるが、このメールがまさにそれだろう。合格と寄付を取引するかのようなやり方に「思慮、分別のないこと」の意味の【無心】が重なる。裏切られたのは公平な合否判定を信じ、【無心】で勉強した受験生である▼【適当】で【やばい】入学試験。こんな話は金輪際【結構】である-。意味を取り違える人はいないだろう。

 
 

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