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今日の筆洗

2019年03月09日 | Weblog

 覆面をかぶったまま、空港の入国審査を通ったことがあるらしい。銀行に堂々と入って、用事を済ませることも。母国の米国なら許されないどころか、事件になってもおかしくない。それがわが国であれば、そしてこの人ならば許された。周囲に咲いた日本の人々の笑顔を思い浮かべる。米国の覆面レスラー「ザ・デストロイヤー」である▼リング上で外国人プロレスラーといえばすなわち悪役だった時代がある。力道山が空手チョップで、外国から来た猛者たちをなで切りにしていたころである。ザ・デストロイヤーも記録的な視聴率となった伝説の熱戦で、空手チョップにより歯を四本折られている▼自身と共通する律義さや友情を大切にする気風を日本にみたのだという。「私は日本人に近いのかもしれない」と自著にある。親友となったジャイアント馬場さんと組み、日本に移り住んでリングに上がる道を選ぶ▼テレビのバラエティー番組の記憶も残る。日本のタレントとともに笑いを振りまいた。善玉の外国人レスラーや日本の笑いになじんだ外国人は今でこそ珍しくない。当時は違った▼外国人との心の垣根を日本のリングとお茶の間で、下げた人だろう。本名リチャード・ベイヤーさん。八十八歳で亡くなったと知らせが届いた▼引退後も日米を結ぶスポーツ交流などに取り組んだ。マスク越しにみえた笑顔が懐かしい。

 
 

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