ファンタジアランドのアイデア

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蒲焼きを心置きなく食べる環境作り  スモールアイデアNO488

2019-08-03 18:22:14 | 日記

 ウナギは、夏バテを防ぐ貴重なタンパク源とされてきました。特に、7月の末に訪れる土用の丑(うし)の日は、ウナギの年間消費の3~4割を占める特異日でした。この日は、蒲焼きを食べるという形をとりながら、値段も高騰する日でもあります。国産ウナギ卸値は毎年値上がりし、今年も昨年の1割程度高くなっています。さらに、絶滅危惧種に指定されつつあるウナギの大量消費に対する批判も高まっています。この二重苦に、ウナギの関係者は非常に厳しい状態におかれています。
 そこで、ウナギを食べる文化を守りながら、ウナギの安定供給について考えてみました。シラスウナギの稚魚の漁獲量が、過去最低を更新し続けています。この稚魚の取引価格が、急速に高騰しているのです。世界の流れは、絶滅危惧種を守る方向に動いています。この困難な状況を打開するヒントは、バレンタインデーにあるようです。日本では、バレンタインデーの日にチョコレートを送るという習慣ができました。チョコレート産業の仕掛けだと分かっていても、楽しいことは楽しいと相乗りしながらこの習慣を形成してきました。バレンタインシーズンには、チョコレートの売上げが500億円にもなります。これは、年間販売の10%強の売上げになります。蒲焼きもチョコレートも、ある特定の日に売上げが急増する特徴があります。
 バレンタインデーは、キリスト教に関連した行事として西洋で普及していました。西洋では、この日に友人や恋人の間でカードを交換したり,贈物をする習慣があります。でも、チョコレートを送る習慣は日本だけのようです。日本では、お菓子業界が仕掛けた企画に相乗りし、日本独自の文化に発展したようです。本来の趣旨からすると、愛の気持ちを伝える日とか、感謝を伝える日という設定のようです。日本では、単純に「チョコレート」を贈り物とする流れになっていました。でも、最近はチョコレートではなく、ユーモアやウィットのある人は、「詩」のような本来の趣旨に沿った贈り物を行う人達も出てきています。世俗に流されることなく、本来の趣旨を理解した上で、人の意表を突く贈りもをする人達の出現です。日本の若者も、ユーモアやウィットに富んだ行動を取るようになりつつあるようです。
 土用の丑(うし)の日は、暑さで体の抵抗力が衰える時期に高タンパク質を摂り、夏バテを防ぐ狙いがありました。その食材として、ウナギを提供したことが最初です。これを企画した粋人は、平賀源内と言われています。現代の平賀源内が現れても、不思議ではありあせん。事実、夏バテを防ぎ、なおかつ美昧しく、体に良い、夏の食べ物を開発する企業もあります。高騰するウナギの代替品として、ナマズやサバのかば焼きを開発するスーパーもあります。あるスーパーは今年、サケのかば焼きを追加しています。ウナギの蒲焼きが苦戦していますが、ナマズなどの代替品は前年並みの売上げを維持しているようです。
 代替の蒲焼きでは満足できない人のためには、完全養殖という正面突破の道もあります。完全養殖は、人工ふ化させた稚魚を親へと育て、さらにその親に産卵させる養殖方法です。絶滅危惧を防ぎながら、ウナギを資源として活用できる養殖方法になります。研究室内での完全養殖は、日本が2010年に世界で初めて成功しています。伊豆半島の南端にある世界最先端のウナギ研究所では、ウナギの稚魚を供給しています。問題は、人工ふ化のウナギの価格が1匹5千円~1万円と天然の700~800円の10倍以上することです。これを、天然ウナギ並にするには時間がかかりそうです。
 ウナギ文化を守る迂回作戦もあります。日本の消費者には、絶滅危惧種にたいする憂慮があります。今年の土用の丑(うし)の日は、ウナギの売れ行きが鈍くなっています。ウナギを遠慮する人びとも出てきています。この人びとの意識を、もう一歩高見に引き上げるのです。枯渇しつつあるウナギを、食べない運動を立ち上げます。日本人が土用丑の日に、ウナギを食べる習慣を止めれば、世界のウナギの生息数は増加します。でも、蒲焼きは食べたいという人もいるわけです。一気に辞めるのは、難しいことです。そこで、地域毎に我慢するルールを作ります。1種のゲーミフィケーションです。2020年は、北海道・東北地方がウナギを食べない地域にします。続いて、2021年は関東・中部地方がウナギ断ちをする地域にします。2022年は近畿と中国地方、2023年は四国と九州というルールを作ります。ただし、人工ふ化による蒲焼きは、いつでもどこでも食べられるようにします。いつでもどこでも蒲焼きを食べたい人は、ウナギの人工ふ化を応援する賛助金を出すことになります。2020年であれば、東北北海道の人は、蒲焼きを食べたと思って、蒲焼き代を研究所に寄付するようにします。研究がはかどれば、早い時期に蒲焼きを食べられるようになるという仕掛けです。気兼ねなく蒲焼きを食べられる日を、心待ちにしています。