ファンタジアランドのアイデア

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50万キロワットの節電をする仕掛け アイデア広場 その1125

2022-12-07 17:41:34 | 日記


 日本の電力事情が、悪化しています。原発を使うことができずに、火力発電に頼る現実があります。その火力発電も、予備の火力発電施設を全て使用する状況になりつつあります。その火力発電に必要な化石燃料の輸入価格が、高騰しているのです。その上、円安の状況下において化石燃料の高騰は、今までに経験したことのないような貿易赤字を日本にもたらしています。身近な東京電力管内でも、今冬の電力需給逼迫が懸念されています。原発の再稼働の遅れなどで、今冬も厳しい電力需給が想定されており各社が対策を急いでいます。経済産業省によると、電力供給の余力を示す「予備率」が東電管内で4.1%にとどまるとされています。需給が厳しい2023年1月には電力供給の余力を示す「予備率」が4.1%の場合、想定外の寒波などがあれば安定供給に最低限必要とされる3%に迫る可能性もあるのです。非常時に求める節電量を現在の時点で,夏と比べ約10万kw分積み増し最大50万kw強に引き上げることが求められています。50万キロワット(20億キロワット時)の節電は,予備率を1%弱、改善する効果があるとされています。安定した経済活動を維持して、国民の生活を豊かにするには、安定した電力供給が欠かせません。そこで、電力供給の余力を引き上げて、さらなる節電に向けた仕組みを考えてみました。
 2022年の夏には、関東地区で電力不足から、ブラックアウトの危機が放送で流れていました。日本の電力事情は、原発の稼働がほぼ止まり、ぎりぎりの状況でやりくりしている姿が浮かんできていました。現在の日本では、電力需要の電力設備容量が2億5000万キロワット程度になるようです。この電力設備で、日本の1年間の発電電力量約1兆キロワット時を作り出しているわけです。(日本の電力設備で発電する能力は、1キロワットが年間に4000キロワット時ということになります)中身は、火力発電の設備容量が1億6000万キロワットです。東日本大震災前は、 54基の原子力発電が約5,000万キロワットで、日本全体の26%をまかなっていました。残りを、水力発電、太陽光発電 、バイオマス発電、地熱発電、小水力発電、潮流発電、波力発電などで賄っていたわけです。でも、原子力発電の事故が起きてからは、火力発電や再生可能エネルギーによる負担が増えていることになります。この中で、東電は50万キロワットの節電をすれば、この危機を乗り切れると考えているわけです。おさらいになりますが、電気が行う仕事はワット時 (ワットアワー)で表されます。電気料金などの場合、1キロワットを1時間使った場合の仕事量はキロワット時(kWh)で表すことになります。エアコンなど消費電力の大きい1,000 W級の家電製品を1時間使うと1kWhとなるわけです。より具体的にいうと、1時間使うと1kWhとなり、電気料金は1kWh ×27円=27円となります。
 節電のヒントは、江戸時代の工夫にあります。この時代は、3000万人の人口を自国内の資源だけで養ってきました。江戸時代は、森や田畑を中心に、人々の生活や経済を支えてきたわけです。たとえば、燃料に関しては、森の再生産能力を上手に利用してきました。里山での薪炭材の採取は、20年前後の間隔で樹木の伐採が行われていました。樹木の伐採後の切り株からは、翌春に萌芽(ひこばえ) が発生し成長しました。萌芽が発生し、成長し、また20年ほどのちに同じような木材を得られたわけです。森林バイオマスは、生物体になります。生物は、再生の営みによって何度でも再生が可能です。ある意味で、森林のバイオマスは、生物体そのものであるから理屈上はその利用可能量は無限大になるわけです。江戸時代における人口の増加やその発展は、基本的に国内の資源のみによって成し遂げられたともいえます。森林バイオマスは、石油や石炭、ウラン鉱石のように枯渇性資源ではありません。資源の持続性を考えると、人間が消費して良い量を限定すれば、無限使うことが可能になるわけです。江戸時代の人々は、それを200年間以上にわたって行ってきたともいえます。
 現在、地球温暖化などの影響で、化石燃料の使用にいくつかの制約が出てきています。環境の負荷を減らすために、地産地消などが評価されるようになりました。そんな中で、注目されているものが、再生可能エネルギーになります。歴史ある事例として、フランスのモンサンミッシェルのあるノルマンディー地方南部サン・マロ湾のランス潮汐発電所が有名です。ここは、ヨーロッパでも潮の干満の差が最も激しい所として知られています。この近くにあるランス潮汐発電所は,年間6億kWh,一般家庭の約25万世帯分の電力を供給しています。ランスの海域の潮位差は,最大で13.5 m、平均でも8.5mもあり,潮汐発電の最適地の一つになっています。ランス潮汐発電所は,年間 30~40万人の観光客が訪れ,地域経済にも大きな貢献をしているのです。この地方では、中世の時代から、潮汐水車が使われてきました。潮汐水車は,中世から産業革命まで800年間以上は使われてきたわけです。この水車は、脱穀や製粉などの目的で石臼を回すために用いられ、ゆっくりと回ればよいのです。潮位差で得られた位置エネルギーを海水の運動エネルギーに変えて水車を回転させたわけです。この潮汐発電も、ある意味で無限に使うことが可能になります。
 再生可能エネルギーの地産地消の考え方は、地方にも波及しているようです。山形県南部の置賜地方では、発電した再生エネを地元で消費することを目指す「おきたま新電力」が設立されました。2021年8月、地元の発電事業者5社を含む11社と個人が出資して、この新電力が誕生したわけです。おきたま新電力は、域内の産業用再エネ設備は約300施設におよびます。さらに、住宅用太陽光は約2500カ所の多さになりました。年間発電量は、域内の全世帯の需要の1.8倍に相当する電力になるようです。ここでの取り組みが、とても面白い仕掛けが施されています。初期投資ゼロで、太陽光パネルを設置できる仕組みも導入しているとのことです。おきたま新電力が費用を負担して、企業や個人宅にパネルを設置するのです。そして、契約期間終了後はパネルが無償譲渡される特典があります。山形県の置賜地方は、末永くに太陽光発電による電力を生産する地域になるわけです。太陽光パネルを設置した企業や個人は、持続的に電力を発電し、それを享受できることになります。地域で作った電力は、地域で使うことが最も効率的です。再エネの地産地消を進めることは、循環型脱炭素社会の構築につなげることにもなります。
 福島県の会津若松市にある会津電力も、面白い仕組みを導入しています。この企業は、原子力に依存しないで安全な持続可能な社会づくりと、エネルギーの自立をスローガンに掲げた「会津電力」を設立しました。この会社を立ち上げた人物は、長期低迷をしていた日本酒業界の中で、業績を右肩上がりで回復させてきた経営者です。彼の考えた仕組みは、市民ファンドのシステムを取り入れたことです。最初に1口20万円の市民ファンドを募集したところ、1億円集まりました。1年間の売電が4千万円になっています。ファンドに関しては、利回り2%で元本を毎年10%ずつ返しています。単純計算ですが、4千万円の利益から1千万円を元本で返し、利回りを200万円返しても、2800万円の利益が残ることになります。市民ファンドに対する保障が、十分にできている内容になっています。この仕組みも、ファンドの返済が住んだ後は、地域に電力を供給する仕組みが残ることになります。化石燃料を使わずに、太陽の恩恵だけで、地域の電力を確保できるという仕組みなります。
 太陽光発電による電力供給が、安価にできるシステムができつつあります。そこで、最後に50万キロワット(20億キロワット時)の節電について述べていきます。福島市は、2000年から2020年にかけて、年平均1200軒の新築住宅ができてきました。約2万4千件の新築住宅ができたわけです。たとえば、おきたま新電力を活用するようにします。初期投資ゼロで、太陽光パネルを設置できる仕組みも導入するわけです。おきたま新電力が費用を負担して、企業や個人宅にパネルを設置するのです。たとえば、年間1200軒の新築住宅に、3キロワットの太陽光パネルを設置します。3キロワットといっても、使用期間は1日の3分の1程度で1キロワット(4000キロワット時)になるとします。1200軒の新築住宅に3キロワットの太陽光パネルを設置すると、年間480万キロワット時の電力ができます。もちろん、これだけではたりません。そこで、日本全国の新築件数は、20万件になります。これですと、年間8億キロワット時になります。3年間、おきたま新電力の方式を全国に適応すると、24億キロワット時になり、目標を達成できることになります。もっとも、既存の60万件の住宅に設置すれば、1年で目標が達成できます。性能の良い蓄電池の開発も進んでいるようです。太陽光発電システムと蓄電池を上手に使用すれば、50万キロワットの節電をすることもなく、再生可能エネルギーの利用でカバーできるかもしれません。