ファンタジアランドのアイデア

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ゲーム依存症にならない工夫   アイデア広場 その527

2020-02-11 19:41:11 | 日記


 知人のお父さんが困っていました。お子さんが、オンラインゲームにはまってしまって、言うことを聞いてくれないのです。いくら、時間を決めてやるように言っても、効き目がないようです。ゲームのやりすぎは、確実に学習能力を低下させるという報道もあり、途方に暮れているようでした。ゲームの中で使うアイムを買うために、時々お母さんに小遣いをねだることもたびたびあるようです。アイテムを手に入れることによって、友人に自慢ができる場面も作らなければならないようです。仲間同士の話題に入れないことは、子どもにとってストレスになります。いくら無駄遣いをするなと口うるさくいっても、親の言うことを聞かないそうです。ゲームやスマホに対する大人達の規制は、ほとんど子供たちに効果を上げることなく日常化していく風景が見えます。
 子どもの遊びに関しては、大正や昭和や平成を通じていろいろな禁止や規制が行われてきました。映画館や喫茶店の出入り禁止、エレキバンドの禁止や規制、PTAによるお笑い番組の規制、そしてゲームへの規制などが次々にでてきました。時代の流れによって、娯楽や遊びに対しては、禁止、規制、啓蒙のパターンが次々に行われてきたわけです。この流れは日本だけでなく、海外でも顕著になっています。特に、学力や試験に敏感な東アジアの国々では深刻なようです。上海や香港は、OECDで行う学力試験において、最高レベルの成績を上げています。これらの国や地域では、ゲームに対する規制が厳しいようです。上海では、オンラインゲーム依存が保護者を悩ましています。中国政府も、この現状を憂いて、ゲームの規制に乗り出しています。でもよく観察をすると、ゲームを行っているが、おぼれない層、無関心な層、巻き込まれる層の3つがあることがわかります。これは、日本の娯楽の歴史を見ても明らかです。むしろ、映画やエレキにのめり込んだ子供たちほど、現在は充実した生活をしているシニアも多いのです。多く子ども達は、俗物と言われているものに触れても、毒されることなく成長していくことが歴史を見ればわかります。
 ここで、注意したい点もあります。最新のゲームが映画やエレキと違う点は、熱中を生むように設計されていることです。人気のあるゲームを分析すると、快感と脳内麻薬の理論が上手に組み込まれています。このゲームには、巧妙に報酬系を刺激し、ドーパミンを分泌させるように設計されているのです。ドーパミンは、快感をもたらしてくれます。この物質だけを求めるようになれば、ゲーム依存症になってしまいます。でも、人間はそれほど弱い存在ではありません。人間には、ドーパミンとは逆の作用をする物質を産生する能力があります。感情の高揚を抑制するセロトニンなどの物質が、ドーパミンによる過度な興奮を抑えてくれる機制も備えているのです。株式や投資の場において、ゲームやギャンブルに対する耐性を持った人たちが活躍しています。ゲームに一時的に溺れる子供たちもいます。中には、その状態を克服して、ゲームのネガティブな影響を受けない強靭な耐性を獲得する子供たちもいるのです。自分でゲーム依存症を克服し、社会生活に復帰し、活躍する人も多いのです。
 余談ですが、依存症に多くのものがあります。代表的なものに、プロセス依存症があります。ギャンブル依存症、ネット依存症、セックスや買い物を過剰に求める性向、そして仕事中毒などが、この依存症になります。ゲーム依存症は、ギャンブル依存症にはいります。ゲームは、依存症としては軽い部類に入ります。次に、人間関係への依存症があります。カルト宗教へのめり込む人々や虐待がやめられない人々が、これに当たります。もっとも厄介な依存症は、ニコチンやアルコール、そして麻薬などによるものです。これらの物質を体内に入れば、ドーパミンが分泌され、快の状態になります。この薬物に対する依存症が進むと、その薬物に対する耐性ができます。薬物にたいする「耐性」ができると日常生活でのドーパミンの分泌量では、快の反応しない状態になります。結果として、服用する量が増え、肉体も精神も荒廃していきます。
 ゲームは、仮想現実の世界をよりリアルに感じることができるよう進化を続けています。たとえば、戦争に関するゲームがあります。戦場の悲惨な現実は、なかなかわからないものです。戦場に行った兵士は、自殺する割合が高いと言われています。戦争の悲惨さを理解せずに戦場にいけば、その対応が難しくなります。その悲惨さやその対応の仕方を事前に、仮想体験させるゲームがあります。たとえば、仮想のイラク戦争を、ゲームを通して体験させるものがあります。戦場では、非日常的な嫌なことがたくさん起こります。仮想の経験を積むことで、戦場に立つたとき、その現実に立ち向かうスキルを備えることができるようになるというものです。戦場で起こる事件に対する感情を、どのように処理するかなども事前に理解するようになるわけです。
 発想の豊かな方はこの話を聞いて、次のようなことを思い浮かべるかもしれません。疑似体験をとおして、新人の就業時におけるスムーズな仕事への移行ができるかもしれない。この課題を解決するために、ゲームを導入することも選択肢になる可能性がありそうだ。会社の仕事内容を、ネットゲームで配信します。そのゲームで高得点をあげた就職希望者を、面接の優先候補者にします。無駄な面接時間を、節約できます。さらに、会社に適性のある人材を選抜するツールにもなるわけです。
 現代のゲームは、クリエイティブな構成になっています。ゲームを攻略するためには、自分でいろいろな工夫をする必要があります。あるゲームでは、Plan (計画)-Do (行動)-See (観察)Action (改善)で脳を能動的に使わなければ、できないものもあります。ゲームをする中でトライ&エラーとかPDCAを無意識のうちに実践する構成になっています。ロールプレイングゲームをすることにより、認知面の向上に寄与するわけです。ゲームには意欲を高め、協調性を高め、前向きにする力もあることが分かっています。トライ&エラーとかPDCAの実践能力が、将来子供たちの生きる力を高める可能性があるとされるわけです。
 とは言え、ゲームといっても、何でもいいわけではありません。ゲームに支配されることは、生活の質が落ちることが分かっています。ゲームへの依存症は、学習を妨害し、睡眠不足をもたらし、人間関係作りに悪影響を与えるケースもあります。スマホでCMを流しているような課金制のパズルゲームなどにハマっても賢くなりません。スマホの課金制のパズルゲームはアイテム課金でお金を吸い取られるだけのようです。ボタンを押すだけの頭を使わない課金ゲームは、やらないほうが良いようです。賢くならないゲームには、フィルターをかける工夫も求められるかもしれません。
 保護者は、子どもが、どんなゲームで遊んでいるかを知ることです。子どもの利用状況を知った上で、子どもと話し合いを持つことが大事になります。子ども自身が無駄だと感じていなければ、ゲームにお金をかける無駄遣いを止めることはありません。ゲームにお金を使えば、何が得られるかを話し合うのです。無駄遣いをするなと言う代わりに、ゲームはどんな価値かあるかを話し合うわけです。子どもには無理やり行動させるよりも、話し合いながら、選択肢を浮かび上がらせます。その選択肢の中から、選択権を渡し好きなほうを選んでもらうやり方が、子どもの納得を得やすい方法になるようです。ゲームを禁止するのではなく、長所や短所を話し合い、ゲーム使用のルールを考えることになります。最近のゲーム機器ではゲームをしている時間を可視化してくれるものもあります。親子で使用に関する約束を決めれば、その約束が守られているかを容易に知ることができるわけです。親子がストレスなくゲームを楽しみ、学校の勉強もしっかり行う仕組みが家庭にできれば、ハッピーになります。