静岡県の浜松市を訪れたときに、外国の方が多いという印象を持ちました。インバウンドというより、街に融け込んでいる様子が好ましいものだったのです。ファミリーレストランなどでは、外国人の方が談笑をしていました。あるお店では、ムスリムの方が食事を楽しそうにしていました。ハラールの料理を提供しているのかとも、思ってしまいました。以前、静岡大学と地元企業が連携して、外国人留学生を採用する気風がある地域ということを読んだことがありました。目の前で、そのような風景に接して、日本もやるもんだという気持ちになったものです。
そこで、日本の戦力として働いている外国人の様子を眺めて見ました。外国人労働者は、中国人が減少し、ネパールやベトナムの人々が増えています。ある事務所では、9人の設計担当者の内、2人がベトナム人が活躍しているそうです。国内の技術者が不足する中で、貴重な戦力になっているわけです。技術が評価され、待遇も給与も同じように受けています。月30万円程度の給料は、祖国では1年分以上の所得になるそうです。家族にも送金ができて、日本の仕事と生活を充実させているようです。
日本の企業の中には、ミドルスキルを持つ外国人を積極的に採用する傾向もでてきました。真面目なネパール人をはじめ外国人を社員の30%程度採用している企業は、将来海外進出の戦力として重視しています。日本語と専門技術を習得している人材は、金の卵なのです。設計技術や測量技術、そして溶接技術などは、途上国では得がたいものです。そこに、日本語の能力が加われば、海外の日系企業にとって垂涎の的になるでしょう。
先を見越した経営者は、自分で起業する意欲を持つ外国人を受け入れています。育てた人材が会社を離れて起業すれば、投資の無駄になるのではないかと考えがちです。でも、その心配はないようです。海外進出には、現地のパートナー選びが重要なカギになります。売れるか売れないか分からない段階で、海外に工場や子会社をいきなり作らないことは当たり前です。この当たり前のことが、日本にいては分からないのです。間接的な情報は入りますが、直接的で本音の部分は入りにくいのです。例えば、日本のラーメンが評判だと聞いて、多くのラーメン店が中国に進出しました。でも、醤油ラーメンをベースにした店は、苦戦しています。豚骨ラーメンは、成功しているのです。醤油がダメで豚骨がなぜ良いのかを、パートナーが知らせてくれれば良いわけです。海外の販路開拓に直結するには、販売パートナーを探すことが大切になります。人材を日本の会社で育て、祖国で起業してもらえば、信頼の置けるパートナーを確保したことになるのです。
このような会社の社員は、祖国に帰って会社を次々立ち上げているそうです。一部の起業家は、日本との取引で高い利益を上げているとの報告もあります。外国人を採用することは、その社員を幸せにすることが求められます。成功に導く技術や知識を訓練することも、重要な仕事になります。外国人労働者が成功を修め、日本人もその恩恵を受ける関係を築いていきたいものです。