ふう、と
センは深いため息を付く。
傷口から流れる血。
それは致命傷ではない。
だが、
「もう、いいか」
そう呟くとともに踏み込み、
距離を取っていた満樹に迫る。
「!!」
満樹はとっさに、持っていた剣で受ける。
躱すというよりは
なんとか剣先を逸らしながら
受け身をとりつつ距離を取る。
「満樹!!」
その隙にマサシがセンの背後に回る。
が、
「ダメだ、マサシ!!」
「!?」
センの短剣がマサシを捉える。
「うあ、」
「マサシ!!」
京子の悲鳴に近い声が上がる。
「だいじょ、ぐっ!!?」
倒れ込むマサシを
センが踏みつける。
「………マサっ」
「待て、京子、」
駆け寄ろうとする京子を
満樹が引き留める。
先ほどとは格段に違う動き。
迂闊に近寄ってはいけない。
センは顔を上げる。
「貴重な生け贄だ、と、手加減してやるとこれだ」
自身の血を見ながら
センは言う。
「もういい。
不要なものは捨てる。
残ったものだけ使う。
足りなければ、数を揃えれば良いだけだ」
マサシの傷口から血が流れていく。
どうにかセンから引き離さなければ、と
満樹は剣を構える。
その横で京子は祈るように呟く。
「お願い………早く、早く!!」
その様子を見てたチドリは
耀に声を掛ける。
「諦めた方がいい」
「うん?」
「センが本気を出す前に
止められなかったお前達の負けだ」
「…………そうだな」
耀は、構えていた剣を下げる。
「確かに、もう、遅い」
そう言う様の口元が上がる。
「もっと早く、
治癒の術をかけてやるべきだったな」
「なにを?」
チドリは耀の後ろに目を凝らす。
ヨシノ、
そして、気を失ったはずの
オトミとノギが目を覚ましている。
「………」
ヨシノとノギ。
そして、京子は“早く”と言った。
マサシを助けて、
そういう意味ではないとしたら。
「!!」
チドリは目を見開く。
「セン!!!」
カラン、と音を立てて
短刀が床を転がる。
それは
マサシに振り下ろされようとしていたもの。
不思議そうにセンは
自身の掌を見つめる。
僅かに震える指先。
痺れるような感覚。
「これ、は」
「は」
翼が笑う。
「やっと効いてきたか」
「まさか!!」
京子が投げた短剣。
そして、翼はこう言っていた。
剣先に気をつけろ、と。
「毒、か!!!」
今しか無い、と
満樹が動く。
翼もそこで初めて剣を抜く。
NEXT
センは深いため息を付く。
傷口から流れる血。
それは致命傷ではない。
だが、
「もう、いいか」
そう呟くとともに踏み込み、
距離を取っていた満樹に迫る。
「!!」
満樹はとっさに、持っていた剣で受ける。
躱すというよりは
なんとか剣先を逸らしながら
受け身をとりつつ距離を取る。
「満樹!!」
その隙にマサシがセンの背後に回る。
が、
「ダメだ、マサシ!!」
「!?」
センの短剣がマサシを捉える。
「うあ、」
「マサシ!!」
京子の悲鳴に近い声が上がる。
「だいじょ、ぐっ!!?」
倒れ込むマサシを
センが踏みつける。
「………マサっ」
「待て、京子、」
駆け寄ろうとする京子を
満樹が引き留める。
先ほどとは格段に違う動き。
迂闊に近寄ってはいけない。
センは顔を上げる。
「貴重な生け贄だ、と、手加減してやるとこれだ」
自身の血を見ながら
センは言う。
「もういい。
不要なものは捨てる。
残ったものだけ使う。
足りなければ、数を揃えれば良いだけだ」
マサシの傷口から血が流れていく。
どうにかセンから引き離さなければ、と
満樹は剣を構える。
その横で京子は祈るように呟く。
「お願い………早く、早く!!」
その様子を見てたチドリは
耀に声を掛ける。
「諦めた方がいい」
「うん?」
「センが本気を出す前に
止められなかったお前達の負けだ」
「…………そうだな」
耀は、構えていた剣を下げる。
「確かに、もう、遅い」
そう言う様の口元が上がる。
「もっと早く、
治癒の術をかけてやるべきだったな」
「なにを?」
チドリは耀の後ろに目を凝らす。
ヨシノ、
そして、気を失ったはずの
オトミとノギが目を覚ましている。
「………」
ヨシノとノギ。
そして、京子は“早く”と言った。
マサシを助けて、
そういう意味ではないとしたら。
「!!」
チドリは目を見開く。
「セン!!!」
カラン、と音を立てて
短刀が床を転がる。
それは
マサシに振り下ろされようとしていたもの。
不思議そうにセンは
自身の掌を見つめる。
僅かに震える指先。
痺れるような感覚。
「これ、は」
「は」
翼が笑う。
「やっと効いてきたか」
「まさか!!」
京子が投げた短剣。
そして、翼はこう言っていた。
剣先に気をつけろ、と。
「毒、か!!!」
今しか無い、と
満樹が動く。
翼もそこで初めて剣を抜く。
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