TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」114

2018年11月09日 | 物語「約束の夜」

京子とチドリを見送り、満樹は、ツイナのいる部屋に戻る。

いや、もう一度、ホテルの入口の方に行く。
京子とチドリの姿は、もはやない。

満樹は首を傾げ、またホテルの中へ。

けれども、もっかい入口へ。

また、戻る。

「・・・変だな?」

「落ち着かないわねぇ!」

あはは、と、与篠が笑う。

「気になるのねぇ、あの子が!」

「いや、う。・・・そうなんだけど、」

京子が心配だ。
チドリと一緒にいる京子が心配だ。

が、

「それ・・・」

何か液体の入った器を持った与篠に
もっと心配が増す!!

「何かしら?」
「いや、だから、それ」

満樹は、その器を指さす。

「その液体・・・、もしや」
「ああ、これ?」

与篠は器を掲げる。

「疲れた胃に優しい、お・く・す・り!」

「っうううう!!」

満樹は、目いっぱい首を振る。

「毒on毒!!」
「失礼ね!」

与篠は胸を張る。

「これはお薬よ!」
「薬と毒は紙一重的な単語を、つい最近聞いたぞ!!」
「とりあえず、牛乳飲んで中和って考えは危険よ!」
「・・・・・・!?」
「特に煙草の誤飲にはね!!」

なんてこったい。

「・・・京子には伝えておく!」
「ええ!」
「いや、だから待て!!」

結果、その器を持ったままツイナの部屋に入ろうとする与篠を
満樹は止める。

「それ、本当に大丈夫なのか?」
「心配なら一緒に入ってよ、お兄さん」

与篠は、部屋の中に入る。
満樹もそれに続く。

「調子はどう?」
「ツイナ、起きたのか?」

横になったまま、ツイナが目を開いている。

「満樹・・・」
「どうした!?」
「いろいろ・・・すっきり・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

「でしょ!!」

与篠が胸を張る。

「よかったわ、ええ。・・・・・・助かって!」

与篠、謎の間。

「・・・・・・」
「何よ?」
「なぜだか、がっかり感を感じるんだが」
「気のせいよ」

「えーっと、君が」

「あら、無理はしないで」

ツイナが起き上がろうとするので、満樹と与篠はそれを手伝う。

「大丈夫か、ツイナ?」
「うん。なんとかね」

ツイナはお腹をさする。

「今回は学んだことが多かったな~」
「うん・・・」
「食べすぎには気を付けようって!」
「・・・・だな」

「ふふ。胃は大切にね! はい、追いど、・・・薬!」
「今、追い毒って云おうとしただろ!?」
「あらあら~」

与篠はニコニコと笑う。

「感謝するよ、山一族さん」
「いいえ、海一族さん」

「あれ? ところで京子は?」
「ああ」

満樹は頷く。

「情報収集に行ったよ」
「情報収集?」
「そう」
「え? ひとりで?」
「いや、チドリとだ」
「それは・・・」

ツイナは満樹を見て頷く。
満樹も頷き返し、云う。

「心配だよな」
「ああ」
「・・・・・・」
「俺たちも行こう、与篠!」
「あら?」
「お礼もしたいし!!」

あははと、与篠が笑う。

「お誘い嬉しいわ、ツイナ」

「・・・・・・」

いやいや

海一族と山一族って、相いれない。
つまり、敵対している一族だろう、お前ら

とか、

満樹は思ったわけで。



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