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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

水辺童話:みずうみのばけもののはなし3

2017年06月27日 | 物語

女の子は問いかけます。

「あなたは何ができるの?」

海の近くに暮らす一族は答えます。

「俺達は、武器を使うのは得意じゃない。
 でも、舟を漕がせたら水辺一だ!!」

谷にある洞窟で暮らす一族は答えます。

「ギャズンを倒すのに役に立つ物は作れないけれど、
 この目はどんなに遠くでも見通すことが出来るよ」

砂漠の近くに住む一族は答えます。

「あまりケンカは上手じゃないの。
 でも、薬を作るのはまかせてちょうだい。
 ギャズンの動きを止めてみせましょう」

湖の西に暮らす一族は答えます。

「俺達は、魔法が使えないけれど
 普段は狩りを行っているんだ。
 ギャズンの体力を削って見せよう」

山に住む血一族は答えます。

「僕らは人は少ないけれど
 ひとりひとりの腕には自信があるよ。
 鳥を使って獲物の位置を探すのも得意さ」

湖の東に住む一族は答えます。

「私たちは、封印の魔法が使えます。
 それで、ギャズンを封じ込めてしまいましょう。
 でも、敵の動きが完全に止まらないとこの魔法は使えません」

それならば、と湖の北に住む一族が続きます。

「威力はないけれど
 精密な魔法を使う私たちにお任せください。
 少しの時間であれば、敵の動きを止められるでしょう」

さて、と
女の子はひとり残った一族の者に問いかけます。

「あなたは何ができるの?」

湖の南に住む一族の者です。
一番最初にギャズンに戦いを挑んだ若者でした。

「俺は何もできないかもしれない」

それでも、と彼は言います。

「見ているだけは我慢ならない。
 どうか、戦いに参加させて欲しい」

彼の言葉に女の子は頷きます。

「だれもが諦めていた時
 あなただけが動いたのよ」

だから、と女の子は彼の手を引きます。

「一緒に行きましょう」


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