TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

水辺童話:みずうみのばけもののはなし2

2017年06月20日 | 物語

ヘドロの化け物は
ギャズンと呼ばれる様になりました。
そういう鳴き声を上げながら現れるからです。

ギャズンが湖に居るので
人々の生活は不便になりました。

湖を渡れば
向かいの村にすぐ行けたのですが
なにせ化け物が居るので
ずうっと遠回りしなくてはたどり着けません。

ある一族の薬は病の特効薬です。
ある一族が狩りで仕留める肉は
貴重なタンパク源です。
また、ある一族の飾りは
恋人からの贈り物として女性なら誰もが欲しがる物です。

仲が良くても悪くても
誰もが、どこかで、他の一族のなにか、に
支えられて生活をしていました。

「俺がギャズンを倒して見せよう」

ある一族の腕に覚えのある若者が
奮い立って言いました。

「いつまでも
 じっとしているわけにはいかない」

一人、舟を漕ぎ、ギャズンに戦いを挑みました。

「やあやあ、化け物め
 皆を困らせてどういうつもりだ」

若者は矢を放ちます。
矢は次々と命中しますが
ギャズンには効きません。

それに、そこは湖の上
ギャズンが暴れる度に大きな波が立ち
舟に捕まっているのがやっとです。

若者はあっという間に返り討ちに遭い
命からがら戻ってきました。

やっぱりダメか。

皆がそう思っている時
どこからともなく声がしました。

「かんたんなことよ」

言ったのはヘビを連れた
小さな女の子です。

「一人でダメなら。
 みんなで倒せばよいのよ」


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