浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

スポルディングとプリムローズの二重奏

2007年04月18日 | 提琴弾き
僅か4分ほどの美しい小品をスポルディングとプリムローズが弾いてゐるレコヲドがある。曲は、ヘンデルのトリオ・ソナタ作品2-8のアダージョ楽章である。

ヘンデルの旋律はバッハのものよりも平易な言葉で語りかけてくる。冒頭はスポルディングの提琴でたっぷりと旋律を歌い上げ、遅れてプリムローズが加わる。終始、ゆったりとした澄んだ旋律の流れに心洗われる思いがする。

今から30年ほど前、プリムローズの公開レッスンを見学させてもらったことがあった。プリムローズは演奏曲目のジャンルが幅広く、コンテンポラリーな作品も意欲的に紹介したヴィオラ奏者だが、やはりこの人の真髄は古典・バロックの情緒豊かな表現にあると思ってゐる。公開レッスンでもバロックの作品を取り上げてゐた。その表情付けを思い出しながら聴いてゐると、随分と貴重な体験をさせてもらったものだとつくづく感じ入る。

今や伝説の人となった大家の息遣いを大切に思い出しながら、この懐かしさこみ上げるヘンデルのメロディーに、独り酔いしれてゐる。

盤は、英國BiddulphによるSP復刻CD LAB088。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感想 (あがるま)
2007-05-17 08:30:00
最近Doremiから出てゐるプリムローズ集成の第3巻でこの演奏を聞きました。Spaldingとのモーツアルトの協奏交響曲も少し素気無いけれど、云はれるほど悪くはありません。
プリムローズのブラームスのソナタはフィルクスニと競演したLPしか知りませんでしたが、カペルとのものもあるのですね(この第2巻に這入つてゐるのがさうでせうか?)

J.マルツィもバッハの協奏曲を知るだけですが、仰る通り何故人気があるのか解りませんね。

プシホダはヴィトのブラームスと一緒になつたCDで始めて知りましたが、この曲がこんなに魅力的だとは思つても見ませんでした。

C.ウイックスのウオルトンのコンチェルトのCDを聴きましたが、あまり印象に残つてません、今彼女は何処か米国の大学の先生ださうでね。

G.ブスタボのブルッフは頭のティンパニが切れてゐるCDを持つてゐたはずが見当たりません。

シゲッティの人気も沢山日本人の弟子がゐるせゐでせうか、ヴァイオリニストのI.メンゲスの親戚のH.メンゲスの指揮したブラームスのLPは録音が良いので好んで聴きました。ブロッホならR.トーテンベルクですね。

クーレンカンプは気に入りましたが、ハイフェッツやメニューヒンは聴く気になれませんが、別にユダヤ嫌ひだと云ふ訳ではありません。

モリーニもテルマニも知りませんし、E.フィッシャーも何処が好いのか良く解りません。
SPの魅力は極く最近になつてからですね。LP時代の東芝のGRシリーズなども録音が悪くて。
そのせゐかフルトウェングラーもメンゲルベルクも苦手です。

技巧派ポリアキンと同様な傾向だと云ふ、
歌劇『吸血鬼』で知られてゐるロマン派の作曲家W.マルシュナーと同名のヴァイオリニストのシェーンベルクの協奏曲を入れたLP(Turnabout,裏はブレンデルのPC)をまた聞いて見度くなりましたが、LPを聞けるやうになつてゐないのが残念です。
ダイエーで安売りをしてゐたフィリップスのMCカートリッジが気に入つてました。
東芝やその他からエレクトレット・コンデンサー型もありましたね。

長い外国暮らしで音楽を愉しまれて来たやうで羨ましいことです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。