浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

オイゲン・ヨッフム&ハンブルグ国立劇場管絃團 ブルックナー交響曲第3番

2006年10月26日 | 指揮者
中学生の頃の僕にとって、フォンタナの廉価盤は魅力的だった。なにせ900円で名曲のLPが手に入ったのだ。とにもかくにも名曲を片っ端から聴いて聴いて聴きまくりたいといふ欲求を満たしてくれる最大の味方であった。そんな中にヨッフムの運命や未完成もあったと記憶してゐる。

それがヨッフムとの出会いだ。後になってヨッフムが、「無人島に置き去りにされたとしたらマタイ受難曲のスコアさえあればよい」とコメントしたのを知った。これを聞いてますますこの素朴で見栄えのしないおじさんに親しみを感じたのだった。

最晩年のブルックナーの9番の演奏を映像つきで聴いたとき、ベームと維納フィルの大阪での演奏会の記憶が蘇った。ベームとヨッフムといふフルトヴェングラーとともに独逸で活動を共にした伝統の継承者がこの世から居なくなったといふ寂しさが急にこみ上げたのだった。

今日、聴いてゐるのは1944年の白熱のライブ録音で、晩年の枯淡の境地とはまた異なる若かりし頃のヨッフムのデモーニッシュな一面が聴ける。放送局提供のテープから復刻された響きは、とても1944年のものとは思えない。3大指揮者だとか巨匠と呼ばれた大指揮者の演奏でもこれほど素晴らしい演奏はめったにあるものではない。

盤は、米國Music & Arts社のCD CD1100。




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