チェンバロ奏者ワンダ・ランドフスカはもともと洋琴家としてデビューを果たしたことは前にも書いたが、洋琴を弾いた録音も僅かだが残されてゐる。
曲はモーツァルトの協奏曲第26番「戴冠式」である。1937年にワルター・ゲールと録音したもので正規のスタジオ録音盤だ。歌う音階といわれるモーツァルトをどのやうに弾いてゐるか、関心をもって聴いた。
音階のタッチはチェンバロのそれと同じで一粒ずつきれいに揃った極めて正確な流れをつくっている。かと思へば音階にペダルを組み合わせることもある。なによりもチェンバロ演奏では味わえない浪漫的な表現を味わうことができたのが嬉しい。間の取り方や品の良い独特の歌いまわしはランドフスカの洋琴弾きとしての素晴らしい才能を十分に伝えてゐると思ふ。
技術的には平易なこの作品だが、ランドフスカの優しさに満ち溢れた演奏を聴いてゐると、僕にでも弾けそうな気がしてくる。特に第2楽章の歌は素晴らしい。一音一音顔を近づけて、覗き込むやうに丁寧に弾いてゐる様が目に浮かぶやうだ。この曲のこれほど美しい演奏はない。
残念に思ふのはオーケストラの絃樂器がいまひとつ上手くないことだ。
盤は、新星堂とEMIによるSP復刻CD SGR2007。
曲はモーツァルトの協奏曲第26番「戴冠式」である。1937年にワルター・ゲールと録音したもので正規のスタジオ録音盤だ。歌う音階といわれるモーツァルトをどのやうに弾いてゐるか、関心をもって聴いた。
音階のタッチはチェンバロのそれと同じで一粒ずつきれいに揃った極めて正確な流れをつくっている。かと思へば音階にペダルを組み合わせることもある。なによりもチェンバロ演奏では味わえない浪漫的な表現を味わうことができたのが嬉しい。間の取り方や品の良い独特の歌いまわしはランドフスカの洋琴弾きとしての素晴らしい才能を十分に伝えてゐると思ふ。
技術的には平易なこの作品だが、ランドフスカの優しさに満ち溢れた演奏を聴いてゐると、僕にでも弾けそうな気がしてくる。特に第2楽章の歌は素晴らしい。一音一音顔を近づけて、覗き込むやうに丁寧に弾いてゐる様が目に浮かぶやうだ。この曲のこれほど美しい演奏はない。
残念に思ふのはオーケストラの絃樂器がいまひとつ上手くないことだ。
盤は、新星堂とEMIによるSP復刻CD SGR2007。