浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

マグダ・タリアフェロ サンサーンスの第5協奏曲

2006年12月19日 | 洋琴弾き
マグダ・タリアフェロは1888年にブラジルで生まれた洋琴家で、コルトーの弟子である。15歳で巴里音楽院を卒業し、その後は仏蘭西で活躍したため、僕はてっきり仏蘭西人洋琴家だとばかり思ってゐた。

サンサーンスの洋琴協奏曲第5番といふ珍しい曲をLPに残してゐる。録音は1953年4月となっており、65歳のときのものである。第2楽章のエジプト民謡をもとに作られたアンダンテは幻想的な雰囲気の中、タリアフェロの風格のある洋琴が楽しめる。

伴奏はジャン・フルネ指揮のラムルー管絃團だが、仏蘭西に特有のやや乾いた音で録られてゐて、僕としてはもう少しデッドな雰囲気が欲しいと思ふのである。しかし、エキゾティックなメロディーを奏でるタリアフェロの洋琴はそんなことも忘れさせてくれる。

タリアフェロの録音は古くは1929年にまで遡る。主なレコヲドを紹介し、タリアフェロの全復刻を訴えたい。

アルベニス 「セヴィリヤ*」「トゥリアナ*」「セギディリャ」「コルドバ」「エヴォカシオン」
バッハ(クライスラー)前奏曲
ベートーヴェン 提琴奏鳴曲第5番「春」、第9番「クロイツェル」
ショパン 即興曲第1番、幻想即興曲、スケルツォ第3番、アンダンテスピアナートとグランドポロネーズ、グランドワルツOP.42
シャブリエ 「牧歌」「スケルツォ・ワルツ」
ドビュッシー 「雨の庭」「トッカータ」「月の光」「ピアノのために」「アラベスク」第1番、第2番、「喜びの島」
ファリャ 「西班牙舞曲第1番*」「粉挽きの踊り」
フォーレ 提琴奏鳴曲第1番、バラードOP.19*、即興曲第2番、「アンダンテ」「ドリー」夜想曲第4,6,7番
グラナドス 「恋人と鶯」「アンダルーサ」「オリエンタル」
アーン 「エグランティーヌ王子の夢」
モンポウ 「年下の少女」
モーツァルト 協奏曲第26番「戴冠式」、提琴奏鳴曲K454、土耳古行進曲、奏鳴曲K576
サンサーンス 協奏曲第5番、「ワルツ形式のエチュード」
シューマン 維納の謝肉祭の道化、ロマンス第2番、謝肉祭、奏鳴曲第1番
セヴラック 「騾馬引きの帰還」
ヴィラロボス 「モモ・プレコーセ」「奥地の祭り」「道化師」
ウェーバー 華麗なロンド
(*印は2種の録音あり)
これらの中で、飛び切りのお気に入りがあるが、それは次回、ご紹介することにしよう。

盤は、PhilipsのLP盤  PC1570。


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