浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ベンノ・モイセイヴィッチによるベートーヴェンの第3協奏曲

2009年11月03日 | 洋琴弾き
LP棚の整理に2週間を費やしたが、未だ、バロック音楽や中世・ルネサンスあたりのステレオLPとCDが未整理のままである。とりあえず、当ブログに関係のありそうな領域の整理はついた格好である。整理のついた棚からモイセイヴィッチのLP盤があったので取り出してきた。

モイセイヴィッチはヴィクターの黒盤アーティストとして二流扱いを受けた為に真の評価を受けてゐない洋琴家だ。ラフマニノフが絶賛したラフマニノフ弾きであり、モイセイヴィッチのSP録音での小品の数々は、どれもがお洒落で気品のある名演奏だったことを記憶してゐる。当ブログでも何度か紹介してきたが、今日はベートーヴェンの大作だ。

たとえば第3楽章の対位法的な動きを聴くと、此の人の左右の指から表現される旋律の動きはそれぞれが全く異なった表現で歌い、粒が揃い、リズムも躍動的であることが分かる。ひけらかすテクニックではなく、音楽を自在に表現する為のスーパーテクニックを聴き取ることができれば、モイセイヴィッチを愉しむことができるはずだ。

或る意味では現代的でもあるモイセイヴィッチのスタイルは、古典派の作品などでは丹精さといふかたちで際立って表れる。しかし、浪漫派のショウピースなどでは、粋なサロン音楽として自由自在に変幻する。さらに、モイセイヴィッチのレパートリーは近現代にも広がりを見せ、デーリアスの協奏曲などの紹介にも努め、ストラヴィンスキーなども得意とした人である。暇があれば、NAXOSの全シリーズを購入して、じっくりと聴いてみたいと思ってゐる。

盤は、米國RCAのLPレコヲド LBC1012。


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