浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

アドルフ・ブッシュ&ヘルマン・ブッシュによるブラームスの二重協奏曲

2008年03月02日 | 提琴弾き
アドルフ・ブッシュのベートーヴェンとブラームスは熱く激しいので、心のエネルギーが高い状態の時に聴くのがいい。今日は家族で焼肉を頂き、準備は万端整った。体に匂いが染み付いてゐて雰囲気が出ないので、印度のNeelkanthといふ香を焚いたら怪しげな(妖しげな?)雰囲気になってしまった。

この演奏を聴くのは2度目だ。以前とは異なるCDの封を切った。ブラームスの協奏曲の中でも最も好きな作品だ。フルトヴェングラーのライブがLP化されたときは、他のどの曲の初レコヲド化のときよりも感激し体が震えたのを思ひ出す。

さて、ブッシュ兄弟の演奏は激しく絡み合い、セロの存在感が大きい。Archipel盤では気にならなかったが、部分によっては提琴の影が薄くなってゐることもある。テンポ運びこそフルトヴェングラーのやうに重みはないが、無骨な音色と独逸音楽の真髄を伝えるがっしりとしたこの音楽表現は感動的だ。

オーケストラは仏蘭西国立放送響で、クレツキが指揮を執ってゐる。仏蘭西の管絃團とはとても思へない重厚な響きである。1949年6月21日にストラスブールで行われた音楽祭での実況録音で、ブッシュ兄弟とクレツキのかけ合いはスリルがあって良い。しかし、クレツキの伴奏は良く合ってゐて風格もある。クレツキのイメージが多少良くなった1枚である。

盤は、米國M&A社によるリマスタリングCD CD-1083。


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