梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

怒濤の稽古 第二波

2006年03月29日 | 芝居
(昨日の分の日記を追加しました。二十八日の欄も是非チェックして下さいね!)

本日稽古二日目。以前お話ししました通り、師匠が五演目に、私が三演目に出演で、結局私が携わらないお芝居は、約三十分の舞踊『高尾』のみとなったので、今日は一日稽古場(歌舞伎座客席ロビー)にいっぱなしでした!
まず午前十一時半から『沓手鳥弧城落月』の「二の丸乱戦の場」の立ち回り稽古。この場は集団の立ち回りがメインでございます。今回この場で、師匠の<部屋子>となった梅丸が、部屋子披露ということで、小姓役で出演し、武者相手の立ち回りをお見せすることとなり、その相手の<武者>役を、兄弟子の梅二郎さんと共に勤めさせて頂きます。小姓に助けられる手負いの武士はやはり兄弟子の梅蔵さんなので、まさに一門のみの出番。チームワークで頑張りたいです。
その後は『狐と笛吹き』の<附立て>(と、稽古割りには書いてあるのですが、明日は<舞台稽古>なんですから、総ざらいではないのかな…?)があり、『井伊大老』の<附立て>。ここでは私は女形。井伊家の<侍女>役です。同じ役の四人とともに、モノを運んだり、お膳を出したりする仕事があるのですが、もう一つ大事な仕事が<唄>でございます。おりしもひな祭りの宵。酒機嫌になった侍女たちが、別室で唄い出したという場面がありまして、これは私たちが生唄で聞かせるのです。女形すらろくろくいたしませんのに、女方の声で唄う! 今日の稽古は恥ずかしかったなあ…。唄もさることながら、動きも振る舞いも、悪目立ちしないように気をつけます。
さらに『沓手鳥弧城落月』の<附立て>、先ほど覚えた立ち回りをもう一度。<別立>(違う場所で同時進行させる稽古)で行われた、師匠が踊る『時雨西行』には立ち会えず。
午後二時四十五分からの<顔寄せ>では、御襲名の六代目松江さん、初舞台の五代目玉太郎さん、そして名題昇進の梅蔵さん、歌松改め春花さん、部屋子となる梅丸のご披露がございました。
続いては『口上』の<舞台稽古>。後藤芳世画伯による舞台装置は本当に素敵でした。皆様お楽しみに!
今度は『関八州繋馬』の<総ざらい>。私が申し上げるのはおこがましいことですが、立ち回り部分はだいぶまとまってまいりました。あとは実際舞台でやってみて、ということでしょう。今日も長唄、鳴り物との合わせ方には念入りな打ち合わせがございました。
最後は『伊勢音頭恋寝刃』の<附立て>。師匠は料理人喜助です。稽古に立ち会いたかったのですが、楽屋に届く小道具のことや、裏の仕事の打ち合わせなどがあり、ほとんど見ることができませんでした。明日の<総ざらい>は、しっかり拝見いたしたいです。

いやはや、忙しくなることは覚悟しておりましたが、こうまで稽古場に居続けになるとは。芝居が始まるまでは、打ち合わせ、相談事も色々ありますし、先々のことを考えながら、今の稽古をこなしてゆくのは、興行によっては大変なときもあります。私にとりましては今月がまさしくソレですが、こういうときこそ、「一歩引いて」考えられるように。慌てず着実に、仕事をこなしてゆきたいですね。


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3 コメント

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Unknown (梅之)
2006-04-02 23:24:03
お稽古はときに本番よりも忙しくなることもあって、本当に疲れます。食事する時間もろくにとれなかったり、深夜におよんでしまったり…。今月の稽古中は、毎日『歌舞伎そば』の<大盛りかき揚げ>でした。
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お稽古お疲れさまです。 (あおい)
2006-03-30 14:17:57
お稽古の話大変興味深く拝見いたしました。

先日歌舞伎座のメールニュースで、お稽古は西売店のところでされているという記事を読み初めて知ったところです。お稽古の期間も短いのに皆さん素晴らしい舞台を見せて下さるので感心いたします。長丁場ですが、舞台頑張ってくださいね!
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お疲れさまです! (はなみずき)
2006-03-30 08:32:41
梅之さま、お疲れさまです! 出番も盛りだくさんですが、そのほかにもお仕事が沢山あって大変ですね…。でも、お稽古の様子をお伺いでき、興味深々です。ご一門にとりまして、大切な興行ですね。いつもお化粧前に立てていらっしゃる水木しげる先生のお言葉を思い出しつつ、頑張ってください!
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