梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

2年相経ち候…で

2007年03月12日 | 芝居
本日で『梅之芝居日記』、開設2周年でございます。
1周年のときも申し上げたかもしれませんが、こどもの頃から<継続>という言葉と無縁に育ってきた私が、よくまあここまで続けられたものだと、我ながら感心しておりますが、日々お送りさせていただいております文章が、皆様のお気慰みにふさわしい中身となっているかは、はなはだ心もとなく思います。
もう少し幅広い趣味があれば、より多くのジャンルでお話ができるんですけれど、悲しいかなどうしても舞台から話題が離れません。皆様食傷気味ではございませんか?

ただ、少々言い訳がましく申し上げることをお許し頂けるのなら、私は、曲がりなりにも舞台に生きている者でございます、未熟であること、まだまだ勉強の身であることを承知の上で、皆様に何かお伝えできることがあるとすれば、やっぱり<歌舞伎>のことしかないのです。
当ブログをはじめた理由のひとつに、劇場に足をお運び下さる皆様に対して、多くの歌舞伎の解説書入門書、あるいはメディアが伝える<知識>とは異なる、違った立場からの<情報>をお伝えしたい。リアルタイムに進行している、<今、ここにある>歌舞伎のもようをお知らせしたいという、分不相応かもしれない気持ちが私の中に生まれたということがございます。
昨日たまたま15年前の『千本桜』を話題にしましたが、あの舞台と今月の『千本桜』は確実に違っています。演者が変われば演出も変わる、その時その時の事情、意向、アイディアで、古典である歌舞伎は実はいくらでも変化しています。そうしたことをともすれば忘れがちになり、「◯◯とはこういうもの」「☆☆はああでなければならない」といった言葉だけが、ご覧になる方々の中で先行してほしくはございません。
2年間つらつら書き続けてきたこの拙文が、もし皆様のお役に立てることがあるのだとしたら、そうした「正しいのだけれど“絶対”ではない」歌舞伎の諸々に関する知識に、ささやかながら補足をさせて頂くことに他なりません。そのためにも、誠心誠意舞台で修行し、ひとつひとつのお役を勉強して参ります。
どうかご理解頂けますようお願い申し上げますとともに、今後とも、末永くご愛読のほど、ひとえにお願い申し上げます。