梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

いよいよ明日は

2006年03月07日 | 芝居
今日の<舞台稽古>も無事終わりました。
用事がなくなったので『立ち回り 基本の型』まで立ち会いましたが、『越後獅子』とともに、研修生は昨日よりだいぶ落ち着いておりおました。ことに『越後獅子』では、同じ舞台上で、後見として見ているのでよくわかるのですが、気負いや焦り、不安といったものはなくなり、ご指導の方がおっしゃっていた、<楽しんで踊る>ということを意識してるんだなと感ぜられました。
『修禅寺物語』は、今まで素の格好、平らな稽古場でさんざん稽古してきたものが、いきなり化粧をして衣裳を着てカツラをかぶり、さらには二重屋台の大道具の中で芝居することになったわけですから、まごつくのは当たり前。出入りのキッカケや居所、小道具を置いたり出したりの段取りを、短い場あたり時間の中で一から決めて、すぐ実行しなければならない大変さは、経験者としてよくわかります。稽古進行中も紀伊国屋(田之助)さんのダメがでたり、小返しもありましたが、みんなの集中力は途切れることなく、幕切れを迎えることができました。あとは先生のおっしゃるように、<迷わず元気よく、一生懸命>に演じるだけですね。…私個人的に、ビデオカメラで今日の稽古を録画し、終わってから見てみましたが、僧のセリフが全体的にちょっと早いかなと反省。明日はもう少し落ち着きを出したいですが、もたれてもいけませんので、ほんの少し、でとどめます。

稽古の合間に、お手伝いに来ている仲間たちとも話したのですが、今期(十八期)から、研修期間が二年から三年に延長したのです。その増えた一年間は、どのような研修科目になるのでしょう。卒業後、すぐに本興行で舞台に立てる人材を育てるための研修として、より実践的なカリキュラムになるときいておりますが、ではどんな勉強が<実践的>なのか? 自分が卒業後間もない頃のことを思い返しながら、あのとき本当に必要だったものは何かを考え合いました。もちろん私ごときが口を挟む余地のない事柄ですが、三十年以上続く研修の実績と成果が、さらなる発展をむかえるよう、願ってやみません。

写真は揚幕から撮った舞台。私が勤める僧は、三度の出番が三度ともこの花道からです。