梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

いつ行っても楽しいのは

2006年03月01日 | 芝居
今日は午前中に、博多座千穐楽の翌日に出した宅急便を受け取ってから、浅草演芸ホール、上席初日昼の部の高座を聴きに行ってきました。平日、しかも天気が悪いにもかかわらず、初日ということもあってかほぼ満員の客席で結構な賑やかさでした。途中からの入場でしたが、三語楼師匠、さん八師匠、圓菊師匠、志ん駒師匠らの落語に正楽師匠の紙切り、小円歌師匠の三味線漫談、そして昭和のいる・こいる師匠の漫才で、トリは馬風師匠。なかでも私が大好きな圓菊師匠で、『粗忽の釘』が聴けたのは幸せです。このお師匠、1928年生まれの大御所で、いぶし銀という表現は月並みかもしれませんが、ある種遊びの境地に達したかのような当てっけのない自在な演技(手の動きが独特)にいつも引き込まれております。そして、女性の演技がなんともいえない魅力があるんですよね。今回でも、慌て者の亭主に怒ったり呆れたり心配したりの女房役に、生活感とさらりとした色気を見せてうならされました。以前聴いた『幾代餅』も良かったな~。
…実は今月二十一日午後六時から、以前にもご紹介した<稚魚の会友の会>のパーティーが開かれることになりまして、またぞろ余興をやることになりそうなのです。今回も落語に挑戦するつもりでおりますが、いっそ『粗忽の釘』、やってみましょうかね? (私が何をやるか興味のある方は、当日国立劇場へ。友の会以外の方でも、参加費(未定)をお支払い頂ければ大丈夫ですよ)

昼の部が終演後は、浅草の裏路地をぶらぶら散歩。小雨そぼ降る中、人通りの少ない小道を歩いていると、なんだか異空間に入り込んだような感じがしました。信仰と隣り合わせに夜毎の猥雑と歓楽が繰り返されてきた街。どこかコワい、でも懐かしい街。不思議な魅力に引き寄せられて、私は度々この地へ足を運んでしまうのでしょうか。

写真はとある演劇小道具、衣裳のお店のショーウィンドー。これからして、すでにディープでしょう?