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耐震補強について考える⑤「間違った補強方法」


今、これまでで一番難しい耐震補強工事の設計監理をやっています。
ちなみに父が現場管理者で弟と作業しています。
ふたりも私と同意見のようです。

皆さん、もっとも難しい既存住宅の耐震補強は一体どんなタイプだと思いますか?
建築士によって意見が違うとは思いますが、私はこのようなタイプがそうだと思っています。

・元々は、平屋であったが後に2階に増築している。
・しかしも増築した2階部分が昭和56年5月31日以前に着工したものである。
・そして、さらに通し柱がほとんどない。
・最後に増築した2階部分直下の壁が少ない。

どうしてこの手のタイプは補強工事が難しいかといいますと、まず元々2階建てとして新築したものではないため、非常に構造的に無理をしていることが多く、通し柱がどうしても少ない傾向があるからです。平屋を階段を設置して2階をのせたわけですから当然といえば当然です。
このようなタイプの建物を補強する場合は、1階部分だけでなく2階部分に対してもかなり注意しなければなりませんし、通し柱を設置する必要も場合によっては発生します。1階部分を補強しても2階部分が倒壊することは十分にありえますから。あと耐震診断の総合評点が正しく算出されにくいようにも思えます。
それにいざ補強工事を行うとびっくりするような事態が多いですね。土台がなかったりとか(これはどの補強工事でもありますけど)、梁が通ってなかったりとか、重量のわりに梁のせいがなかったりとかですね。新築の設計監理もいろいろとありますが、耐震補強の設計監理はそれこそ毎日、現場に足を運ばないといけないなと思います。(私の場合は、現場から呼び出しの電話がかなりあります。)

今やっている補強工事は、SDU-Wを使用した制振性を高めるタイプのもので、通し柱を中心に補強計画を立てましたが、土台がなかったり、白蟻に柱をまるごと一本食べられていたり、白蟻業者に基礎を破壊されたりと本当にいろいろなことが起きています。
実は、以前にも家を建てた業者に補強工事をやってもらったらしいのですが、補強というにはあまりにひどい補強をしていましたので、私も大工さんもびっくりしてしまいました。

そのびっくりしたという補強が上の写真です。
ちなみに下の構造用合板は、私達がこれから張るものです。スジカイ部分が別の業者さんがやったと思われるびっくりした補強部分です。天井を撤去して、スジカイをきちんと梁と柱頭部のところまで取り付けなければならないのにこんなところでやめています。面倒くさかったのでしょうか。このスジカイは、効果がありません。そのため、構造用合板(真壁仕様)を張って、補強するという対応を行いました。

もしかしたら私も間違った補強を気がつかないうちにしているかもしれません。ふと、そんな不安すら感じました。十分、気をつけたいと思います。
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日本防災協会から正誤表が届く

「木造住宅の耐震診断と補強方法正誤表」が日本防災協会から送られてきました。随分とミスがあったんですね。あと、質問・回答集もあったので一通り読んでみました。読み応えが結構ありました。

ようするに改正された新しい耐震診断と補強方法に対する質問に対してわりと親切に回答しているもので、これは面白いと思うことや参考になると思える部分がかなりありました。一番興味深い質問は、「旧の診断方法と新しい診断方法のの差について」でした。ただ残念なことに回答については不十分でしたね。(「建築技術2005年2月号を参照ください」と書かれてありました。これでは回答にならないような・・・)

耐震診断は、補強を行う上で重要な資料(データ)となりますが、それだけを頼りとするのはどうかという気持ちが私の中で強まりつつあります。診断結果(総合評点)に反映されない部分も十分気をつける必要があります。それは新しい診断でも旧の診断でも変わらない点です。

話は変わります。

大井川町図書館地震被害写真展で模型を展示しますが、SDU-W(複合鋼板耐震壁)を静岡で販売しているイハラ建成工業が、模型をひとつ貸してくれるそうです。最新の補強方法であるSDU-Wのしくみを模型で分かりやすく説明できるのでありがたいです。イハラ建成工業は大井川町に工場があり、協力的です。感謝します。今回も静岡県地震防災センターや東京都立大学吉嶺先生に写真を貸して頂くと思います。スマトラ沖地震の写真も展示したいところです。
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