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今年一年を振り返り来年を考える。

今年一年を振り返ると非常に価値ある経験を積み重ねることができたと思っています。特に戦前の住宅を補強できたことは今後の私にとって大きなものとなるでしょう。

11月から私の地元大井川町は焼津市と合併しました。合併による変化は、来年度からはっきりするでしょう。今はまだまだ表面化していないだけであって、良い点も悪い点も実感するのはこれからでしょう。

この合併を生かすも殺すも自分自身と思うようになりました。座して状況を待つのはどうも私には似合わないようです。

おかげさまでこれまでの行動が実を結んだのか、仕事については新築・改築など様々な工事の話を頂きましたし、来年早々には耐震補強と新築工事があります。この不況と呼ばれる時代に心から感謝しなければなりません。

しかし、このままで良いと思えばすぐに仕事はなくなると思っています。大企業の経営が悪化している現在、その影響を受ける中小企業もあると思いますし、私たち親子のように直撃しないところもあるでしょう。

この状況をチャンスと考え、来年は念願だった新しい補強方法の開発に着手したいと思っています。小さな会社が生き残るには技術開発しかありません。いつまでも他社が開発した製品を新築・耐震補強問わず取り付けているようでは未来はないと思うのです。

私たち親子には、多くの補強を手がけたという武器があります。その武器を生かすことが大切ですし、耐震補強を促進させる決め手はそこにあると思うのです。地方の工務店がそういうことにチャレンジしてはならない決まりはありませんし、やってやろうという気概は必要だと思うのです。

不思議なもので、やってやろうと決めたら会社の雰囲気がすごく良くなりました。ものづくりは、人の気持ちを前向きにさせます。試行錯誤、失敗も多いでしょう。しかし、これからは技術開発を真剣に取り組む必要があると私は考えます。

これまで地方の工務店はどうしても受身にならざるをえませんでした。法律の点でも技術、デザインの点でもです。しかし、自分たちが攻勢にでる部分がひとつくらいなければ生き残りは難しいのではないでしょうか。

最初で最後のチャンスと考えて、この計画は必ず成功させたいと思っています。
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地盤調査と地盤改良2


以前にも書きましたが、来年から新築工事を行う土地は、SS式試験と表面波探査試験の2種類で地盤の状態を調査しました。

SS式も表面波探査試験も不同沈下の恐れありと判定。

SS式は杭形状の地盤補強、ベタ基礎を提案。
表面波探査試験は、ジオクロスとベタ基礎を提案。

ジオクロス?
はじめて聞く名前なのでどのようなものか分かりません。そこで、資料を請求した上で担当者に徹底的に質問しました。

結論から書くとジオクロスというのは繊維補強シートのことであり、ベタ基礎の下にシートを引くことで不同沈下を防ぐことができます。この方法であれば、何も杭形状の地盤補強でなくてもよいというのです。おまけに保証もつきます。

気になる工事費については、今回30坪の住宅(1階は17坪程度)を計画していますが、柱形状の地盤補強は75万円程度でした。ジオクロスは、50万円程度でした。25万円の差額です。

金額以外で大きな違いがあるのは、杭形状の地盤補強は専門の土木業者にすべて任せなければなりませんが、ジオクロスの場合は基礎工事中に行うのでシートを敷く以外は建築業者が行います。つまり、コストダウンを図りやすいという考え方もできそうです。

また、例えばSS式で表層改良と提案された場合は、ジオクロスの方が割高になる可能性もあります。

写真は、転圧工事を撮影したもの。

次回は、SS式調査報告書と表面波探査試験報告書の一部を公開したいと思ってます。それにしても表面波探査は沈下量計算もやってもらえるのでわかりやすいですね。

ジオクロス工法について↓
http://www.nikkenwood.jp/geo.html
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地盤調査と地盤改良1

新築住宅の場合、地盤調査は必須となったといって良いと思います。

建物本体ならともかく、地盤まで建築業者が責任を負わなければならないなんておかしいと考えている方も多いかもしれませんが、正確には基礎形式をきちんと検討したかどうかという点で責任を負うことになると考えています。

つまり、地盤の状態を把握して「適切な」基礎としているかどうかという点で責任を問われることになるということです。

地盤の状態に責任がなくても基礎形式が適切ではないと指摘されれば、確かに反論できそうにありません。不同沈下が発生した場合の損害賠償を考えると建物本体における不具合など小さいものに感じます。

これらの根拠となっているのは、以下の法文。

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建設省告示第1347号

建設基準法施行令(昭和25年政令第338号)第38条第3項及び第4項の規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を次のように定める。

建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件第1建築基準法施行令(以下「令」という。) 第38条第3項に規定する建築物の基礎の構造は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、 地盤の長期に生じる力に対する許容応力度(改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。) が2kN/m2未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造 と、2kN/m2以上30kN/m2未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造またはベタ基礎と、30kN/m2以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、ベタ基礎または布基礎としなければならない。

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つまり、地盤の長期に生じる力に対する許容応力度(改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。) が2kN/m2以上であれば、ベタ基礎でもOKという解釈ができ、根拠となるデータ(地盤調査報告書)があれば、たとえ不同沈下となっても基礎形式の選定における責任は問われない(問えない)ことになるのかなと思ってます。

となると、この「2kN/m2」という数値は、地盤改良を行うべきかどうかの境界線といえるかもしれません。

それでは、それを地盤調査報告書のどの部分から元請業者は確認すればよいのかなという話になります。もちろん、そのようなことをしなくても報告書の結果部分や解析部分に地盤改良すべきかどうか書いてあると思うので、それだけ確認すれば根拠としているデータまで確認しなくてもよいのかもしれません。

私個人は、それは非常に危険だと最近になってようやく気がつきました。

しかし、SS(スウェーデン式サウンディング)式試験の場合、非常にそれが分かりにくい。つまり、何を根拠にして地盤改良の必要性や種類を提案しているのか素人には全然分からないのです。

理解するためには、担当者にしつこく質問するか、自分で判断できるように勉強しなければならないということになるのですが、前者については担当者によってかなり回答が異なりそうです。あまりしつこいと、とにかく改良しなければこちらとしては保証できませんといわれて終わりそうです。

後者にしてもSS式の精度が低いことからグレーゾーンが広いため、いくら数値を理解できても解釈の幅が広すぎてどのようにも受け取れることになり、安全性を考慮して過剰でも地盤改良と判断せざるを得ないと予想されます。

そうなると、そもそもそういう調査で判断してよいのかという疑問に到達します。

SS式の場合、単純に住宅を支えるだけの地層が地面から割りと浅いところにあれば、土とセメントをまぜるという表層改良を選択し、深いところに地層があれば杭系で支える方法を選択します。鉄の高騰もあってか、最近はソイルセメントによる改良が増えているようですが、どちらにしても住宅を建替えた場合に地面に埋まったコンクリート杭の処分はどうするのかという疑問が残ります。狭い敷地に何十本も6mくらいあるコンクリートの杭が埋まっている姿を想像すると、頼もしい半面でそこまでしなければならないものなのかと疑問にも思うわけです。

でもそうした方がよいと解析されれば、地盤については専門外の住宅請負業者は、素直に従わなければと考えますし、それをそのまま依頼者に伝えるでしょう。でも少しでも地盤について知識がある依頼者だったら今回の私のような疑問点をぶつけるかもしれません。
そのときにきちんと対応できないのは、私としては問題と考えたわけです。

それにしても「説明責任」という言葉がやたらと重視されている今の世の中にあって、SS式にしても表面波探査試験にしても報告書を届けて終わりという対応には疑問があります。これは私が依頼している会社だけなのかもしれませんが、一通り担当者から直接説明があってもよさそうな気がしますし、報告書の結果報告というか解析部分も型どおりの文章であって、解析者の見解というものがそれほど書かれていません。

個人的見解でもよいので、データからどのように判断したかをもう少し具体的に書いてもよさそうなものなのにと思うことが多いですね。まぁ実際にそういう作業が一番難しいものなのですが、あまりに機械的というか事務的な感じがします。報告書というものはそういうものかもしれませんが、それならそれで担当から補足説明を直接きかせてもらいたいわけです。

例えば、病院にいって健康診断をやってもらってから後日診断書だけで終わりますか?医者から直接説明をもらえますよね?
これが建築業界はそもそも足りないと思うのです。

建築士による重要事項の説明が義務化されましたが、別に建築士に限ったことではないと思います。

次回に続く。
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こんな時代だからこそ

世の中不況、不況と叫ばれています。
年の瀬になって、このような話題は必要以上に気持ちを萎縮させてます。

そうなると攻めの気持ちというか姿勢にもなりにくいものです。
以前、「美味しいぼ」という漫画でそういうときこそ、高い食べ物をたべて気持ちを高揚させて、こんな食べ物をいつでも食べれるように成功してやるぞという気概をもたなければならないといった話を読んだことがあります。

なるほど、確かに不況だからといって食べ物も必要以上に貧相にするとますます気持ちが荒みそうです。年末ぐらい来年も世の中厳しいかもしれないが一生懸命遣ってみようという気概をもつために一回ぐらいは外食して背伸びしているかなと思いつつ美味しいものを食べるというのもよいと思うのです。

耐震補強については、防災教育も含めて様々な活動を行ってきました。今後の大きな目標としては、なんとしてでも自分たちの力で補助金対象となる補強方法を実用化させることです。
試験を行うにもお金がかかります。試験前に試行錯誤も必要でしょう。ただ、やはり最終的にはそこにたどり着かなければならないと思っていました。

耐震補強促進のためには、コスト削減が必要と主張する方は多いです。しかし、そう主張しておいて高いメーカーの耐震製品を紹介していたら矛盾ではないかと思うのです。そういったものではなくて、補強工事を行っている会社側からどんどんコスト削減となるような補強方法を考えるべきでしょう。

中小企業生き残りは、今も昔も自社開発が市場で認められるかどうかです。いつかは自分たちオリジナルの製品を作り出す。それを目標にしなければならないというのが私の考え方なのです。

来年は、そんな私と父が「はしご型フレーム」をベースに改良したものを補助金の対象となるように本格的に活動します。大阪まで試験体を運んだりといろいろ苦労もありそうですが、今だからこそやる価値があると思うのです。
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大工主体の耐震補強

耐震補強は、診断を行う建築士主体で行われています。

診断者である建築士の指示通りに工事を行う必要があり、建築士から大工に仕事を依頼するというパターンが多いため、自然にそうなるという考え方もあるかもしれません。

ただ、私はその形に疑問があります。
倒壊する可能性が高いといわれている昭和56年以前の木造住宅は、それこそ大工さん主体で建てられたものが多く、建築確認通りではないものが意外と多い。マニュアルでは、精密診断の段階では依頼者の了解を得て、一部壁等を破壊して調査を行うとありますが・・・・


補強を行うか迷っている方にそんな提案できるわけがありません。


限られた状況下で出来る限りの情報を手に入れるしかありませんし、動的耐震診断などを組み合わせた方が高率的な気もします。それこそ、全部しっかり目視で確認したいなら家中穴だらけにしなければなりません。

前回の地盤調査と同様、耐震診断も診断者によって割りと差があると思います。補強の必要性があるという指摘は同じでもどこをどの程度補強するべきかという段階になったとき、全然違う場合もありえますし、私も別の建築士と意見が違うといわれたこともあります。そのときは、私の意見を採用していただけましたが、いつ何時別の建築士が提出した補強計画と比べられても採用されるよう計画を立案する心構えというか緊張感は必要だなと思います。

現地調査では、建築士単体より大工と一緒に行った方がはるかに得られる情報が多いというのは私のもっとも主張したい考え方です。
現場の経験以外にも必要なものはありますが、現場の経験というものがかなり頼りになることは確かです。

でも今の耐震補強ってどれだけの大工さんが関わっているのでしょうか。おそらく最初は参加しても徐々に撤退してしまった方が多いと思われます。そして、その原因が建築士側にないとはいいきれないと思うのです。

「船頭多くして、船、山に登る」とはいいませんが、耐震診断や補強について持論がある建築士や研究者が多くて、結局何が有効なのかさえも曖昧になっているとしたら問題であると思います。

このあたりの私の意見には賛否両論ありますが、立派な補強計画を立案しても埃まみれで解体をして、狭い室内で補強を行う人の苦労を頭に描きながら計画を立案してもらいたいなと思っている大工さんいると思いますよ。こればかりは、やってみないとわからないのかもしれませんが。
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