建築士伊藤の防災教育・耐震診断・耐震補強実績ブログ
建築士伊藤の耐震ファイルBlog
信頼と丸投げは違うと思っている
写真は焼津市内の寺院位牌堂天井。
現在改修中。塗装職人が丁寧に塗装作業中。天井エアコンの木枠は新規交換した。
-----------------
正直に書くとおそらく花沢の里の法華寺修理工事あたりから自分自身の価値観というか現場管理者としての姿勢がはっきりしたように思う。
正確には監修や技術指導の先生方や一緒に仕事をした大工職人から学んだというべきで、その経験が今も現場で活かされている。
ありきたりなことを書くが、信頼と丸投げは違う。
元請というのは、その工事のすべての責任を負う。
しかし、元請がすべての工事を行うわけではない。他の業者に指示して作業してもらう事の方がよほど多い。
(設計や大工工事以外は外注)
例えば板金工事とか塗装工事等で何か不具合が発生した場合、その責任がまず問われるのは、元請である。
きちんと現場管理したのかという点において、発注者から厳しい声を頂いても致し方がない。
だから元請は、厳しい目で現場を管理しなければならないし、厳しいことをいう権利がある。
もちろん信用しているからこそ依頼するわけであり、助言を求めることもあるし、逆にこちらの提案に対して反論してもらえるような関係も大事だと思う。
しかし、どっか厳しい目がなければならないと思っている。
ギスギスした雰囲気も良くないが、この現場の管理者は煩いと思ってもらうくらいでちょうど良い気がする。
だから信頼は良いが丸投げはダメ。
加えて、丸投げしておいて、何かあった後で責任逃れをするのはもっとダメではないかと思うのだ。
そうなるとほぼ毎日現場に足を運ぶことになる。
単に足を運べばよいわけではない。様々なところに目を光らせ、少しでもおかしいなと思えば躊躇わず作業者に声をかける。それが仕事だと思う。
(お茶を飲みに足を運んだわけではないのだから)
そうなると必然的に事務所での作業は当然滞りがちになるのだが、今の現場で何かあり、それを何とかするために手戻り作業となればもっと滞ることを経験から知っている。
一日にできること、作業量は限界があるのだけど、マルワ建工という会社や伊藤貴広という個人に対して期待を込めて、非常に重要な仕事を依頼してくださった発注者に対して、今この瞬間の現場の状況を大事にしなければ、明日はないような気がしている。
今年思う事
現在、焼津市内の長久寺様というお寺の位牌堂内改修工事を手がけさせて頂いています。
ご住職様の期待がとても高く、その期待に応えられるよう気を引き締めて管理する日々です。
新型コロナの感染者数もまた増えてきていることもあり、現場に入る業者への注意喚起や檀家様に少しでも工事内容を知っていただくため、工事写真を貼るための掲示板を設けました。
現場に掲示板を設置するという知識は、以前に法華寺工事手掛けた際に得たものです。(正確には滋賀の村田先生から教わったこと)
教わったことを次の現場でも活かすというのはとても大事なことだと思います。
正直、マルワの関係者の一人ひとり、個人的能力は突出して高いわけではありません。
ただ、お互いに協力し合うといった組織力は年々向上しているように思います。
特にお寺様の工事は、いくら技術が突出していても一人ではどうにもならない壁があるように思います。
組織力が必要なのです。
それに現場作業だけでなく事務的な仕事も重要です。
もちろん、現場作業を行う方々が一番大変であり、もっとも尊重しなければなりませんが、職人だけでは成り立たない点が建築の仕事には多々あるのです。
(経理などはそのもっともたる例でしょう。)
一個人としての能力をどこまで伸ばせるのかという点も大事ですが、組織力を高めるということもより大きな仕事を手がけるためには重要であり、経営者の手腕が問われる点であることを最近はより一層痛感する日々です。
品質の高い施工を可能とする体制づくり。
今年は特にそれを意識することが多くなりそうです。
茶室 写真 (2021年工事)
このブログで茶室工事の写真をアップするのを忘れていました。
広間
床柱 床框
天井板
水屋
----
設計・施工 有限会社マルワ建工
様々な職人の皆様の協力があり、茶室を手がけることができました。
京都や滋賀に足を運び材料を仕入れたことも今となっては良い思い出です。
今は建築に必要な材料の価格高騰が著しいのですが、この茶室工事がその影響をほとんど受ける前に着工できたことは幸いだったと思っています。
2022年
おおみそかの夜は、家族と紅白をみて過ごした。
とはいえ、スマホをいじったり、食事をしたりしていたのでそれほど強烈に記憶しているわけではない。
ただ一人を除いて、である。
さだまさしが登場し、「道化師のソネット」のメロディが流れたとき、私も妻も申し合わせたようにテレビをまっすぐみつめ、ひたすらに黙って聞き入っていた。
子供が何か私に話しかけていたようだが返事が出来なかった。
冒頭の歌詞である「僕達は小さな舟に悲しみという荷物を積んで時の流れを下ってゆく舟人のようだね・・・」の部分で既に私は必死に涙をこらえていた。
大みそかの夜にこんな素敵な歌を聴くことができてよかったと思った。
夫婦というのは本当に良いものだと思う。
願わくば妻もそう思ってもらえると良いのだけど・・・。
私は妻や家族を笑わせているのかな、私たち夫婦にとっては2021年は悲しい別れがあった。
哀しいこともあったけど、夫婦が笑って過ごすことは大事なことだと思う。
今日から仕事始め。
今年はいろいろ目標がある。
年末年始はしっかり休むことができました。
がんばります。