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SHECによるまちづくり会議 お知らせ

2月6日(土)13:30~ 旧五十嵐邸(清水区蒲原町)において、「SHECによるまちづくり会議」を開催します。

一般の方も参加できます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

清水次郎長生家と清水瓦について関心のある方はぜひどうぞ。
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SHEC:歴史的建造物に対する個人的な見解

今日で一旦、建築士会SHEC活動が区切りとなります。
今年度最後のグループミーティングと慰労会が行われるからです。

そこでSHECについて個人的に感想を書いてみたいと思います。

まず、私は古い建物だから優れているとか、素晴らしいと短絡に考えることは危険と思っています。
何がどういう点からすぐれているのかを極めて冷静かつ客観的に判断する必要があり、古くから存在する建築物だから価値があるとは言い切れません。
このあたりの間隔は歴史的建造物を調査する人間には必要なのかなと思いました。

また、歴史的建造物を調査する場合、個人ではとても不可能ではないかという印象を持っています。
歴史的建造物の多くが構造と意匠が一体となっていますし、地域の歴史にも関係しています。そのため、バランスのとれた総合的な視点をもつ方の存在は必要という意見を聞いていますが、私も同感です。

問題は、SHECによって所有者に明確なメリットがあるかどうかです。
今のどころ、現状を正確に記録することで、将来再建したり、大規模修繕を行う上で参考になる資料となるとしか私の立場からはいえません。

ただ、歴史的建造物の改修については、現状をどれだけ正確に把握するかが重要です。
その作業だけでも結構な調査費用が本来はかかるはずです。
それがSHECによって無償で県内いくつかの歴史的建造物が調査されたということは所有者にとっては少なからずメリットは存在したと思っています。

しかしながら改修費に対する補助などがあれば助かるという意見も存在するでしょう。
このあたりを今後どうしていくのかについては、それこそ議論が必要であり、それを得意とする建築士も建築士会に数多く存在すると思っています。

耐震診断については、注意する点があると思っています。
それは歴史的建造物に対して、適切な診断法を採用しているのかということです。
また、どうしても老朽化していることが多く、地震で倒壊する可能性が高いという診断結果となるケースが多いでしょう。

しかし、問題にすべきは、危険度がどのくらいで改修の容易さがどの程度であるかという点です。
所有者も大きな地震があれば危険であるという認識は持っていると思います。
そこへ極端な話ですが、「その通り」とだけ書かれた御大層な診断書を提出されても所有者には新鮮な驚きはありません。
また、具体的にどのあたりを改修すれば効果的であるかといったアドバイスやおおよその必要も知りたいでしょう。

歴史的建造物の耐震性は、結局のところ完全に把握することは難しいという指摘もありますが、それは認めつつも可能な限り「不明」という言葉は避け、可能な限り正確な状況を把握するべきです。

また、耐震診断の場合は第三者チェックはとても重要です。
私は今回はJSCA関西にチェックをお願いしましたが、地盤の設定を指摘され再計算しています。
構造の場合は特に第三者に設計者による計算ミスやバラツキ防止をチェックしてもらう必要がありますし、そのための費用は覚悟しなければならないと考えています。

つまり、歴史的建造物の調査は、簡単なものでも気楽なものでもないということが今回でよくわかりました。
そういうことをよく理解した上で多くの建築士がこういった調査に関心をもつことを願っています。

なぜなら得るものもまた大きいからです。
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私と伝統構法の出会い

私が伝統構法に関心を持ったのは今から8年前です。
古い木造住宅で耐震性に不安があるという相談を大井川町主催の耐震相談会で頂いたのがきっかけです。
(私は相談員として参加していました。)

その後、相談を頂いた方(所有者)の住宅を実際に調査することになります。
調査の際、私は不思議い古いと思いませんでしたし、今の新築住宅より品格があるように感じました。
理屈はありません。そう私が感じたのです。

今にして思うと、調査した住宅は伝統構法と呼ばれる建築物の中でも特に状態や使用している材料が良かったこともあったかもしれません。
それも幸運だったと思います。

所有者に話をよく聞くと、娘がこの家をとても気に入っているので何とか残したい。今の新築住宅よりよほど価値があるというので、耐震改修を検討することにしたということが分かりました。
私は、そういう考えをもつ若い女性がいるということが、とてもうれしく思えました。

一方でこうも思ったのです。
この住宅を他の住宅のように補強してよいのかと。
これも漠然と最初は感じただけでした。とにかく、この美しい住宅を極力損なわないで補強できないものかと思ったのです。

この疑問がスタートとなり、私は伝統構法というものを時間があるときに調べるようになります。
伝統構法という言葉を知ったのもこの頃です。

試行錯誤の上、私が採用した耐震改修については、このブログでも何度か紹介しています。
今、読み返すのは少し恥ずかしいですがが、方向性に間違いを感じたことはありません。

この住宅の耐震改修後、しばらくして駿河湾沖地震が発生しました。
早朝の地震でしたが、私はすぐにこの住宅に足を運んでいます。
たぶん、7時前には到着していました。

所有者の方は起きていて、私が何かありましたかと質問すると何もないと元気に答えてくれました。
ほっとしたのをよく覚えています。

昨年にまた別の仕事を頂きましたが、所有者の方が当時のことを懐かしくふりかり、依頼して良かったというありがたい言葉を頂きました。私こそ、私が建築士として生きる方向性を与えてくれたことに感謝しなければなりません。
そして、それはきちんとお伝えしました。
私が今、こうやってなんとか建築士として生きているのは、この住宅のおかげです。

もう一つ、伝統構法の出会いで欠かせない出来事があります。
先ほどの住宅を改修してしばらく後、このブログを読んだというアメリカ在中の日本人の方(元歯科医)から伊東市に伝統構法と思われる親戚の住宅があるので診断したもらいたいという相談をメールで頂きました。

その方から私は大きな影響を受けることになります。
考え方や姿勢など、とにかく仕事をする上で必要なこと全てです。

限界耐力計算や伝統構法への考え方について、私よりその方は熱心に勉強されていました。
私と一緒に改修内容について試行錯誤した日々は今も忘れられません。

最後は伊東市まで泊りがけで補強工事を行いました。
この補強で、はしご型フレームを採用したことも私にとってはよい経験になっています。

私が限界耐力計算をしっかり学ぼうと思ったのは、この方のおかげです。そうでなければ、私はいまでも他の計算法を愛用していたでしょう。現在もアメリカ(サンフランシスコ)にお住まいで、ときどきメールのやりとりをしています。

そして、大工職人である父の存在も忘れてはなりません。
小さいころから父が木材を加工している姿をみていましたから木に対する愛着や大工職人の技術には誇りのようなものを息子としてもっていました。
もし、父親が大工でなかったら伝統構法に強い関心を示さなかったかもしれません。

その後もいろいろな伝統構法に関わり、ときには兵庫まで足を運んで伝統構法の実大実験を見学、ついには限界耐力計算をきちんとマスターするために大阪まで勉強に行くようになるなど、気が付けば8年間、コツコツと知識や経験を積み重ねていました。

今後も初心を忘れないで、真摯に伝統構法に向き合いたいと思っています。
この積み重ねは工事経験は、きっと今後私にとって武器になるという確信があります。

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SHEC:清水次郎長生家 耐震診断を担当して思ったこと

今日から現場が再開されます。
正月休み期間は、身体を休めたりもしましたが、建築士会SHECの清水次郎長生家耐震診断の書類をまとめたりしていました。
限界耐力計算によるはじめての診断でしたから力が入っていたことは確かです。

診断して思ったことは、この計算法がとても木造建築物のことを考えているという点です。
この計算法が実用化するまでの過程で、おそらくはいろいろな試行錯誤があったと思います。多くの方々の努力によって、私はこうやって使うことができることを感謝しなければなりません。

仮に清水次郎長生家を日本建築防災協会の一般診断法で診断した場合は、もっと異なる結果になっていたと思います。
そして、仮に補強する場合は、歴史的価値を損なわないように配慮するのは困難となったでしょう。

別にこちらの診断が限界耐力より劣っているとは思いません。
ようするに対象とする建築物に合った診断法を選択すべき、ただそれだけなのです。

合わない診断法を採用すれば、それだけ無理が生じます。
この当たり前の点を今回の経験で再認識できたことは私にはプラスに今後働くでしょう。

木造住宅への耐震は、10年以上も前から関わっていますが、大きな転機になりました。
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SHEC:提出期限に間に合いました。

昨日は、午後SHECの打ち合わせ。
清水次郎長生家の耐震診断(限界耐力計算)が終わらなければ打ち合わせができないということだったので、私の責任が重く、必死に計算して資料をまとめました。
終わったのが昨日の午前。他の仕事もあったので、ほとんど夜作業したため、時間がもう少しあればと思いながらもよい機会を頂いたという感謝もありました。

打ち合わせで診断結果を報告、今後の作業内容を確認したりして、打ち合わせは完了。
年明けまでに私がやらなければならない業務が結構ありますが、耐震診断を担当した以上、最後まできちんとやり遂げるべきと思っています。

それに限界耐力計算で診断させてもらえる機会、しかも清水次郎長生家で最終的には製本されるようなのでこういう後々に残る仕事を任せてもらえたのは幸運だったなと思います。
また、他建築士の皆様との交流で、そういう考え方もあるんだなと思えることも多く、勉強になることばかりです。

清水次郎長生家は、地元組織により、まちの活性化として中心的役割を果たすことを目指しているようです。所有者にとっても地元商店街に必要なものであり、地元商店街にとっても必要なものとされているということを知り、そういう存在はひとつの理想ではないかということも学びました。

今後、清水次郎長生家を大切にしたいと考える方にとって、グループでまとめているSHECの報告書が参考になる資料となればいいなと個人的に考えています。
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