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耐震補強

先日、今年度2件目の耐震補強工事が完了した。
今回も内部中心の補強内容で制震テープも使用している。
個人的には手ごたえを感じていて、特に短辺方向の倒壊しやすい方向で特に重要な壁にはテープを必ず使用したいと思うようになった。

今回は新幹線の線路に比較的近い建物を補強したが、揺れが随分と小さくなったそうだ。
地震に対して有効であることが第一ではあるが、補強によって日常生活の悩みが改善されたということは私としてもうれしい。

補強に要する期間も大体2週間程度。
費用も150~200万で自己負担は大体50から80万程度という感じに大体納まることができるようになった。

次回予定している住宅は外壁の劣化が著しいため、外部改修も兼ねた補強としているため、費用としては200万以上となった。
でも単に外部改修するに比べれば安いと思う。

このあたりは建築士事務所として補強計画を立案し、補強も自社で手掛けていることが大きいかもしれない。
試行錯誤の連続ではあったが、ようやく自分の型のようなものがTOUKAI-0終盤で作り上げることができたことについては満足している。

申請に必要な写真撮影も審査側がチェックしやすいよう心がけているが、こういう点も大事ではないかと思っている。

もちろん今後も試行錯誤は続く。
続くし、TOUKAI-0という事業が無くなっても耐震補強という需要は地震がある限り続くとは思う。
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TOUKAI-0

TOUKAI-0無料耐震診断申し込みが南海トラフ地震臨時情報によって、さらに関心を持つ方も増えるかもしれません。
補強を検討される方は、来年度が補助事業最後の年度となるため、今年中に無料診断を未実施なら申し込みされることをお勧めします。

各市町村によっては、今年度の耐震補強への補助受付が終わっています。
ただ、来年度まで補助事業は継続するため、はやめに補強するので来年度は補助申請を行う旨の意思表示を窓口に行うことは重要です。

あと誤解されている方もいるかもしれませんが、既に依頼する建築士や工務店が決まっている場合は、無料診断を実施していなくても補助申請は可能です。
(無料診断を実施いていなければ、その後の補助手続きは受け付けられないというわけではない。)

焼津市の建築士が静岡市内の住宅を診断したり、補強計画することは可能ですし、逆ももちろん可能。
私自身、菊川に住む方から相談を頂いたりしています。

焼津市はまだ補助があるようですが、菊川はもう今年度の補助はないとのことなので、来年度に対して各市町村がどのような対応をされるのか気になります。
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構造用合板の厚み 現場写真のこと

構造用合板による補強の場合、使用する合板の厚みは12㎜を採用している。
K+BUILD 秋田杉針葉樹構造用合板というもの。

構造用合板は材種がカラマツやヒノキのものもある。
基本的に耐震補強で使用する場合、その性能値に大きな差はない。

厚みも別に12㎜である必要もなく、9㎜を使用している会社もあるらしい。
個人的には、釘がどうしてもめり込むため、12㎜でないと怖くて採用できない。
このあたりも設計者判断による。

正しく構造用合板で補強するためには、いろいろ気をつけるべき点は多い。
大切なのは、計画した設計者がきちんと現場で作業している人に注意できるかどうか。

実はこのあたりが一番大事なのではないかと思う。
そもそも現在の耐震補強への補助金は信じられないほど高額である。
なんと100万、高齢者等世帯なら120万である。2割負担とはいえ破格なのは間違いない。

補助を得るためには補助の条件を満たす必要があり、以前のように不誠実な会社が不正な工事をして、過去の補強工事を洗いざらい再チェックという事態になった際でも動じないくらいきちんとした施工と記録を残す必要がある。

作業で忙しかったから写真を撮影し忘れたなど、本来は通用しないのだ。
また、そういう事態も想定して、補強が認められない箇所があっても十分に評点が1.0以上となる余裕のある計画が望ましい。
写真だけでは伝わらない点もある。
最初に書いた釘のめり込みなどが該当する。釘めり込みすぎていませんか、という一言も大事。

最近はスマホやラインで確認が迅速となった。
昔はデジカメの写真をパソコンで取り込んだら写真が不鮮明だったり、角度が悪かったり、うっかり撮影し忘れて慌てたこともある。
今は、現場作業している弟がスマホですぐに写真が提出され、何かおかしい点があれば即電話して指摘したり、撮影しなおしができるようになった。
ただ、一番大きな点はスマホではなく、意識改革のおかげだと思っている。

口酸っぱく、写真について説明し、市から指摘や指導を受けたら現場にもこの写真について指摘を受けたということを伝え続けた。
写真をきちんと撮影しなければ、補助がもらえないと少々大げさだが脅したこともある。(でも嘘ではない)

きちんと正しく、素晴らしい仕事をするからには、それを記録することも忘れてはならない。
審査する側である焼津市の担当が、マルワさんの提出する資料は審査しやすいと思ってもらえるのが一番の評価だろう。
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耐震補強に対する姿勢

現在の耐震診断では、柱頭柱脚部金物の有無が評点にかなり影響を与える。
構造用合板や筋かいでいくら補強しても本来の耐力をかなり低減されてしまうからだ。
元々鉄筋が入っていないコンクリート基礎に対して強力な金物を設置することに対しても疑問がある。

私が手掛ける耐震補強の場合、柱頭柱脚部への補強はタナカ社のコンパクトコーナーが多い。
耐震診断ではⅡに該当するため、補強した壁の耐力は少し低減されてしまうが、ビスの長さや金物サイズを考えるとこれが使いやすい。

筋かい金物については、昔は厚み3㎝を採用することが多かったため、今の新築で使う筋かい金物は使えない。(今は4.5㎝厚の筋かいだから)
ただ、最近は3㎝厚用の筋かい金物も登場しているため、古い既存の筋かいに対しても金物を取付けられるようになった。

もちろん、貫穴があったり等で取付が出来ない場合もある。
この場合は、補強後の耐震診断結果には反映されない(筋かい金物無し扱いとなる)が受け材等を使って何とか金物を取付けている。

前回説明した制震テープについては、思いのほか手ごたえを感じている。
あまり工期に影響を与えないし、軒高がある建物には特に有効ではないかと思う。



制震テープを貼った状態



制震テープ後に構造用合板による補強を行う。

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耐震補強の場合、工事中に何度か計画変更を行うことも多い。
工事後にいろいろ分かることも多く、予定通り進むことの方が少ないと思った方が良い。

補助金の条件である耐震評点1.0以上を目指すことは当然としてもそれプラスどうしたらより効果の高い補強ができるのかという点を常に意識して取り組むことが大事だと思っている。
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耐震補強 ひと手間の重要性

明日から焼津市内の住宅への耐震補強を行う。
主に構造用合板による補強を行う計画だが、構造用合板による補強前に「制震テープ」を使用することにした。

アイディールブレーン「制震テープ」
https://ibrain.jp/tape_main.html

これまで様々な耐震製品を使用したが、どれも高額であり、耐震補強以外使用できないものが多かった。
結局のところなるべく広範囲に構造用合板で補強した方がよいという結論に達したわけだが、さらにひと手間加えた方がよいと常々思うようになった。

それは能登地震の影響が大きいかもしれない。

制震テープは、新築住宅で使用したことがある。
耐震補強で使用するのは今回がはじめてだったので、当然ながら焼津市にも相談した。

感覚的には構造用合板を釘で固定する前に強力な両面テープで接着したいというものであり、住宅全体に対して高い制震性を与えることはない。
繰り返しの地震の際に構造用合板に打った釘が曲がったり折れたりする可能性を少しでも減らすためのものでしかない。
ほんの少しのひと手間を加える程度。

ただ、それが大事ではないかと思える。
高額な耐震製品も否定しないが、補助金条件である1階の耐震評点1.0以上を2割増の1.2を目標値として補強計画を行った上で補助的に制震テープを使う。
このあたりが長い間、耐震補強に関わってきた身として出した結論だった。

今のところこの方針で2件、補強計画を行ったが、どちらとも180万程度だった。
補助金が100~120万なので60~80万の自己負担となる。

制震テープの使用については、焼津市役所の担当に事前相談している。
日本建築防災協会にも確認してくださったらしく、その内容をいかにそのまま記載する。

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<結論>
制震テープを挟んだ状態で悪影響がないと判断できる場合は構造用合板の性能値(基準耐力)を
そのまま採用することが可能。
注意:仮に別で類似の資材があったとしても、厚みや材質によっては採用できるとは限らないため、
安易に使用できると判断されないようにお願いします。

一般財団法人日本建築防災協会 企画調査部からの回答(以下、原文まま)

 ご照会の件、原則としては、構造用合板(または胴縁)と軸組の間に介在するもの
がない場合の性能値ですが、厚みや材質の程度の問題であり、悪影響がないと判断で
きる場合には、指針で示す性能値をそのまま採用いただいて構いません。
 ご照会のブチルゴム(だったと思いますが)1mm程度であれば、壁の性能を大きく
低下させることはないと思われます。
 介在させる材質や厚みによる性能の影響を全て把握できているわけではありません
ので、以後、適切にご判断いただければと思います。
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ようするに制震テープを私が希望するような使い方をしても構造用合板による補強と認められないわけではないということ。
(テープによる性能を加算もできないが)
私としてはこのテープを使うことで、標準的な補強である構造用合板による補強として認められないのは困るため、焼津市からのこのような判断はむしろありがたい。

具体的にはどのような工事となるのかは、明日からの補強工事で少しずつ紹介したいと思う。
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