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同業者同士の問題点

同業者同士で集まり、アイディアを出す。
これは、非常に良いことだと思います。ただ、一歩間違えると愚痴を言い合うだけの会合になったり、リーダーだけが一生懸命で参加者の意見がほとんどない会合になる可能性があります。最悪、ただの飲み会になるかもしれません。

賛否両論あるかもしれませんが、私は酒の席で意見を出し合うというのが苦手です。なぜなら発言に理屈がなく、ただの願望になってしまうような気がするからです。(単に私があまりお酒を飲まないということもありますが)

それでもやはり他人との交流は必要です。
自分だけで考えて結論出し続けると偏った考え方になってしまいます。人に意見を請うというのは、経験を重ねれば重ねるほど難しくなりますが、こちらから教えてほしいと行動しなければ、情報というものは得らません。

本題に入ります。
現在、伊東市の住宅への耐震補強をどのようなものにするべきかを依頼者であるSさんと話しています。以前にも書きましたが、建築に関する知識についてはSさんの方が私よりも上回っているところが多々あり、私が教えてもらうことが多くなりました。Sさんは、別の分野で専門家なのですが、建築に精通している部分があるようで、その指摘は的確なだけでなく、面白さがあります。この面白さって、建築では大切なのだと最近つくづく思うのです。

私は、多専門家との交流がいかに効果的であるかについては、防災教育活動で知りましたが、仕事でも言えることなのだと実感しました。ただ、実際にそれを可能とするには両者の利害一致が必要であり、なかなか困難だと思います。だからこそ、いまやっていることは価値があるわけです。

地域によって違うと思いますが、現在の耐震事業を地元同業者が協力して促進させようという動きはないように思えます。あったとしてもうまく機能しているのかどうか疑問です。仮に機能しているとしても問題点に頭を悩ませている方がいないとは思えません。それくらい耐震事業というものを成功させるのは難しいというのが、私がこれまで経験によって導きだされた結論でした。Sさん流に例えるならば、今私と父という点とSさんという点がつながり線となりました。また、新しい点との交流が深まりそれが線となるようにしたいと思いますし、工事を成功させるにはクリアーしなければならないことです。

このブログを有効活用したいなと思います。

耐震補強工事にやり方は、それこそ設計者によって違います。どれが正しいとか正しくないとか決められないところもあります。結果として倒壊しなければそれが成功ということになりそうです。適当にやった補強で倒壊しない場合もあるかもしれませんし、緻密な計算を繰り返したが倒壊する場合もあるでしょう。まったく可能性がゼロとは言い切れないのです。しかし、やはり理屈というか筋が一本通った補強をいうものをやりたいなと思うのです。

一般の方からみてもこのやり方、内容は筋が一本通る。道理として納得できる。それを目指さないで、とりあえず診断結果(というかソフト)がこうだからこうすべきというよくわからない説明は、多くの人の賛同とか共感を得られないでしょう。

正直な話、私の場合は時間との戦いです。
父が現役でいる間は、私が思った通りのことが現実化できる可能性が高いです。だから父とやっている内にやれるだけのことはやっておかなければなりません。

伊東市の住宅への補強は、そういう意味でも大切な仕事です。
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伊東市へ

伊東市の木造住宅への補強計画も徐々に確定しつつあります。
明日、伊東市に行って、依頼者と計画内容について打ち合わせを行う予定です。

地元から遠くはなれた地での仕事は、事前準備がすべてと考えているため、工事着工まで何度も足を運ぶことになると覚悟していますし、私はそれほど苦に思っていません。なぜなら私はこの仕事で多くのことを学んでいるからです。それに発見もあります。

依頼者の了解が得られれば、補強内容についても公開したいですね。
馴れてきた頃が一番心配なので、運転には気をつけます。
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はしご形フレームとダンパー

気がつくと仕口ダンパーやエースダンパーといったダンパー系補強製品が増えました。
開口部はそのままで補強を可能とするダンパーは、補強計画を立案する側からすれば便利な製品です。一言でダンパーといっても種類は様々で能力も使用条件も微妙に異なるため注意が必要ですし、1個あたりの金額も割と高額です。

私がもっともよく使ったダンパーは、イーメタルのSDU仕口補強ダンパーです。これは、面材のSDU-W姉妹品のようなもので、メーカーが発表している性能数値も他のダンパーに比べて高いため、とにかく補強後の耐震診断総合評点で1.0以上を目指したい場合は便利だと思います。

しかし、ダンパーのみに頼った補強計画は、非常に危険だと思いますし、日本建築防災協会の認定を取得したエースダンパーは、ダンパーなしの補強計画である程度の耐震性を確保した上で取付けなければならないという条件があったと記憶しています。

また、ダンパーというものは新築住宅への取付ということでは、それほど問題がないのかもしれませんが、既存住宅への補強では計画通りに取付けられないケースが多々あり、柱が劣化している状態で取付けても効果は発揮しないのではないかという疑問もあります。

私も最初の頃は、ダンパーは便利だと思っていましたし、使い方さえ工夫すれば筋かいや構造用合板に代わる主力材となる可能性を感じていました。しかし、やはりこれは補助的な存在であり、補助としては高価なものだという結論に達しました。そもそもダンパー1個あたりの性能などたかがしれているのです。大量に取付けるのであれば話は別ですが、1個や2個取付けたところで大幅に耐震性が向上するものではないでしょう。もちろん、取付位置によっては書類上かなり向上することもありえますが、現実にそうなるとは限らないという不安要素があります。(取付ける柱や土台が健全であることが大前提)

ただし、ダンパーには開口部を残したまま補強できるという魅力があります。
この点は、意外と強みです。私もそれが理由で使用することが今でもあります。(ただ、そのときは必ずSDU-Wという面材と一緒に使うことにしていますが)

ダンパーは、これからも種類が増えると思いますし、活用する方が増えるでしょう。私個人は、なるべく使わなくて済むなら使いたくないという気持ちに変化しつつあります。

仮に開口部への補強でダンパー以外の方法を模索するとなると今のところ「はしご形フレーム」かなと思っています。正直に言えば、最初はそれほど関心がありませんでした。しかし、調べれば調べるほど面白い。

現在、補助金支給の対象になる可能性は低いですが、はしご形フレームの効果を耐震診断に反映させた場合について調べています。ダンパーよりはるかに高い数値が期待できると私は考えています。ダンパーによる補強の場合、メーカーから支給された製品をただ取付けるだけといった形ですが、フレームならば大工が製作取付けまですべて行うことができます。私は、なるべく大工の仕事が多くなるような補強の方が安くて、多くの方から信用されやすいのではないかと思うのです。


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伊東市で耐震補強

 


1.伊東市の木造住宅を耐震補強

すべては、このブログをみたアメリカ在中のSさん(日本人)から伊東市の木造住宅への耐震補強について相談を頂いたことがはじまります。なお、この住宅については、Sさんの叔母が住んでいて、将来的にはSさんも同居する予定。

当初、私はこの仕事を自分が担当することになるとは思っていませんでした。できる限りの情報を提供することで、業者選びの参考にして頂きたいという気持ちが強かったからです。

しかし、メールの内容やSさんが帰国された際に直接会って話し合うようになるにつれて、その考えが変わりました。
そもそも耐震補強については、これが絶対に正しいという方法はありません。耐震診断や補強工事のやり方については、徐々に確立されつつありますが、いまだに分からないことが多く、どの業者に依頼しても一定の効果が期待できるわけではありません。私たち親子が活躍できる場があるのなら伊東市であっても工事を請け負うべきだという結論に達したわけです。

それに他社とは違うこと、自分たちにしかできないことをやらなければならないと考えた場合、今回の話は私たち親子にとって大きな転機になる予感がありました。

2.現在の進捗状況

今は、伊東市役所に耐震精密診断業務に対する補助金申請を行っている段階です。すでにどのような補強を行うべきかを検討していましたが、いよいよ本格的に工事着工までの道筋がみえてきた感じです。

伊東市の補助金は、私の地元大井川町よりもたくさん支給されるためSさんにとっては幸運なことだと思います。ただ、まだSさん以外での利用者が1名のみという悲惨な状況を伊東市としてはどう考えているのか気になります。原因は決してひとつではないと思いますが、私の印象では市役所職員も補強工事を増やしたいと積極的に行動しているようにみえませんでした。反論されるかもしれませんが、もっとやり方を工夫すれば伊東市の補強実績数は増えるはずです。

3.今回の補強は「EXPJ」と「はしご形フレーム」が特徴


今回の補強は、ふたつの注目すべき点があります。まだ、検討段階なので正式決定ではありませんが、最終的には別の補強工事でも積極的に導入したいという気持ちが私にはあります。
はしご形フレームは、京町屋への補強を前提に考案されたようです。性能としては他の補強内容に比べると低く、使用条件も限定されると判断されるかもしれませんが、使い方次第ではないかと考えてます。
EXPJは、エキスパンションジョイントのことで、構造的に分割された建物接合という表現で説明されているようですが、ようするに隙間のことです。木造住宅の増築や耐震補強でも今後は取り入れられようになると思いますし、曖昧な定義もはっきりすると予想しています。(非木造にはすでに普及しているようですが)

耐震補強の目的は、地震でも可能な限り倒壊しないことにあり、そこにいきつくまでの過程は複数存在します。だからもっと自由にいろいろなことを考えることは大切だと思いますし、現場側がそういったことをやってはいけないという決まりはないのですから積極的な姿勢でよいと思います。ただ、思いつきだけは危険なので、その点は十分注意する必要があります。

写真は、はしご形フレーム試作型です。インターネットで入手した資料を元に実際につくってみました。改良した方がよいと思う点はいくつかありますが、面白い存在であることは確かです。

4.メーカーや協会まかせの補強ではつまらない

大手メーカーや日本建築防災協会が提案する補強内容を否定するつもりはありません。ただ、それに従うだけという姿勢は避けたいと思ってます。責任問題を追及するのはある意味でタブーになっていますが、協会のマニュアルどおりに補強計画を立案して実際に工事を行えば協会が責任を負ってくれるのかといえばそうではなく、大手メーカーが開発した耐震製品を指示通りに取付けても責任は負ってくれません。絶対に誰も倒壊しないと言い切れる補強ができない以上、倒壊してしまったとしても責任を負う人はいないのです。
補助金が支給されたからといって行政は、一応倒壊しないと思われるレベル以上の工事と判断しただけで、それが適切な工事であったかを認めているわけはありません。結局は、依頼者の自己責任となり、あえて責任を問われる可能性が高いのは誰かといえば、請負者や補強計画を立案した人間になるでしょう。

ならば、やはりこの補強が今のところベターであると思える内容を最終的に決断するのは請け負う側であり、自分はこうした方がよいと思えばそれは協会のマニュアルに記載されていなくても実行してもよいのではないかと今の私は考えています。

例えば、構造用合板による補強ひとつにとっても決まりごとはあります。その決まりごとを守ったうえであれば、追加内容は自由と考えてもよいと思うのです。協会の精密診断法で評点が1.0以上の補強内容であれば、さらに評点には反映されない追加内容を実施しても問題ないでしょうし、評点に反映されるかどうかばかり重視していると効果がない補強となる可能性さえあると考えています。

これから伊東市の木造住宅に対する補強計画を進めていくわけですが、なるべくその過程を伊東市の方々に伝えたいと考えています。伊東市の建築業者への刺激になればなったで良いことだと思いますし、多くの住宅が補強するきっかけとなればと思うのです。                                             

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