大阪府立労働センター「エル・おおさか」(大阪市中央区)で16日、「表現の不自由展かんさい」が始まった。センターの利用許可は抗議が相次ぎ一時取り消されたが、司法判断を受け予定通りの開催となった。脅迫文などが届いており、府警は警官を多数動員し厳重警備。周辺では開催に抗議する人と賛成する人が言い争い一時騒然とした。18日まで。

 最高裁は16日、会場利用を巡るセンター側の特別抗告を棄却する決定をし、利用を認めた司法判断が確定。センターは「目立ったトラブルはなかった」としたが16日夜、ペーパーナイフのようなものと展示に抗議する文書が郵送で届いた。

 会場付近では開催に反対する人々が拡声器も使い抗議。大音量の街宣車も回った。賛成の人も数十人集まった。市民でつくる実行委員会のメンバーは「意見が違うから展示をつぶすのではなく、まずは作品と対話してほしい」と語った。

 展示されたのは、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で抗議が殺到し、一時中断された企画展「表現の不自由展・その後」の一部作品など二十数点。従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や、昭和天皇の肖像を使った創作物が燃える映像作品も含まれる。

 センター側は6月、安全確保が難しいとして利用許可を取り消したが、大阪地裁に続き大阪高裁も今月15日、利用を認める決定を出した。センター側は不服として15日付で最高裁に特別抗告していた。

 6月から予定された東京での展示は、抗議を受けて延期に。名古屋市施設でも今月6日に始まったが、郵送物から破裂音のする事件が起き会期途中で中止に追い込まれた。