麻生副総理「定額給付金で貯金増」発言 給付金を配った理由を誤解?
麻生太郎副総理兼財務相の「特別定額給付金」をめぐる発言が波紋を呼んでいます。生活が苦しい人の立場を理解していないという批判は当然のことですが、それ以前の問題として麻生氏は経済政策を担う財務大臣です。もし本当に、貯金が増えたことで、給付金の効果がなかったと考えているのであれば、そもそも政府がなぜ給付金を配ったのかという根本的な部分について誤解している可能性すら考えられます。
麻生氏は2020年10月24日、新型コロナウイルス対策で配られた一律10万円の特別定額給付金について「現金がなくなって大変だということで実施した。当然、貯金は減ると思ったらとんでもない。その分だけ貯金は増えた」「お金に困っている方の数は少ない。ゼロではないですよ。困っておられる方もいらっしゃる。だが、現実問題として、預金、貯金は増えた」と述べました。この発言に対しては、各方面から批判が殺到しています。
麻生氏が生活困窮者に対する理解に乏しく、政治家として不適切な発言であったことは間違いありませんが、麻生氏が財務大臣であるという点を考えると、さらに問題があります。
当初、政府は所得を限定した給付金を検討していましたが、このプランに対しては、多くの専門家が効果を疑問視する発言を行っていました。国民からの反発の声も大きく、こうした意見を踏まえ、政府は10万円の一律給付に切り換えたという経緯があります。
多くの専門家が、一律給付が必要と主張していたのは、コロナ危機は消費が壊滅するという前代未聞の出来事であり、どこで資金ショートが発生するか分からないため、範囲を指定せず給付した方がパニック的な事態を回避できるという理由からでした。この施策を実施すれば、当面、生活に困っていない人にもお金が配られる可能性があり、こうした人たちは将来不安から消費は行わず、貯金に回すことは当初から想定済みだったはずです。
実際、一律10万円の給付金に加え、持続化給付金や雇用調整助成金など、多くの資金供給政策を実施した結果、パニック的な倒産や生活困窮者の激増は回避され、全体の倒産件数も昨年並みにとどまっています。
コロナ危機によって、8月時点の就業者数(季節調整済み)は年初との比較で約80万人も減りましたが、失業者は約40万人しか増えていません。求職活動をしなければ失業者にはカウントされませんから、残りの40万人はあまりの状況の厳しさに就職を断念したものと考えられます。この40万人が何とか生活できているのは、給付金など政府による支援策の結果であり、本来であれば、この成果を政府が強調してもおかしくないものです。
しかし、麻生氏は効果がなかったと述べているわけですから、そもそも何のために給付金を配ったのか、経済政策を担当する麻生氏自身が十分に理解していなかった可能性が否定できません。 (The Capital Tribune Japan)
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コロナ感染はことし5月以来の水準になるなど感染の拡大が深刻な状況となっている。
コロナ禍による一般国民の倒産、失業、収入減はリーマンショックを上回り、このまま推移すると世界恐慌の懸念さえ浮上している。
こうした状況を受けて、ロンドンのあるイングランドでは、5日からことし春以来となる厳しいロックアウトの措置が始まった。
具体的には、市民の外出は生活必需品の買い物などを除いて制限されるほか、スーパーや薬局などを除く小売店の営業禁止、それに飲食店も持ち帰りや宅配以外は営業できなくなった。
前日の夜は、パブやレストランなどに多くの人が詰めかけていたが、規制が始まった5日朝、ロンドンのビクトリア駅周辺では、通行する人がふだんよりも少なくなっている。
仕事のために外出したという女性は「規制は必要だと思う。1か月で規制が終わるかどうかは分からない。クリスマスの過ごし方は制限されそうです」と話していた。
こうした措置は、来月2日までのおよそ1か月にわたって行われる予定ですが、感染拡大を確実に抑えることができるかどうか、先行きは不透明です。
日本では麻生財務相が、コロナ禍で「お金に困っている方の数は少ない」などと浮世離れした発言をしているが、コロナ禍に加えて米大統領選の混乱でドル売りが進んでいる。
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円高は輸出需要を押さえ、増々の不景気加速の恐れがある。
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「一律10万給付は経済浮揚に効果なし」などと、寝言を言わず公債発行による最低でも半年連続の一律給付を続ければ景気は浮揚する。
菅首相に提言!私たちが追加の定額給付金に込めた真意
『田中秀臣』 2020/10/20
田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
菅内閣の支持率は前回9月の調査と比べ5・9ポイント減の60・5%となった。不支持は5・7ポイント増の21・9%。
なお、このときに計測に利用される失業率は、公式統計の完全失業率を使うのが普通で、先ほどの「本当の失業率」ではないことに注意が必要だ。さまざまな計測があるが、従来の研究ではオークン係数は10から5まで広がりがある。