我那覇真子の現地報告、米大統領選
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トランプ記者会見その1
■米大統領選、最新情報
バイデン氏「三日天下」の可能性 消せない不正選挙疑惑、トランプ氏大逆転は最高裁判決が鍵 大原浩氏緊急寄稿
11/24(火) 16:56配信
夕刊フジ
米大統領選は民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)が勝利宣言して2週間が経過した。共和党のドナルド・トランプ大統領(74)の法廷闘争についても「無駄な抵抗」のごとく報じられることが多いが、国際投資アナリストの大原浩氏の視点は違う。大原氏は緊急寄稿で、バイデン氏が「三日天下」に終わる可能性すらあると指摘する。
現在、日米の「偏向」メディアは、バイデン氏がまるで大統領に就任したかのような記事を垂れ流している。もちろんこれは大きな誤りである。
トランプ氏が負けを認めないのは往生際が悪いなどという批判も出回っているが、米大統領選の法廷闘争では2000年に民主党候補だったアル・ゴア氏の先例がある。連邦最高裁が12月12日にジョージ・ブッシュ氏勝訴の判決を下すまで「ゴネ」たのだ。まさに「大ブーメラン」である。
少なくとも12月14日の選挙人投票日までは、「誰が大統領になるかまだ分からない」のだ。現在、選挙に対して膨大な訴訟が「宣誓供述」や「証拠」を根拠に行われており、再集計の結果によっては、バイデン氏の「勝利」が三日天下に終わる可能性もまだある。民主党支配地域の裁判所では、民主党有利の判決が下される可能性が高いから、再集計が適正に行われトランプ氏勝利に結びつくかどうかは不明だが…。
したがって、最高裁で「不正選挙そのものが無効」という判決が出るかどうかが鍵である。
不正選挙疑惑で一番大きなものは、選挙投開票サービスを展開しているドミニオン社に関するものだろう。もし、同社のシステムによって、トランプ氏の票が突如削除されたり、バイデン氏側に動かされたりしていることが証明されれば、全体の集計結果に対する信頼性が根底から覆るから、最高裁で「選挙無効判決」が出る可能性がそれなりにある。
連邦最高裁がエイミー・バレット氏の判事就任によって、さらに共和党有利の陣容になったと考えられることも見逃せない。
どのような理由にせよ12月14日に選挙人投票を行うことができなかったり、どちらも270人の選挙人を獲得できなかったら、下院で大統領選出が行われるのだが、この投票は一般的な下院での議決とは異なり、50州それぞれから1人ずつが選ばれて投票する。下院全体の議席数では民主党が優勢だが、「優勢な州の数」は、今回の選挙でも共和党が勝っており、ここに至ればトランプ氏勝利の可能性が高い。
現在のバイデン氏はまるで「本能寺の変」の後の明智光秀のように思える。安易に「自分が天下を取った」気分になった「三日天下」の後、豊臣秀吉に敗れた。
トランプ氏の強みは、秀吉が「中国大返し」という尋常ではない作戦を成功させるために部下の力を最大限に発揮させたのと同じように、トランプ氏のために身を粉にして働く元ニューヨーク市長で弁護士のルドルフ・ジュリアーニ氏をはじめとする支持者を多数抱えていることだ。
もちろん、民主党や偏向メディアの妨害をくぐり抜けて「勝利」を獲得するのは簡単ではない。オールドメディアの「報道しない自由」や大手SNSの「拡散制限」によって、真実が国民に伝わりにくい部分があるのは事実だ。
第2次南北戦争さえ起こりかねない米国の混迷の中で思い起こすべきは、エイブラハム・リンカーン大統領の有名な言葉である。
奴隷解放を目指す北軍(共和党)を率いて南軍(民主党)と戦い、4万5000人の死傷者を出したゲティスバーグの戦いでは、《人民の人民による人民のための政治》という名言を残したことで知られるが、ほかにもこんな言葉がある。
《すべての人を少しの間騙(だま)すことはできる。一部の人を永遠に騙すこともできる。しかし、すべての人を永遠に騙すことはできない》
いくら「報道しない自由」を駆使し、「拡散制限」を行っても「すべての人を永遠に欺くことはできない」のである。
■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。
【おまけ】
トランプはなぜあれほど強かったのか──経済政策面でもたらした最大のインパクトとは
11/24(火) 18:54配信
ニューズウィーク日本版
──アメリカの有権者の多くは、トランプの「人格」に対しては眉をひそめていたにしても、少なくともトランプ政権の経済的な実績に関しては一定の評価を与えていた
トランプ政権の経済政策は、財政赤字に対するアメリカ人の常識を覆した......
現職の共和党候補トランプと民主党候補ジョー・バイデンとの間で争われた2020年の大統領選は、バイデンの勝利で終わり、トランプ政権は1期4年でその幕を閉じることになった。トランプの再選が叶わなかった最大の敗因は、明らかに、2020年から始まったコロナ禍にあった。トランプ政権は感染拡大の初期段階から、新型コロナの感染拡大を軽視し、積極的な防疫の必要性を否定し続けた。その結果、感染者数と死者数の双方において、アメリカは世界最悪の感染国になってしまったのである。
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トランプ政権のこのような大失策にもかかわらず、この大統領選は他方で、トランプに対する岩盤支持層の拡がりを改めて印象付ける結果となった。というのは、トランプは前回2016年選挙を大きく上回って、バイデンに次ぐ史上2位となる7400万票もの投票総数を獲得したからである。トランプが前回の2016年大統領選では勝利していながら今回は敗北した州は、いずれも僅差であった。
仮に世界が2020年にコロナ禍に襲われることさえなければ、トランプは確実に大統領に再選されていたように思われる。というのは、アメリカの有権者の多くは、確かにトランプの「人格」に対しては眉をひそめていたにしても、少なくともトランプ政権の経済的な実績に関しては一定の評価を与えていたからである。
そのことを最もよく示していたのは、2020年10月に公表されたギャラップの世論調査「2020大統領選概観」である。それによれば、「4年前よりも今の方が暮らし向きは良い」と回答したアメリカ人は、56%にも及んだ。これは、オバマ(2012年、45%)、ブッシュ(2004年、47%)、レーガン(1984年、44%)といった歴代大統領の再選時の数字を大きく上回っている。また、「大統領としてどちらに適性があるか」との問いにはバイデン49%、トランプ44%であったが、「どちらの政策に同意するか」の問いではトランプ49%、バイデン46%と、評価がまったく逆転していた。
このような世論調査レベルでのトランプ政権の政策に対する高い支持は、決して驚くにはあたらない。というのは、少なくともその数字上の実績から評価すれば、トランプ政権は確かに、「アメリカ国民の雇用の拡大」という、当初から最優先のものとして掲げていた政策目標を十分に達成していたといえるからである。
コロナ禍が顕在化する直前の2020年1月時点では、アメリカの就業者数はトランプ政権下で約700万人増加し、失業率は3.5%という、アメリカ経済の黄金時代であった1960年代末以来の水準にまで改善していた。アメリカはトランプ政権の最初の3年間で、歴史上稀に見る「高雇用経済」を実現していたのである。
■ トランプ主義の本質としての赤字財政主義
このように、トランプ政権の経済政策は、数字として明確に現れるような確固とした成果をもたらした。問題は、そこで本質的な役割を果たしたのは何かである。それに関してきわめて的確な分析を行っていたのは、ニューヨーク・タイムズ誌の2020年10月24日付の記事 「Trump’s Biggest Economic Legacy Isn’t About the Numbers」である(その邦訳は東洋経済オンライン2020年10月24日付の記事「トランプ『経済政策』がこんなにも人気の理由」。この記事は、その問題について以下のように論じている。
結論的に言えば、トランプが経済政策面でもたらした最大のインパクトは、自らの想定とはかけ離れたものになるのかもしれない。それは、財政赤字に対するアメリカ人の常識を覆した、ということだ。
トランプは企業や富裕層に対して大幅減税を行う一方で、軍事支出を拡大し、高齢者向けの公的医療保険“メディケア”をはじめとする社会保障支出のカットも阻止し、財政赤字を数兆ドルと過去最悪の規模に膨らませた。新型コロナの緊急対策も、財政悪化に拍車をかけている。
これまでの常識に従うなら、このような巨額の財政赤字は金利と物価の急騰を引き起こし、民間投資に悪影響を及ぼすはずだった。しかし、現実にそのようなことは起こっていない。
オバマ政権で大統領経済諮問委員会の委員長を務めた経済学者のジェイソン・ファーマンは、“トランプは財政赤字を正当化する上で、きわめて大きな役割を果たしている”と指摘する。
アメリカではファーマンをはじめ、連邦政府に対して債務の拡大にもっと寛容になるべきだと訴える経済学者や金融関係者が増えている。とりわけ現在のような低金利時代には、インフラ、医療、教育、雇用創出のための投資は借金を行ってでも進める価値がある、という主張だ。
周知のように、ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権にとっての天敵とでもいうべき、リベラル系メディアの代表格である。しかしながらこの記事は、単純な政権批判の観点からではなく、トランプ政権の経済政策がアメリカ国民の多くによって支持されてきたという事実を率直に認める観点から書かれている。この記事はそれだけではなく、トランプ政権の政策が成果を挙げた最も重要なポイントが、赤字財政主義すなわち「赤字財政の許容」にあったという、きわめて的を射た指摘をも行っている。その筆致は、「財政ばらまき政策によって将来に禍根を残した」といった、日本のリベラル系メディアにありがちな赤字財政に対する紋切り型の決めつけとはまったく対照的である。
■ トランプが葬り去った伝統的保守派の緊縮主義
トランプ政権は確かに、それまでの共和党主流派とは異なり、減税や財政支出の拡大による財政赤字拡大に対しては、それあえて放置することを基本的な方針にしていた。トランプは、反緊縮を掲げるケインジアンたちとは異なり、そのような財政赤字の許容を、何らかの政策的な意図に基づいて行っていたわけではない。それはおそらく、トランプが自らの支持者たちが何を望んでいるかを追求する中で、結果としてそうなったにすぎない。しかし、トランプ自身が何を考えていたにせよ、財政に関するその基本的な姿勢は、明らかに反緊縮の側に位置付けられてしかるべきものであった。
その点に関して注目すべきは、オバマ政権時代にはあれだけ執拗に赤字財政批判を繰り返していた共和党主流派が、このトランプの財政赤字拡大政策にはほとんど何の抵抗も行わず、唯々諾々とその方針に従ったという事実である。アメリカの非営利調査報道団体であるセンター・フォー・パブリック・インテグリティが219年4月に公表したレポート「The Secret Saga of Trump’s Tax Cuts」が詳述しているように、共和党の一部には当初、減税による財政赤字の拡大を相殺するために、その代替財源として国境調節税等の導入を提案する声も存在してはいた。しかし、トランプ政権側にその提案が一蹴されて以降は、トランプ政権の財政赤字拡大政策に抗う動きは共和党からは完全に一掃された。これは、共和党主流派がその伝統的理念をいとも簡単にかなぐり捨てたことを意味する。
この共和党主流派の伝統的理念とは何であったのかを考えるためには、まずはトランプ政権以前にはこの党がどのような政治家たちによって代表されていたのかを思い出してみるとよいであろう。それはたとえば、2016年の大統領選予備選でトランプと最後まで共和党大統領候補の座を争ったテッド・クルーズやマルコ・ルビオである。より早い段階で脱落したその時の候補者の一人には、アメリカのリバタリアニズムを代表するロン・ポールの息子であり、父親と同様に共和党内の真正リバタリアンとして知られていたランド・ポールもいた。また、2012年の大統領選での共和党の副大統領候補であり、2015年から2019年には下院議長を務めたポール・ライアンも忘れてはならない存在である。さらにその以前には、2008年の大統領選での共和党副大統領候補であり、2010年11月の中間選挙では共和党ティーパーティー派のシンボルとして活躍したサラ・ペイリンなどもいた。
このペイリンなどがまさにその典型であるが、こうしたトランプ以前の共和党のスター政治家たちの多くが政治の表舞台に躍り出た契機は、リバタリアニズム運動の草の根版であるティーパーティー運動であった。リバタリアンは一般に、保守派の中でもとりわけ緊縮主義的傾向が強いことで知られている。そのような緊縮主義のイデオロギーが共和党内で強まっていたのは、それがオバマ政権の経済政策を批判するのに好都合だったからである。
彼ら共和党のティーパーティー系政治家たちは、「アメリカ経済の低迷は赤字財政の結果であり、その赤字財政はオバマ政権による有害無益な景気刺激策の結果である」と主張して、オバマ政権とその景気刺激策を攻撃した。そして遂には、議会でオバマ政権を圧迫し、「財政の崖」と呼ばれる政府財政支出の強制削減を実行させたのである。
実際のところは、このオバマ政権初期におけるアメリカの財政赤字拡大の多くは、オバマ政権の景気刺激策が原因というよりは、景気悪化によって生じた税収減少によるものであり、その意味で経済低迷の原因ではなく「結果」にすぎなかった。しかし、オバマ政権の景気刺激策に反感を持つ保守的な有権者に対しては、「財政赤字を減らせば経済は回復する」というティーパーティーの政策プロパガンダが大きな政治的効果を持ったのである。
このオバマ政権期の共和党を代表する政治家の一人は、リバタリアニズムの代表的思想家アイン・ランドの信奉者であり、ティーパーティー勢力とも結びつきが強かったポール・ライアンであった。ライアンは、「公的年金を除く社会保障関係支出の大幅な削減による富裕層所得税の徹底した減税」といった、究極のリバタリアン的財政改革を持論とする、きわめて過激な財政保守派として知られていた。
ところが、2016年の大統領選で巻き起こったトランプ旋風とその勝利は、結果としてこの共和党内におけるティーパーティーやリバタリアンの影響力を完全に一掃した。最も象徴的であったのは、ライアンのその後である。当初はトランプへの明確な支持を拒んでいたライアンであったが、政権成立後に動き始めた財政改革ではトランプとの協力に転じた。そして、自らの財政保守主義理念にまったく反するはずの、上述のきわめて赤字財政主義的な2017年トランプ減税の成立に尽力するのである。
ライアンは最終的には、トランプ党化する共和党の状況に嫌気がさしたかのように、2019年1月の任期満了をもって議員を引退することになる。それは、共和党の伝統的理念の担い手が保守派の中からほぼ姿を消したことを意味していた。実際、トランプ政権の4年間に、共和党はすっかりトランプ派の巣窟になってしまったのである。
■ 意図せざる反緊縮主義としてのトランプ主義
このように、共和党の政策アジェンダは、トランプによって大きく塗り替えられた。その変化は、少なくとも経済の領域においては相応の必然性があった。たとえば、共和党がオバマ政権時代のようにティーパーティー派によって牛耳られており、その経済政策も社会保障の削減といったリバタリアン的緊縮に固執し続けていた状況を考えてみよう。その場合、仮に共和党が政権の奪取に成功していたとしても、トランプ政権期に匹敵するような経済的実績を残すことはきわめて難しかったはずである。逆にいえば、財政赤字の拡大をまったく怖れないという意味でのトランプ政権の「無頓着さ」は、低インフレと低金利によって特徴付けられる長期停滞経済においては、きわめて適切な政策方針であったと考えられるのである。
特筆すべきは、保守主義の中でもとりわけ緊縮主義的な傾向の強いリバタリアニズムから、その対極ともいえる反緊縮的なトランプ主義への政策イデオロギーの一大転換が、2010年代後半という時期に、アメリカ保守派の中できわめて劇的な形で生じた点にある。それは、世界大不況からの回復が遅々として進まないことによって、とりわけ中間層や低所得層の経済的苦境が続き、彼らの不満が拡大し続けたからである。民主党と共和党も含むエスタブリッシュメント側の政治家たちにもはや何の期待も持てなくなった彼ら低所得層の鬱積した感情を巧みに掬い上げたのが、既存の政治世界の部外者であったトランプだったわけである。それは、長期停滞という経済状況に対する、アメリカ保守派の側の「意図せざる適応戦略」であったと考えられる。
トランプ政権は確かに、2020年の大統領選敗北によって終わりを告げた。しかし、「財政よりも経済を優先する」というそのマクロ経済政策上のレガシーは、世界経済の長期停滞基調が継続する限り、その影響力を今後も保持し続けるはずである。
野口旭