虎っ娘ランナーのランニング日誌

マラニックバッグにタイガースメガホンをさして国道2号線を西へひた走るランナーを見かけたら・・・、それは私です。

山の神様

2011年09月13日 | ランニング

 山に怒られた。
愛すべき山は怒ると怖かった。でも多いに学習した。
とある土曜日。
六甲の主と渾名されるjさん主催の山企画に誘われて参加した。
メンバーは超豪華。
トレイル仲間達から神と崇められる存在のmくんに元気盛りのメンズ2名。
少々躊躇いもあったが、え~いままよ!とばかりに自身の走力も鑑みず参加した。
この図々し過ぎる暴挙に山の神がお怒りになったのだろうか・・・・・・・・。
阪急岡本-打越峠-黒五谷-住吉道-西おたふく山-極楽茶屋跡-紅葉谷道-魚屋道-一軒茶屋-東六甲分岐-船坂峠-大平山-塩尾寺-宝塚。という一般的なコースに安心したせいもある。
私の脚にあわせてゆっくりペースでスタートした行軍は快調に進み、皆山の魅力を楽しみつつ
あっという間に昼食ポイントに到達。すると・・・。
リーダーは素早い手つきでバーナーに火を起こし、マジシャンのように美味しいオニオンスープを創り出して皆に振舞う。
            

美味しいっ!!

神と呼ばれる方は脚を捻った私の為にテーピングを施してくれる。
         
他のメンズ達も紅一点のワタクシを優しく気遣ってくれ、逆ハーレム状態の本当に楽しい山行きだった。

           ここまでは・・・・・・!

リーダーが見せたかったという勇壮な滝の風景を楽しんだ後、皆は六甲の異変に気付く。

          【本日の山行きの見せ場だった滝】

大型台風12号が残した、流木、倒木、川の増水、土砂崩れの影響でその様相を変えていたようだ。
山慣れたリーダーが取り付けを見逃すほどに・・・。

     「あれっ、道がない!」

リーダーのこの一言が悪夢の始まりだった。おかしいと思いつつ道無き道を歩んだ我々。
ほどなく完全に進路を誤った事がわかった。今更引き返す事も出来ないって?
でも、進むべき先はまるで密林状態だよ。どこを向いても「道」はないよ~。

前進する為には潅木を掻き分け、薙ぎ倒し、踏みつけて自分で進路を作る他ない。
でも敵も手強いの何のって。踏み付けようとしても何度も殴り返してくる木々達。
奴らのカウンターパンチは強烈だ。踏みつけの力をちょっとでも抜くと、下から顔面を直撃してくるから。
バッチ~~ン!とね。
更に危険なのは「棘」なる武器を持つ輩たち。手袋を持ってきていなければ血まみれだったろう。

「道」というのは、こうやって先駆者が苦労して切り開いてくれたから、そこにあるんだ、と学習。
これまで何気に通っていた道にすら感謝の心が芽生えた体験だった。
更に難題は立ち塞がる「堰堤」との格闘。「堰堤」なる言葉もこの日初めて学んだ。

        

               ↑  このダムみたいなコンクリートの巨大な壁を言うそうだ。
                  洪水防止の為に何基も築かれているらしい。

こいつを乗り越えなければ先には進めないのだが、その為には左右どちらかの急斜面をよじ登るしかないのだ。
写真には階段みたいのがあるが、私らが行く道にはそんなのは無かった。

         
             ↑   こんな急斜面を屈強な男子陣に遅れじと渾身の力で付いて行く。
滑落阻止の為に常に全神経を集中させて安全な足場と摑まる枝を探し出さねばならない。
「必死のパッチ」とはこんな状態の事を言うんやで、関本君よ。
     (阪神ファンだけに通じるコメント)

苦心惨憺の末にやっとこさ堰堤をひとつを乗り越えて向こう側に降り立つ。
安心したのも束の間今度は再び密林との格闘が始まるのだ。
一つの画面をクリアしてもまた新たなステージが始まる、延々と続くゲーム上の闘いみたいだ。
頭の中で。
♪「行け~、行け~川口浩、行け行け~川口浩、どんと行け~」
の曲がリフレインして面白がっていたのも始めの30分くらい。
迷走が延々1時間も続き、さらに偵察に行ったmくんの。
   「まだまだ道路はずっと先の方みたいですね。」
の声を聞くに及んでは、疲労感と絶望感が一挙に押し寄せてきた。
もう~ダメ~~~っ!
でもここで弱音を吐いたって始まらないと、ジョークで自分を鼓舞しながら前へ、前へ・・・・。

枝に絡まられて身動き取れなくなった事数度、。
鋭い棘に指を刺された事数度。
誤って流木に体重を預けて急坂から滑ったこと数度。

獣のように四足で地を這い、永遠に続くかと思われた恐怖の1時間半の行軍は、眼前に本当の「道」が現れて終わった。舗装路を観た時には歓喜の雄叫びが自然発露したわ。
無事に帰れたからこそ、こうして笑い話で綴れる日記だ。

山を軽んじてはいけないぞっ!

最近調子に乗っていた私への戒めだろうか。
この程度のお仕置きでもって諭してくれた山の神様の慈愛に、謙虚に頭を垂れる・・・・。
山は正しく畏れ、敬い、そして愛すべきだと。