TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Coup de grace

2010-03-30 13:44:18 | インポート
明らかに生贄だよね、仲間のチクリ。

Semrau大尉によるタリバンの「殺人事件」は、首をひねることばかりである。
瀕死のタリバンを銃殺した行為を「武士の情け」ではなく第二級殺人と
起訴している根拠は何なのか?夫によれば「カナダ軍法規に違反しているから」
ということだが、おいおい、事件は戦場アフガニスタンで起こり、相手は
顔一つ変えず少女の顔に薬品を浴びせ焼くようなテロリストだ。

ジュネーブ諸条約により保護されているのは、正規の軍隊に属する兵士であり、
タリバンのようなテロ軍団は関係ない。今回もそうだが軍事裁判は一般に
詳細を伝えないので、一体事実は何なのかわからない。戦場での殺人を全て
裁判にかけるなら、復員兵はほぼ皆同罪になってしまう。

Coup de graceはこれまでも数々の戦場で起こり、このような形でとりあげられ
ることはまれである。近くに医療設備のない戦場で助かる見込みのない重傷
の敵兵を前に、どう対処するか。ひとおもいに楽にしてやるか、放置して
何時間も苦しみながら死ぬのを待つか。どちらが人道的なのか。
私が負傷兵であれば、銃弾を希うだろう。

Stanley KubrickのFull Metal Jacketの後半で、Jokerのあだ名を持つ兵卒は
ベトナムの戦場へ送られる。次々と仲間を銃殺した狙撃兵を捕らえてみれば、
なんとおさげ髪のベトナム少女であった。瀕死の彼女は血まみれの口から
「撃ち殺して」と英語で懇願する。それまで兵士としての自覚など全くなか
ったJokerだが、躊躇ののちに一発の銃弾で少女の息の根を止めるのだった。

ま、「あれは映画だから」と言ってしまえばそれまでだ。
しかし実際に大尉の行為は、私情から起きた殺人でないことは、誰の目にも
明らかである。上官としての彼にとり、自分の部下達を安全に基地へ帰還させる
ことも責任の一つであり、彼らの身を守るために敵兵を撃ち殺すことは当然
あって問題ないことだ。さらに相手は先にも触れたように、テロリストであり
武器を捨てたように見せかけて隙を見て攻撃してくることなど、日常茶飯事だ。
そういった状況下に行われたこの「事件」が、どう裁かれるのか。


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