TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

The Hurt Locker

2010-03-04 15:17:29 | インポート
中毒につける薬はない、というお話。

前にも観たんだけど、もう一度観たくなって。
主要登場人物三人が、実戦経験者のパターンを三通りに表現している。
日常的にすぐそばで人が死んでいく現実に、神経がおかしくなっていく
Eldridge。戦地で負傷した彼は、本国で治癒ののちは晴れて除隊であろう。
かえって彼にとっては幸いだったかもしれない。ツアーの最終日近くに
「俺はこんな生活はもうこりごりだ。まだ自分の息子もいないのに(死ぬ
のはいやだ)」と涙を流すSanborn。彼も、帰国後は軍を去るのだろう。

だがJamesは違う。彼は平穏な日常生活になじむことは、もうできない。
帰国後のスーパーで、何十という種類のシリアルが並ぶ棚に目眩をおこし
そうな彼。こぎれいで平和な文明社会は、彼の住むところではない。
焼けた砂、死と隣り合わせの毎日、そのスリルに完全に中毒になってしまった
彼は、戦争のプロ。戦地では生きられるが、では生還したのち戦争が終わって
しまったらどうするのか?French Foreign Legionみたいなところしか、
受け皿がないのではないか?それとも、名誉の戦死が本望なのか?

このイラク戦も当初はツアーの期間が半年だったのが、どんどん長くなって
きている。帰国すると除隊する兵士が増えたためである。夫の部下だった
女性の婚約者は、長い時で一年半のツアーに出ていた。帰国後二ヶ月後
にまたさらに一年半のツアー、結局彼はウェストポイントを卒業してから
三回のツアーを経験し、本国にいたのはほんの数ヶ月しかない。
彼も、三回のツアーののち除隊に至った。

アジリティ仲間の息子の訃報を知ったのは、二年前か。
まだ二十一歳だった彼は、爆弾処理班に属し、なんと入隊後四度目のツアー
であった。「これが最後のツアーだから」と言って家を出たのに、無言の
帰宅となったのだった。


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