TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

DENVER

2002-11-10 10:18:35 | インポート
食料買出しの帰りに、SPCAへ寄る。

先週保護したJACKの消息が気になったからだ。
今日のSPCAは、まるでクリスマスショッピングのようにごったがえしていた。
時期的に、子猫が飛ぶようにもらわれていくらしい。受付も、申し込みする里親希望者
で鮨詰め状態。本当にこいつら一生面倒見る気があるのかよ?!と、ちょい心配。

犬舎に入ると、ものすごい消毒臭。濃縮したブリーチを床にぶちまけたようなニオイ。
JACKはいなかった。受付でファイルを1枚ずつ調べる。やはり彼の記録はない。
受付嬢に聞いてみる。
「う?ん、そういう犬は記憶にないけど…きっと飼い主が引き取りに来たのでは?」
ああ… 私の努力は無駄だったか。

ファイルをめくっていて、気になるページが。
ある犬の廃棄理由に euthanasia とある。これは、飼い主が「もうこの犬はいらない
ので殺してください」と持ちこんできた場合だ。受付嬢に聞いてみたら、この犬の
飼い主は引っ越すので犬が足手まといになったそうだ。

犬舎でその犬は、おとなしく通りすぎる人々を眺めていた。
まだ3歳、枯草色のコートの雑種で、檻のすきまから冷たい鼻を出して寄ってくる。
いきなり見知らぬ人間と動物のいる場所につれてこられ、動揺しているのだろう。
夫が檻の扉を開けると、後ずさりする。でも、去ろうとすると悲しげに「ク?ン」
と泣く。もう一度扉を開けると、自分からするすると体を寄せてくる。

「ずっとおかあさんが迎えに来るのを待ってるの。私のおかあさん、知らない?」
と、濡れた黒い瞳は語っている。お前のおかあさんは、お前は死んだと思ってるんだよ。
二度とお前に会えないんだよ。

彼女は、自分がつまらない理由で捨てられたことなど知る由もない。
いい人にもらわれるんだよ、DENVER。


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